転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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111.出番です

「なんでそういう解釈になる。本気で戦ってみたいだけだ。それで敵わないなら、さらに精進しなくてはと思うだろう? そろそろ、俺だってお前を守りたいんだ。お前が婚約者になったら、俺の専属護衛から外れるんだから」

 

そうなのだ。

流石に婚約者を専属護衛にするのはと、ニーナ隊長に相談した時に言われてしまった。

親衛隊にいても良いのかの問いもノーだった。

ナズナの婚約者になるという事は、妃教育を受けなければならないという事らしい。

むしろ、王太子の婚約者だという事で、親衛隊の護衛をつけなければならないと言われてしまった。

 

前のナズナの婚約者、ついてませんでしたけど。

と返したら、あの人が嫌がったからつけられなかっただけだと言われた。

 

確かに、護衛とかを続けながら妃教育を受けるのは厳しいものを感じる。

流石のあたしでも無理だ。

 

「浮気したら許さないから」

「誰がするかって。この話も何回目だろうな」

 

くっくっと笑う彼に、ムッとなる。

婚約者になって専属護衛から外れるという事は、部屋も別になるという事。

あたしと違う人が、ナズナと一つ屋根の下になるという事だ。

少し、許せない。

 

「貴方に懸想する親衛隊の人がいるかもしれないじゃない。貴方にその気がなくても、既成事実を作ろうとか」

「そこはニーナの人選次第だろうな。まぁ、俺に迫ってきた奴はすべからくクビにしてもらっているから、マトモなのしかいないはずだぞ。そこはシャルが一番よく知っているだろうに」

 

うん、わかってる。

今の親衛隊の人達は、皆良い人ばかりだ。

あたしがナズナの専属護衛になった時も、羨ましい以前に頑張れと激励してくれた人達なのだ。

疑いたくはないのだけど。

 

「貴方が格好良いのがいけないと思うの。貴方があたしを誰にも取られたくないと思うように、あたしだって、貴方を誰にも取られたくないのよ」

「シャル…」

 

顔を背けながら言うと、ナズナが抱きしめてくる。

とてもきつく、きつく。

 

「あまり、お前は自分の本心を語りたがらないからな。今の言葉を聞けて、俺は嬉しい。出来れば唇を奪いたいくらいだ」

「だから、それは婚約者になってからって話でしょう? もう…苦しいわ、ナズナ」

 

あたしがそう言うと、ナズナはすぐに離れてくれる。

 

「もうそろそろだから、行ってくるね。あたしの活躍、見てて」

「あぁ、行ってこい」

 

ナズナに手を振り、あたしはもう場に上がっていた先輩を見た。

意地の悪い笑みを浮かべている姿に反吐が出る。

 

あたしはこの対抗戦のルールを思い出す。

 

一つ、ここで戦闘をしても死亡しない事。

結界から出れば無かったことになるらしい。

 

二つ、観客席に向けて魔法は撃たない事。

結界で無効化されるので、間違って撃っても観客席にいる生徒は無事だが、わざとな場合その生徒は失格。

学期末の実技も、ここまで勝ち上がったとしても0点になるみたいだという事。

 

三つ、試合が終わるまで場から出ない事。

出た時点で、そこまでの成績が反映される。

 

あとは、試合が終わるまで観客席からこちらに来る事は出来ない、も追加だ。

 

あたしが場に上がると、先輩が話しかけてきた。

 

「貴女を早々に潰して、ナズナ様には考えを改めていただかなくては。そして、私がナズナ様の婚約者になるのですわ」

「よくここまで上がってこれましたね。驚きです。あと、あたしはまだ候補の段階です。最終的に決めるのは殿下ですけど」

 

あたしとナズナが相思相愛なのは、周りから見ても明らかなのだが、立場的にまだ候補だ。

それに、とあたしは続ける。

 

「殿下は以外と面食いなので、あたしがもし選ばれなかったとしても、先輩だけは絶対選ばないと思いますよ。ちゃんとお肌のお手入れしてます? 吹き出物ばっかりじゃないですか。スキンケア用品とか使ってます?」

「きぃぃぃっ!! その生意気な口、効けなくしてやりますわ!!」

 

まぁ、あたしもスキンケアとかした事ないけど。

あれ面倒じゃない?

そんな事言ったら、ターニャが寮にまで乗り込んできそうで怖いから言わないけど。

 

「雛桔梗、フェーズ2」

【了承しました】

 

先生の開始、の言葉を皮切りに、あたしは結界内に自分の魔力を霧状に放出する。

雛桔梗にリミッターを2まで解放してもらったお陰で出来る芸当だ。

 

「な、何ですの? これは?」

 

霧のせいであたしの姿が見えない先輩が困惑の声を上げる。

屋外では出来ないけれど、ここは半分屋内だ。

結界で霧がその場に留まれるのだから。

 

「さて、遊びましょうか。先輩」

 

光の屈折を利用し、何体ものあたしを出現させる。

先輩は魔武器であろう薙刀を取り出し、当てずっぽうにあたしを刺していった。

 

「はずれ、それもはずれ。やる気あります?」

「きぃぃっ!! 何処なんですの?! 逃げるなんて卑怯ですわ!!」

 

逃げる?

卑怯?

 

ずっと貴女の背後にいるんですけど。

 

「あたしに気付けないなんて、貴方ナズナの事支える気あります?」

「…っ! そこっ!!」

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