「教練場と呼ばれている場所だ。ここでヴァンツァーの教導をしている。ナツキ、これに魔力を流せ」
カヅキが投げて寄越してきた物を、受け止めて見る。
要の部隊の人達が持ってたみたいな、ドッグタグらしきもの。
あたしは素直にそれへ自分の魔力を流す。
「これでどうするの?」
「今からあいつらと戦ってもらう。ナズナへの攻撃で、その行為自体恐怖を覚えてるだろ? 荒療治だが、お前がまだナズナの護衛としてやるつもりなら、治しておかないとな? そのタグは防死の魔法陣が刻まれててな、一回だけ死ぬ事を防いでくれる」
カヅキは拡声魔法とディスプレイを呼び出し、教練場にいた生徒達に通達した。
「お前達集合。今からこいつと模擬の戦闘訓練をしてもらう。ルールはこいつを撃破出来れば勝ちとする」
「カヅキ、シャルは生身だぞ。せめて雛桔梗を返してやれ」
生徒に説明を行っている最中に、ナズナは彼女に苦言を言う。
黙ってろという風に、カヅキはナズナを睨んだ。
「先生、俺もそう思います。シャルロットさんは、何も武器持ってないじゃないですか」
通信でヨシキ君だろうかが、カヅキに意見してくる。
だけどそれを、彼女は悪役みたいに笑いながら却下した。
「お前ら、こいつを舐めてかかると死ぬぞ。ナズナ、お前もだ。話だけ聞くに、こいつ生身でお前に勝ってるんだろ? まぁ、お前が弱すぎたのかもしれんがな」
「………」
反論出来ず、ナズナは押し黙ってしまう。
あたしは思わずため息をついてしまった。
「わかった、やる。何か条件でもある? …あ、スカートだと中身見えそうだからスラックスに変えていい?」
「かまわん。条件は…そうだな。手加減はしなくていいが、殺すな」
あたしはスカートからスラックスに魔法で変換させて、創造魔法でガントレットとレガースを作り出し、装着する。
深呼吸を何回か繰り返し、一回目を閉じた後再び開けた。
「了解した。かかってくるがいい、貴様ら。格の違いというものを、教えてやろうじゃないか」
ナズナが背後で息を呑んだ。
あたしの総帥モードに、驚いたみたい。
あたしは教練場の真ん中まで歩みを進める。
機械の鎧で浮き上がった者、遠巻きにあたしを見ている者と、各々の動きをし始めた。
「では、状況開始!」
カヅキの合図と共に、近接武器を持った生徒達が突っ込んでくる。
あたしはニヤリと笑い、一人の生徒に瞬時に近付いてその腹を殴った。
殴られた生徒は意識を失い倒れる。
硬い鎧で覆われているのは分かりきっているので、中に衝撃が行くように殴ったのだ。
それを何回か繰り返し、倒れた生徒を増やしていく。
上空から攻撃が来たので、倒れた生徒を盾にして防いだ。
身体強化を自分に施し、盾にした生徒を上空から攻撃してきた部隊に投げる。
流石に投げられた生徒を避けるわけにもいかず、共倒れして落ちていった。
これも何回か繰り返し、落ちてきた人達にも近距離部隊と同様に、衝撃を与えて昏倒させる。
「さて、今楽にしてやる」
あたしは大量の光球を作り出し、倒れている人達の上まで移動させるとそれを落とした。
非殺傷だが、当たると物凄く痛い代物だ。
周りで呻き声が上がり、消えていく。
辺りを見渡すと、残機は三。
多分、アオイちゃん、ヨシキ君、アイラちゃんの三人だと推測できた。
「どうした? 私に怖気でもついたか? そちらが来ないなら、こちらから行くが?」
あたしは刀を創造で作り出し、三人に向ける。
光学迷彩なのか、一機が消えた。
うわ、厄介。
一回見失うと、索敵するのに時間がかかる。
流石カヅキの教え子だ、わかってるなぁ。
だけど甘い。
「そろそろチマチマした戦いも飽いてきた所だ。ここで終いにしようではないか」
あたしは片手を上げ、ニヤリと笑う。
「どの死に様が良いか、選ばせてやる」
あたしは四大属性の最上魔法を、四方に作り出した。
一つは
普通の術者なら、一つを作り出すだけでも魔力の消耗が激しいと聞く。
だけどあたしの魔力は無尽蔵。
まだ、作り出そうと思えば作れる。
三人はその場にいられなくなったのか、真ん中に集まってきた。
あたしは刀を掲げそこへ雷を落とす。
そして、三人に向けて雷の斬撃を飛ばした。
ヨシキ君が盾になり、持っていた刀で雷撃を受け止めていたが、衝撃に耐えられなくなったのか消える。
アイラちゃんと思しき機体が、あたしへ向けて銃を撃ってくるが、それも時魔法を使い止めて、銃弾を全てひっくり返した。
指を鳴らし解除すると、銃弾は全てアイラちゃんに向けて撃たれ、彼女も消える。
最後に残ったのはアオイちゃんだけだ。
「ナツキさん、強いですね…。儚げな印象しかなかったです」
「あれも私の一面だよ…カヅキ、終わらせて良いな?」
管制室にいるであろうカヅキを仰ぎ見る。