転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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116.親友と再会しました

数十秒後、機械の鎧を身に纏った人達が現れた。

彼らは聞き慣れた、しかしあたしが知ってる言語と少しばかり違う発音をして、尋ねてくる。

 

Geht es dir gut(大丈夫ですか)? Bist du verletzt(怪我してませんか)?」

 

ドイツ語?

っぽいけど、なんかちょっとだけ違う。

 

あたしに話しかけてきた子は、声の質からして女の子みたいだ。

ただ、皆顔まで鎧を纏っているせいで、ラーニングが上手くいかない。

あたしは意を決して、ドイツ語で話してみる。

 

Es ist okay(大丈夫です). Hier Vielleicht(ここにもしかして) Sommermond(カヅキが) Bist duda(いたりしませんか)?」

Warum denkst du das(どうしてそれを)?」

 

夏休みに聞いた彼女の言語に酷似していたので、もしかしたらと彼女の名前を出してみたのだが、どうやら当たりだったようだ。

良かったと思う反面、今対峙している子に警戒を抱かせてしまっている事に危惧を覚える。

カヅキに敵対している人達だった場合、ナズナを守りながら戦闘をする事になるからだ。

 

あの人、平気で悪役気取ったりするもんだから、反感を抱かれて喧嘩を売られていたの、見た事があるのよね。

 

Charlotte, Ich möchte(シャルロットが来たと), dass du mir sagst(伝えてもらう事は), dass du hier bist(出来ませんか)

「warten Sie eine Min(ちょっと待っててください)ute」

 

女の子は何処かに連絡をとっているようで、あたしは警戒しつつ、ナズナの様子を伺う。

 

まだ起きない…。

雛桔梗が大丈夫って言ってたけど…。

 

少し心配になっていると、女の子の影が揺らいだ瞬間噴き上がった。

その中から、カヅキが慌てた様子で現れる。

前に会った時よりも大人びていて、黒いスーツがとてもよく似合う。

 

「ナツキ?! 何故ここにいる?!」

「こんにちは、カヅキ。ごめんなさい、あたしにもわからないの。亀裂に飲み込まれて、気が付いたらここに。ここ、貴女の世界だよね? 保護してもらう事は可能かしら?」

 

それは構わないが、と彼女はナズナの方を見た。

 

「で? そこの眠り姫と化してる王子様はなんだ? こんなに周りが騒がしいのに、よくぐっすり寝てられるな?」

「さっきから起きなくて…呼吸はしてるから生きてるけど…」

 

まさか、植物状態になっているんじゃ…。

 

あたしは最悪な想像をしてしまって、カタカタ震え出す。

そんなあたしを見て、カヅキはナズナの脇腹を蹴り上げた。

 

「いっ!! ぐぅっ…! …って、なんだここは…? シャル?」

「ほら、お前の王子様は無事だ。だから、そんなに泣きそうになるな」

 

あたしの肩に手を置いて、カヅキは諭すように言ってくる。

だが、あたしは起き上がったナズナに這い寄り、抱き付いた。

 

「シャル…シャルロット。大丈夫だ、大丈夫だから。どこも怪我してない。そんなに怯えないでくれ。俺は死んでないから」

「……ナズナてめぇ…ナツキに何しやがった」

 

カヅキの声に、険が含まれ始める。

あたしの様子がおかしい事に、そしてその原因がナズナである事に気付いたようだった。

 

「俺が…」

「やめてっ!!」

 

あたしの叫び声に、ナズナもカヅキも口を噤む。

 

「お願い、やめて…やめてよ…嫌…やだよ…」

 

意識が遠のいていく。

あたしはそのまま、ナズナの腕に抱かれながら気を失った。

 

◆◆◆

 

意識の浮上を感じて、あたしは目を開ける。

左手に何か温かいものが触れているのに気付いて、あたしはそちらの方に目を向けた。

そこは彼の手に包まれていたようで、今も握られている事から彼がずっとここにいた事を物語っていた。

 

「…ナズナ?」

「シャル、起きたか」

 

あたしが目覚めた事にホッとしたのか、安堵の表情を浮かべる彼の顔を見て、あたしは目を見開く。

 

「え…何その頬…」

「いや、ちょっとな…」

 

ナズナの頬は明らかに腫れており、湿布をしていても隠しきれていなかった。

困ったように笑う彼を見て、あたしは起き上がる。

 

「ちょっとじゃないでしょ?! 治すから…」

 

回復魔法を施そうとナズナの頬に手を伸ばし、彼に止められた。

 

「良い。それにこれは戒めだ。この程度で許されたとは思っていない。彼らの大事なお前を泣かせたんだ。本来なら殺されている所を、お前が悲しむからと見逃してくれた。ターニャの分も入っているんだろうさ。本当に…弱くてすまない、シャル。それでも俺は、お前の隣にいたい。こんな愚かな男を許してくれ、シャルロット」

 

伸ばした手を取られ、彼の大きな手で包まれる。

悲しげに揺れる瞳へ、あたしは首を横に振る事で応えた。

 

「あたしの方こそ、弱くてごめん。あたしのために殴られてくれて、ありがとう。許すも何も、あたしだって貴方を離してあげられないのだから、おあいこだと思わない? 本当に、あたしには勿体無いくらい素敵な人。大好き、ナズナ」

「シャル…」

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