転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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121.初めてワインを飲みます

あたしがナズナに嫁ぐのは、すでに決定事項だ。

それは変えられないし、変えたくない。

 

「わかんない。ターニャがお義父様の求婚に応えてくれればいいんだけど」

「……そうか、ターニャか」

 

苦笑を浮かべるナズナに、あたしは首を傾げた。

あまりにも怒られすぎて、苦手意識でも持ったのだろうか?

 

「ナズナ? どうかしたの?」

「…いや、俺の義母になるのかと思ったら、少しな。頭が上がらなくなりそうだと思ってな」

 

あたしは机の上に置かれたお菓子を食べる。

ほんのり甘さを感じる程度なので、とても紅茶と合う感じがした。

 

これ、うちでも作れないかしら。

どこの職人さんのお菓子なのかな?

明日カヅキに聞いてみよう。

 

「シャル、ワインもあるが飲むか?」

 

棚の方を見たナズナが、ワインセラーがあるのに気付いたようであたしに尋ねてくる。

 

貴族の屋敷につきものだと思うのだが、カヅキってば、サービス精神旺盛すぎないかしら?

あれいくらするんだろう?

 

流石のあたしでも、ワインがヴィンテージになると値段が高くなるという知識くらいある。

あたしは席を立ち、ナズナの横を通り過ぎてワインセラーに近づく。

 

中のワイン一本一本の製造年を確認してみたが、今が何年なのか把握が出来ていない時点で、無駄な行為かとワインを元の位置に戻した。

 

「なんか、後で請求されても怖いから、やめておこう」

「あのカヅキだぞ? 請求するわけないと思うが。それに、俺が勝手に何本も空けて飲んだならともかく、たったの一本をお前と俺で分けて飲んだと知れば、咎めるはずもないだろうに」

 

ナズナが背後に立ち、あたしを抱きしめてくる。

頭に頬擦りされ、苦笑した。

 

「カヅキに怒られたら、一緒に怒られてね?」

「勿論だ。シャルだけの責任にするわけないだろう」

 

一番年代が若かったワインを取り出し、ナズナに渡す。

あたしはワイングラスを持って席に着いた。

コルクを抜いてもらい、ナズナはあたしのグラスにワインを注いでくれる。

とてもいい匂いと、アルコール特有の匂いがしてふと、そういえばアルコール飲むの初めてだったな、なんて事を思い出した。

 

「ナズナ、あたしワインとかお酒類飲むの初めてなの。おかしくなったらごめんね?」

「ちゃんと介抱するさ。心配しなくていい」

 

ナズナがワインを飲む姿に少し見惚れた後、あたしも一口飲んでみる。

少し酸っぱい葡萄ジュースみたいな味がした後、苦味がきた。

これがアルコール特有の味という事だろうか?

 

「…結構度数高いな、これ」

 

ナズナが少し驚いているようだが、度数とはなんだろうか?

 

「度数って? あと今更だけど、未成年なのにワイン飲んで大丈夫なのかしら?」

「未成年ではないだろう。うちの国じゃ、15から成人だ。あと、度数っていうのはアルコールの強さだったか。数字が大きくなればなるほど、アルコールが強いという事だ」

 

それを平気で飲んでいるナズナって、結構お酒強いって事じゃない。

そう言えば、別荘でも普通にワイン飲んでいたっけ。

 

あたしもまた一口飲む。

体がポカポカしてきたようで、なんだか楽しくなってきた。

目の前のお菓子をつまみながら、ワインを飲むことを繰り返す。

そんなあたしを見て、ナズナは少し困ったように笑った。

 

「シャル、飲むスピードが早い。そんなに早いと、すぐに酔いが回るぞ」

「んー? 楽しくてー、えへへ」

 

へらっと笑うと、ナズナが少し顔を赤らめて目を逸らしてしまう。

何故だろうと首を傾げると、彼は小声で呟くように言った。

 

「……可愛い」

 

お酒飲んでるだけで可愛いと言われるとは。

まぁ、今楽しいからいっか。

 

「というか、暑くない? 冷房入ってるー?」

 

カヅキの屋敷だから、冷暖房完備だと思っていたのだけど、そうじゃなかったのかしら?

 

手でパタパタと顔を仰ぐが、暑さは一向に変わらない。

 

「いや、酔ってるから体温が上がってるだけだ。シャル、その…服を脱ごうとだけはしてくれるなよ? 流石に、俺も理性が…」

「何馬鹿な事言ってるの。着替えるなら、ちゃんと備え付けのバスルームに行って着替えるわよ。貴方の前でなんで脱がなきゃいけないの、スケベ」

 

罵倒してやると、だよな、と苦笑いを浮かべる彼に、そうよと返す。

 

確か、アルコールを飲んだらその倍以上の水を飲まないと、次の日二日酔いという名の頭痛に見舞われるから、ちゃんと水を飲むようにって、お酒を飲んでたお父様にお母様が注意してたっけ。

 

お水ってここあったっけ?

いや、バスルームの隣に洗面台があったな。

あそこで水飲もう。

 

「今日は疲れたなぁ。ナズナお風呂…は明日でいいか。酔ってたら危ないって聞いたことあるし」

「シャワーだけなら問題ないと思うが。湯船は危ないだろうけどな」

 

ワインを飲み終わり、軽く伸びをしたあたしに彼はそう言ってくる。

 

湯船で溺死は嫌だな、流石に。

 

「先に入ってくる? それとも一緒に入る? 事故防止のために」

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