転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

108 / 276
108.開会式です

いつの間に用意したのかと見れば、少し離れた場所でロンドリーネとマリーがお茶の用意をしていた。

 

【お久しぶりです、カヅキ様。了承致しました。我が主の為になるのでしたら、いくらでもどうぞ】

「お前は本当に良い子だな。ナツキにはもったいないくらいだ」

 

それはどういう意味だろうか。

ジト目になりながらカヅキを眺める。

 

「ここをこうして…こうなると。プログラムに異常は?」

【はい、少し動作が重くなるようです。こちらのプログラムを提示します】

「それを噛ませつつ、こっちはどうだ?」

 

ターニャが差し出してくれた温かいお茶で暖をとり、二人の会話を聞いていた。

やっている事は理解したが、話が全くわからない。

 

「ターニャは二人の会話、わかる?」

「はい。カヅキにプログラミングを教えたのは私ですので」

 

お義父様もカヅキの後ろから、しげしげと彼女が打ち込むプログラムを眺めて感心している。

技術肌だから、興味があるのだろう。

 

「これ、あたしわからないんだけど。今何をやっているの?」

「お嬢様の魔力出力をレベル別に段階的に分け、お嬢様が許可した場合、どれくらいまで出して良いかの調整をしているようです。リミッターを全解除したら、今悩んでいる力のまま振るえるようにと」

 

最小出力はどれくらいになるのかしら、と首を傾げていると、カヅキが徐ろに立ち上がった。

 

「よし、ナツキ。得意魔法を撃ってみろ」

「いや、突拍子もないわね? あと、得意魔法なんてないわよ。その時の状況に合わせて使っているだけだから」

 

いきなりそんな事を言う彼女に、少し呆れる。

カヅキは少し思考した後、とりあえず魔法を撃ってみろと言ってきた。

 

ここが室外で良かった。

壊してもなんとかなるもの。

 

「最大魔法でいっても良いわね? 大竜巻(サイクロン)!」

 

風魔法最大の大竜巻を発生させる。

それは天高く巻き上がり、上空の雲さえも巻き込み始めた。

 

「ちょ、出力変わってないんだけど?! むしろもっと酷くなってない?!」

「雛桔梗、リミッターを段階的にかけてやれ」

 

雛桔梗がカウントを始める。

それにつれて、段々と威力が弱まってきた。

 

「おぉ…」

【これが最小出力です、我が主】

 

威力がとても弱まり、これなら人を吹っ飛ばせるだろうというレベルにまで落ちる。

これならなんとかなるかもしれない。

 

「ありがとう、カヅキ!」

 

あたしは感謝を込めて、カヅキを抱きしめる。

彼女はなぜか複雑そうな表情で、あたしを見た。

 

「お前、もう少し恥じらいというものをだな…」

「? 女の子同士なのだから、別に良いのではなくて?」

 

何か問題があるだろうか、と首を傾げていると、ターニャがあたしの肩に手を置く。

 

「お嬢様、もう夜も遅いですし。お帰りになられませんと、ナズナ殿下がご心配なさるかと」

「んー…それもそうね。ごめんなさいね、カヅキ。また遊びにきてね?」

 

頭を撫でると、彼女の眉が少し寄った。

撫でられて多少不服なようだ。

 

あたしはその場にいる人達に手を振り、寮へ帰ったのだった。

 

◆◆◆

 

対抗戦当日。

開会式の最中、二学期末の成績の結果は冬休み明けと説明された。

トーナメント形式のため、生徒数が多い事から三日間かかるらしいとも。

 

脱落者に敗者復活戦はなく、その時点で成績は決まるとの事で、皆意欲的になっているようだ。

あたしとしては、そこそこな成績でいいので、別に皆ほど意欲的ではない。

 

「シャル、お前に当たってくる奴は全て蹴散らせ。俺が許す」

「それは命令? それともお願い?」

 

あたしは横にいるナズナと目を合わせず、まっすぐ前を見ながら言う。

四方八方から、敵意を向けられているのに気付いたからだ。

下手したら対抗戦が始まる前に刺される可能性もある。

 

「お前の主人の言葉なら命令だが。お前はどちらと取りたい?」

「どちらでも良い。今それどころじゃない」

 

何この殺気の多さ。

あたしに向けられてるのもあるけど、ナズナにもある。

あたしはナズナの方をチラリと見た。

 

彼と目が合う。

どうやら彼も気付いているようだ。

 

「流石に今は仕掛けては来ないだろう」

「そう思いたいけど。あたしが離れてる間、レヴィかルティに見ててもらうから。何かあったら蹴散らしても構わないわね?」

 

そう問うと、彼は頷いた。

 

「先生方にも報告しておこう。対抗戦以外で魔法を使うとどうなるか、短慮な者達は理解していないようだしな」

「そうして」

 

開会式の挨拶が終わり、生徒は各自自分の番が来るまで観客席に移動する事になったが、あたしとナズナはその場に残る。

あたし達の他にも数人残っていたが、皆こちらを見ていたからだ。

ナズナが先生に報告するために歩き出す、その瞬間彼に向けて魔法が一斉に放たれる。

 

「雛桔梗!」

【リミッター、一段目開放します】

 

あたしはナズナの周辺に、魔法無効化の結界を張った。

その結界に触れて、ナズナを狙った凶弾は全て霧散する。

それを見ていた先生方が、魔法を使った生徒達を全員別の場所に連行した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。