転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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112.連戦です

振り向いてあたしに薙刀を振り下ろそうとした先輩の顎を、掌底で横へ打ち抜く。

脳震盪を起こさせたので、先輩はそのまま崩れ落ちた。

 

魔力を収束させて、上空へ撃つ。

霧が晴れた後倒れている先輩を見て、先生はあたしに軍配をあげた。

 

「シャル、見事だった」

 

戻ったあたしにそう言いながら、ナズナは頬を撫でてくる。

それがくすぐったくて、くすくす笑ってしまう。

 

「ありがとう。でも、見えていた?」

「いや、全く。俺もあの手を使われたら勝てるだろうか、と思考していたくらいだ。俺の時は、流石に速攻で終わらせるのはやめてくれよ?」

 

あたしは正面から抱きしめられ、そう言われた。

そんなに戦いという名の舞踏をしたいのだろうか、この人は。

 

「あたしとしては、貴方が早々に倒れてくれたらと思っているのだけど」

「シャル…」

 

少し非難めいた目をされたが、どこ吹く風で流した。

 

◆◆◆

 

ナズナは順調に勝ち上がってしまい、決勝まで行ってしまう。

あたしとしても次の相手を下したら、ナズナと当たってしまうので頭を抱えた。

 

「棄権するのも癪だし…ナズナの時に棄権したら、彼が不機嫌になるし…うーん」

 

万事休す、とはこの事か。

打つ手無し。

なら覚悟を決める他ない。

 

「…よしっ!」

 

あたしは自分の頬を叩き、気合いを入れる。

一度眼を閉じ、深呼吸を繰り返す。

そして。

 

「…遊んで差し上げましょう。後悔なさらないようにね?」

 

再び眼を開け、総帥モードの自分に切り替えた。

ナズナが怖いと言っていた、あたしに。

 

場に上がると、周りから歓声が上がる。

どうやら、この戦闘は生徒達が見たかった試合のようで、所々から声援が上がっていた。

 

「お姉様ーっ! 頑張ってーっ!!」

 

そんな声が聞こえ、あたしはそちらの方に手を振る。

黄色い歓声が上がってもあたしはまだ手を振り続け、相手の先輩が不愉快な声を出した。

 

「アイドル気取りですの? 良いご身分ですこと」

「あら、先輩? 良いご身分、ではなくその通りなので。あまり家の事をひけらかさないでいただけません? お里が知れましてよ」

 

クスクス笑うと、ロドリゲス家の令嬢である先輩の癇に障ったらしい。

頭に血管が浮き、ゴツイ肩が上下し始めた。

どうやら興奮してきたらしい。

 

「まるでゴリラのようですわね、先輩?」

「お黙りなさい!!」

 

先生の開始の合図とともに、先輩は斧を召喚してあたしに突っ込んでくる。

単純動作なので、あたしはそれを避けながら背中を蹴った。

 

「このっ!!」

 

前転で勢いを殺し、斧に魔力を乗せて先輩は振う。

あたしはそれを受け止めようと手を出した。

瞬間、先輩は飛び上がり、あたしの背後に回る。

 

「ここですわ!」

 

もう片手で受け止めようとしたが、遅かったようだ。

先輩の斧があたしの首を通過していく。

瞬時に首をくっつけたけれど、頭が軽くなった気がしてあたしは転んだ。

 

「っ!!」

 

あたしが倒れた場所に斧が振り下ろされた。

まぁ、転移でその場所から移動した後だが。

 

「あら、お似合いでしてよ。その髪型」

 

先輩が嘲りを込めた顔で、あたしへそう宣う。

髪がなんだというのかと触って、異変に気づいた。

 

あたしの腰まであった髪が、肩口にまで短くなっている。

別に鬱陶しかったから良いのだけど。

 

「それはありがとうございます。では、お返しいたしますわね? 雛桔梗、フェーズ10」

 

あたしの最大火力、食らえばいい。

片手を上げ、あたしは魔法を唱える。

 

天災(テンペスト)

 

結界内に暴風が吹き荒れ始め、雨が降り始めた。

それは豪雨になり、雷も落ちてくる。

ただ、それは唱えたあたしには当たらず、先輩に落ちまくっていた。

結界内なので外に水が溢れる事もなく、どんどん水位が上がっていく。

 

「あ、貴女も無事では…」

「誰がこの状況を引き起こしていると思っているんですの? 何回か雷に撃たれているのに、衝撃にお強いのですね? 先輩の属性は風とお見受け致しましたけれど、雷にも耐性を持ってらっしゃるなんて、なんて羨ましい事」

 

ふふふ、と笑うと、先輩の顔が恐怖に引き攣り始めた。

そんな顔をしても、もう遅い。

水位が上がり、先輩を飲み込んだ。

呼吸が出来ないようで、彼女はもがき苦しんでいる。

 

あたしはすーっと先輩の側に寄ると、肩に手を置いた。

 

「先輩、人間の水分量をご存知ですか? 体の半分は、水分なんですって。なら、全てを水分にしたら…人間ってどうなっちゃうんでしょうね?」

 

ニコリと笑い、先輩の身体組成を全て水に変えてみる。

予想通りというかなんというか、スライム状になった先輩は、そのまま消え失せた。

 

「はい、終了」

 

あたしは手を鳴らす。

災害が跡形も無くなり、しかし先輩は消えたまま。

先生が唖然としているので、あたしは申し訳なく笑う。

 

「先生、結界を解いていただけませんか? 元通りになるのでしょう?」

 

あたしの言葉に、我に返った先生が慌てて結界を解く。

真正面に、倒れ込んだ先輩の姿が現れた。

気絶しているようだが、これであたしに楯突く気はなくなるだろう。

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