転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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102.呼び出されました

ウンディーネ3の月。

あたしがこの世界に来たのが確かシルフ1の月だから、もうそろそろ一年が経とうとしてた。

 

登校して下駄箱を見たら、封筒が入っており、あたしは首を傾げる。

 

「どうした、シャル?」

「いや、なんか封筒が入ってて…」

 

可愛らしい便箋からして、多分相手は女の子だろう。

首を傾げたあたしを見てナズナが問いかけてきた。

 

「宛先は?」

「何も書いてない」

 

封蝋から何かわかるかと思ったが、どこにでも売っているようなシンプルなやつで、正式な物ではない事が見て取れる。

 

「捨てればいいんじゃないだろうか」

「…そうしたいところは山々なんだけど、もしかしたらファンクラブの人のかもしれないし…」

 

流石にこんな可愛らしい便箋で、ラブレターはないだろうが。

 

そう言えば、前世では下駄箱を開けた瞬間、封筒が山のように雪崩れて来た子がいたな。

容量は決まっているはずなのに、どこにそんなに入っていたのかしら、と思う程。

カヅキがそれを見て、漫画かよと笑っていたっけ。

 

あたしは爪を硬化させ、ペーパーナイフよろしく封筒を開ける。

そんな姿を見て、ナズナは若干眉を顰めた。

 

「お前、自分の体便利に使ってやしないか?」

「これくらい良いじゃない。それに、道具は使ってなんぼでしょ。 …そんな目で見ないでよ。自分の事を道具だと言ったわけではないって」

 

ムッとした彼に弁明する。

指や爪くらい、誰だって使用するじゃないと言いたかっただけで。

 

「…わお」

 

封筒を開け、中の便箋を見た瞬間そんな声が出た。

ナズナも後ろから便箋の中身を見るが、あたしからそれを取り上げ、ビリビリに破いて捨ててしまう。

 

「ちょ、ナズナ? それあたし宛で…」

「なんでシャルが呼び出されなければならん。それに、氏名も書いてない所が気に食わない。行かなくていいぞ、シャル」

 

そう言われても、ほんのすこーしだけ、本当にすこーしだけ。

ファンクラブの人かもしれないと思ってしまう。

多分違うんだろうけど。

 

「行って、誰もいなかったら帰ってくるよ」

「…俺もついていく」

 

心配してくれるのはありがたいが、呼び出されたのは寒風吹き荒ぶ校舎裏。

あたしは風邪を引いても何とか出来る自信があるが、ナズナが倒れでもしたら国政が滞る。

 

ただでさえ、あの陛下がナズナに投げてくる仕事の量が日に日に多くなっていっているというのに。

一体何やってんだと、一回雛桔梗の偵察機で様子を見た事があったが、妃といちゃついている様子が殆どだった。

 

「大丈夫。あたしがいない間、ルティを置いていくから。心配しないで。貴方の専属護衛は、頑丈なのだから」

 

わかったわかったと、彼はあたしの手を愛しそうに撫でる。

あの日から、ナズナのスキンシップは明らかに減った。

彼も、真剣にあたしとの将来を考えてくれているのだと、嬉しくなる。

 

撫でられた手でナズナの手を握って、あたし達は教室に向かった。

 

◆◆◆

 

あともう少しで冬休みだというのに、呼び出した人は誰だろうか。

 

放課後、ルティにナズナの護衛を任せてあたしは校舎裏へと来る。

待ち始めて1時間が経過しようとしていた。

 

「んー…あと数分来なかったら帰ろ」

 

雛桔梗に表示してもらってた時刻を見て、あたしはそう呟く。

日が暮れて寒くなってきたが、一応体温調節魔法を編み出したので全く寒くない。

むしろ夏にこれを編み出しておけば良かったかと、少し後悔した。

 

「あら、待ちましたかしら?」

 

数人の取り巻きを引き連れ、女生徒が現れる。

リボンの色を見ると、どうやら三年生のようだ。

 

「別に待つのは苦ではないので。何か用ですか? 先輩」

 

あたしがそう言うと、先輩の眉が寄った。

どうやら寒い中放置して、あたしを虐めようと考えていたのだろうがお生憎様。

貴女達より、魔法の扱いは巧くてよ。

 

「なっ…」

 

絶句している先輩を見て思った。

 

これ、あたしが気に食わない系の人かな。

 

と。

この学校は今、四つに派閥が別れている。

 

一つ目はあたしのファンクラブ。

なんでか知らないけど、上から下の学年まであたしのファンという人がいて、強者に強く、弱者に優しく、才色兼備なお姉様が大好きです、とファンの人に言われた事がある。

 

二つ目はナズナの純粋なファン。

ナズナの婚約者になれなくていいから、遠目から姿を見たいだの、できれば側妃にして欲しいだので、あたしが邪魔だと思っても陰口を言うだけで何もして来ない。

 

三つ目は中立派。

あたしが婚約者になってもならなくても、どうでも良いという人達。

大体はこの派閥の人達が多い。

自分の国の王太子の事だが、だからなんだと思っているみたい。

 

四つ目が一番厄介で、あたしの事が気に食わない人達の集まり。

ぽっと出の平民で、魔王を討伐したからと21貴族の養女になり、王太子に見初められて行く行くはこの国の王妃になる。

それが気に入らない人達。

選民思想とでも言うのだろうか。

自分達の高貴な血に、汚れた平民の血が入ることが許せないらしい。

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