転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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115.異世界転移のようです

冬休みに入り、あたしはテスタロッサの家に帰ってきていた。

あの騒動の後の成績発表で、あたしは学年二位の成績を叩き出したらしい。

らしい、というのは、それが又聞きだからだ。

 

あれから少し情緒が不安定になってしまったあたしは、ナズナが傍にいないと気分が悪くなり動悸が激しくなって、蹲ってしまうようになった。

だから、彼の傍を離れないようにしていたものだから、張り出された直後見に行く事も出来なかったのだ。

アン達が嬉々として教えてくれて、助かったと言わざるを得ない。

ターニャやお義父様に報告が出来ないからだ。

ちなみに学年一位は、ナズナだったりする。

 

「うぅ…情けない…」

 

適温の紅茶を飲みながら、あたしは今までの経緯を思い出し、嘆息した。

ナズナが傍にいないと、何も出来なくなってしまうとは。

それほどまでにショックだったのはわかるのだが、精神的に脆すぎやしないだろうか、あたし。

 

「俺はシャルと共にいられるから、情けないとは思わんがな」

 

温室にティーセットを用意してもらい、あたしとナズナはお茶をしている。

この地は雪が降らないものの気温が低くなるので、外でお茶をするのも厳しい。

外にいる気分を味わうため、メイド達にこの場へお茶を用意してもらったのだ。

 

「ナズナにべったりって、あたし鬱陶しくない?」

「逆に聞くが、惚れた奴に抱き付かれて、嬉しいと思う以上の事があると思うのか?」

 

確かに。

四六時中は…流石にあたしは勘弁だけれど、好きだという態度を取られるのは、嬉しいものを感じる。

 

あの対抗戦の後、一回ナズナを連れてターニャに会いにいき、こういう事情だから制限を一部解除して欲しいと頼み込んだ。

彼女の眼光でナズナが死ぬんじゃないか、と言うくらい、ターニャが彼を睨みつけていたのは記憶に新しい。

さらに拳を握って震えていたのは、彼女なりに我慢してくれていたからだろうと伺えた。

 

「あたしの心の傷が癒えるまで、って条件付きでキスと同衾まではオッケーになったけど…癒えるのかしら。凄いトラウマになっている気がするんだけど」

「それならそれで、俺はお前に償っていくだけだ。お前に愛を囁くのも惜しむつもりはない」

 

いや、それはいつも言ってるのでは?

 

あたしは彼から目を背けて、照れる。

あれから、いつも以上に彼はあたしを気にかけてくれるようになった。

体調面でも、精神面でも。

そこまでしなくてもいいと思う程に。

 

流石に、お姫様抱っこで登下校すると言い始めた時は止めたけれど。

 

「もう学校行くの嫌だなぁ…。ナズナとこうやってのんびりしていたい…」

「中退か…結婚したらしていいぞ」

 

机に肘をつき、頬杖をしながらナズナはニコリと笑う。

あたしは彼をジト目で睨んだ。

 

「それは、ナズナだけ学校に行くって事じゃない。

こんな状態のあたしを放っておいてなんて、酷い人ね」

 

プイッ、と顔を背けるあたしに、ナズナが慌て出した。

 

「いや、そういうつもりでは…! お前が嫌だと言っても、俺は辞めるわけにはいかなくてだな…!」

「わかってる。あんまり本気にしないでよ。こういう休養期間が多ければ、貴方から離れても大丈夫だって、思ってるから」

 

そう、大丈夫なはず。

でなければ、あたしは一生ナズナにおんぶで生きていかなければならない。

 

苦笑するあたしに、ナズナも困ったように笑った。

 

その時だった。

温室の一角に、亀裂が走ったのは。

 

「えっ?」

 

そちらを見るのと同時に、そこへ吸い込まれる感覚を覚えた。

 

「シャル!!」

 

ナズナがあたしを抱きしめる。

このままでは彼も危ないと感じたあたしは、ナズナを突き飛ばそうと力を込めた。

だがしかし、それ以上の力で彼は腕の力を強める。

 

「ナズナ、離し…っ!」

「もう遅い」

 

彼がそう言うや否や、あたし達は亀裂に吸い込まれたのだった。

 

◆◆◆

 

「ん…」

 

どれくらい経ったのだろう。

陽の光と、草の匂いで目を開けた。

ナズナに抱きしめられながら、彼のゆっくりとした呼吸音を聞く。

どうやら彼は眠っているようで、あたしは体を起こした。

ナズナの腕の拘束は案外すんなり解けて、彼の体を見る。

 

見る限り怪我はなさそうだけど…。

 

「雛桔梗、ナズナのスキャンチェック。身体に異常があったら教えて」

【スキャンチェック開始します………終了。ナズナ様に異常は見当たりません、我が主】

 

その言葉に、あたしは安堵する。

良かったと思うと同時に、ここは何処だと辺りを見渡した。

辺り一面森で、人がいそうとは思えない。

 

「ここ、何処だかわかる?」

【異世界、エルトラントのようです。我が主】

 

エルトラント?

異世界って事は、別時空に飛ばされたって事か。

叶うなら、近くの森に転移しただけ、って希望を持ちたかったところだけど。

 

しかし、あの亀裂はなんだったのだろうかと思案していると、雛桔梗が告げてくる。

 

【要救助者と認識され、こちらに向かってくる熱源多数です。どうしますか? 我が主】

「…どうしますかって言われても。助けてくれるなら、まぁ…従いましょう」

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