転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

107 / 276
107.リミッターつけてもらいました

「シャルの不安を払拭しましょう。測定器なら、すぐ作れますしね。義父として任せてください」

 

大船に乗ったつもりで、とお義父様はそう言ってくれる。

先輩の言う通り、あたしは運が良かった。

こんな素敵な家族に巡り会えたのだから。

 

「では、軽くこれを殴ってみてください」

 

お義父様は訓練場に着くと、何らかの機械を持ってきた。

真ん中に、殴れるようなクッションみたいなものが設置されている。

 

「殴った重さを測る機械です。さぁ、どうぞ」

「お嬢様、本気で殴っても構いませんよ」

 

軽くとお義父様は言ったが、ターニャは本気で殴れと言う。

一体どっちに従ったらいいか分からなくなるが、あたしは取り敢えずお義父様の言に従った。

 

クッション部分を軽く殴る。

すごい勢いでそれは仰け反り、元の位置に戻ってきた。

 

「ふむ…これで軽くですか」

「お嬢様、次は本気で殴ってくださいませ」

 

ターニャにそうせっつかれてしまったので、今度は軽く体を捻りながら全体重と魔力を乗せて殴る。

クッション部分が弾けて飛んでしまって、あたしは唖然とした。

 

「…壊れちゃったんだけど」

 

あたしは機械を指差し、ターニャを見る。

彼女も少し呆然としていたがすぐに我に返ったようで、お義父様の方を振り向いた。

 

「末頼もしい限りですね、シャル。この数値、成人男性くらいの威力ですよ」

「魔力を乗せた方は、測定不能ですか?」

 

お義父様はその問いに肩を竦める。

事実その通りという事だろう。

 

「という事は、魔力を使わないで相手を倒せばいいという事…?」

「そういうわけにもいかないでしょう。旦那様と私では、流石にここまでしかお手伝い出来ないようなので、助っ人を呼びます」

 

そう言うと、ターニャはメイドエプロンのポケットから何かを取り出した。

手に持っているそれを見て、あたしは驚く。

 

「なんでスマホ持ってるの?!」

「あれから強奪しました」

 

あれというと、カヅキか…。

本当、彼女も身内に甘いというかなんというか。

多分ターニャによこせと言われて渡したんだろうな…。

 

ターニャが番号を押してどこかに電話をかける。

相手が誰だか予想ができたので、あたしは苦笑いするしかない。

 

「私です……誰が詐欺ですか…えぇ、お嬢様の一大事です、すぐに来るように……お嬢様を犯罪者にしたいと仰るのですか? ……なら、すぐに来るように」

 

ターニャが電話を切った瞬間、彼女の影からカヅキが現れた。

この間会った時より幾分か成長しているようだが、格好がいただけない。

 

「貴女、女の子なのにその格好はないわ…」

「お前だって、なんでこんな暗いのに制服着てんだよ。部屋着にくらい着替えろよ」

 

カヅキの格好は半袖のTシャツに、ハーフパンツと随分ラフな格好で、向こうの季節が夏なのだと伺える。

だが、こちらは冬なので見ていて寒々しい。

 

着替えてる暇がなかったのよ、まぁその通りなんだけど。

 

そう口に出しかけた時、カヅキがガタガタ震え出した。

 

「さっむ! ここさっむ!! そうか、こっち冬か!! くそ、ターニャさんこっちの季節言ってくれませんかね?!」

「聞かれませんでしたので」

「いや、言えよ!!」

 

顔を合わせる度に、口論になる二人にあたしは苦笑いになる。

お義父様の方を見ると、なんとも微笑ましげに二人の様子を眺めていた。

 

あたしはカヅキに指摘された通り制服だったので、指を鳴らして寮にある私服と制服を入れ替える。

まぁ確かに、一回着替えてから来るべきだった。

カヅキも指を鳴らし、瞬時に夏服から冬服に衣服を変える。

 

「で? なんで私が呼ばれたんです?」

「お嬢様のためです」

 

経緯を説明しろって何回言えばわかるんだ、あんたは!!

 

と、またもターニャに噛みつこうとしたカヅキに、あたしが説明した。

 

「…成程、んじゃリミッターつけりゃいいな。ナツキ、そこに座れ」

 

あたしの説明に納得したカヅキは、魔法で椅子を作る。

そこへ腰掛けると、あたしの足元にカヅキが座った。

 

「何するの?」

「雛桔梗に、お前の魔力のリミッター役をしてもらう。何段階かに分けて、徐々に解放していくやつな。そうすりゃ、全力を出しても相手を殺すような真似は出来んだろうさ」

 

彼女は色んなディスプレイを空間投影し、これまた空間投影されたキーボードで何かを打っていく。

あたしは何をされているかよく分からず、首を傾げてしまう。

 

「雛桔梗出した方がいい?」

「待機状態でも出来るように調整するから、そのままで良い。雛桔梗、久しぶりだな。元気にしてただろうが、今からお前のプログラムに私特製のプログラムを付け加える。異常があったら報告してくれ」

 

あたしの足元にあるアンクレットに、カヅキは話しかける。

側から見たら不審者極まりないが、そこに雛桔梗が待機しているので仕方ない。

 

「地べたに直接座るとは何事ですか。クッションを用意したので、お座りなさい」

 

ターニャがカヅキにクッションを差し出した。

それを彼女は大人しく受け取る。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。