転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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101.ナズナとの時間です

「聞いてて思ったけれど、やっぱりゾンビじゃない? それ」

 

ゾンビ?

と、ナズナは首を傾げている。

 

「あたしもカヅキに一回観せられただけだから、よく覚えてはいないのだけど。何かの細菌に感染して、動く死体になったみたいな」

「死体、死体か…。まぁ、ある意味そうかもな。魔王の瘴気に当てられて、一般人が魔王化する事もあったと、記録には残っている。だから、討伐しても何かしらで復活するんだ。まぁ、今回のは少し様子がおかしかったが」

 

宮塚の事はあまり思い出したくない。

あたしはナズナの胸に顔を埋める。

彼はあたしの背を撫でて、落ち着かせてくれた。

 

「魔王は王家を恨んでいる。自分が惚れた女の子孫だという事も忘れてな。魔王を作り出してしまったのは王家だ。だから代々、王家の者が討伐を行なっているわけなんだ。それに、魔王が出現する際何かしら武器を持っていてな。魔王の遺物と呼ばれている。俺は自分の代で、それらを全て見つけ出して、封印するなり破壊するなりしたいと思っているんだ。もしかしたら、俺達の子供にその責を負わせる事になるかもしれないんだが…」

「大丈夫。そうなったら、あたしが貴方や子供達を守るよ。安心してね」

 

安心できないんだが、と彼は苦笑する。

ナズナは立ち上がり、自分の机の方に向かうと引き出しを開けた。

そこから昨日の球の欠片が出されたのを見て、あたしは驚く。

 

「ちょっと、それ…!」

「ギルドから昨夜返却されてな。届けに来たのはクロエなんだが、少し慌てていた様子でな。どうせ、これを粉にでもして何かを作ろうとでも思ったんだろう。それが出来ず、こちらに返却してきたという事に疑問を覚えてな。もしかしたらと少し文献を調べてみたんだが、これは魔王の遺物らしい」

 

なんであたしに報告しなかったと、ナズナを少し睨む。

彼は少し考え込んだ後、あたしにそれを渡してきた。

 

「シャルが持っててくれ。何もないとは思うが、俺が持っているよりはお前が持っている方が、お前としては安心なのだろう? 俺が心配になるだけで」

「あたしならなんとか対処できるもの。心配しないで良いわよ」

 

そういうわけにもいくまい、と彼はまたあたしの隣に腰を下ろす。

 

「今後、ギルドにも依頼を出して魔王の遺物を探していくつもりだ。そう簡単に見つかるとは思えないがな」

「もうこの球も魔力自体無くなっちゃったから、これを基準に探す、なんて事出来ないのね。まぁ、あった所であの女が出てくるだけだから…あぁ、本当に腹立たしい」

 

あの状況を思い出しただけではらわたが煮え繰り返る。

もう一回出てきたら、今度こそズタボロになるまで殴り続けたりしてやるのに。

 

「俺もだが、お前も嫉妬深いよな」

「悪い?」

 

ジト目で見ると、彼はゆるく首を横に振った。

ナズナはスッと立ち上がり、机の上にあった書類を纏めると、それを持ってあたしの隣に来て座る。

どうやらここで作業をするつもりらしい。

 

「あたし、お暇しましょうか?」

「いてくれ。お前と一分一秒でも離れていたくないんだ。本当なら唇を奪ってしまいたいくらいだが、婚約するまでそれは許可されないだろうな。 …いや、ターニャの場合、婚姻するまでそういう事は禁止です、と言われそうではある」

 

こちらに目も向けずナズナはそう言い、あたしは苦笑いを浮かべる。

ターニャの場合、ナズナの性格も含めて考え、そう言いそうだなと思った。

 

「そうだね、ターニャならそう言うかも」

「お前の事を大事に思っているのだという事が伝わる。だからこそ、お前を求める俺を敵視しているのだろうな。いやはや、昨日のあれは流石に堪えたぞ…」

 

彼はあたしへ、新しく作られた念書を渡してくる。

ナズナの字が綺麗で、いつもながら惚れ惚れしてしまう。

 

「昨日何があったの」

「吾妻ノ国での正式な座り方である、正座というものをしながら、ベルファとターニャの二人から説教されたよ。確かに慌てたとはいえ、冷静に思い返してみればアレはない。怒鳴られて殴られなかっただけ、まだマシな方だ。本当にすまなかった、シャル」

 

ナズナはそう言い、書類から顔を上げあたしに頭を下げてくる。

 

あの二人が手を挙げるところは想像できない。

いや、むしろお義父様だけだな。

ターニャは前世で、何回かカヅキに教育的指導として、頭を叩いていた記憶がある。

 

って、今はそんな事考えてる場合じゃない。

 

「もう良いよ、ナズナ。だからこその念書でしょう?」

「あぁ…昨日の俺を殴れるなら、殴ってやりたい…」

 

余程後悔しているらしい。

乾いた笑いを浮かべ、ナズナは書類を精査していく。

お天気が良いのに、彼の心は陰鬱みたいだ。

 

「婚約したら、人目を憚る事もないのだし、その…スキンシップ、多く取ればいいんじゃないかしら」

「煽らないでくれ、シャル。俺を信頼してくれるのはありがたいが、俺だって男だ。惚れた女にそう言われたら止まれる気がしない」

 

熱っぽい視線で見られたあたしは、それ以降口を噤むしかなかった。




ナズナさんが饒舌すぎて文章量がとんでもない事に…
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