転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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126.ナズナがキレました

彼女は頭が痛そうにしていたが、この状況を作り出したのは貴女でしょ、と言ってやりたくなった。

 

「余所見とか…!」

「しても勝てるからしている。悪いな」

 

あたしに切りかかってきたアオイちゃんを、彼女の方を見ず下から薙ぎ払う。

その衝撃で、アオイちゃんも消えた。

 

あたしは魔法を消し、伸びをする。

 

「シャル!」

 

管制室から出てきたナズナが、あたしに駆け寄ってきた。

一体何事かと思えば、抱きしめられる。

 

「ナズナ? どうかした?」

「無事か? というか、だからあれはやめろって何度も言ってるだろ?!」

 

少し離れたかと思えば、肩を掴まれて苦情を言われてしまった。

総帥モードの事を言っているのはわかるんだけど、なんでそれで苦情を言われなければならないのか。

理解に苦しむ。

 

「状況終了。お疲れさまでした、お嬢様」

「カヅキ、あの戦い方でよかったかしら? もっと反撃するべきだった?」

 

あたしが尋ねると、彼女は首を横に振った。

 

「むしろやりすぎだ。なんだあの最後の。あれに巻き込まれてたら即死だっただろ、アイツら」

 

と言い、彼女はあたしの頭を軽く叩いてくる。

衝撃はあるが痛くはないので、反省しろの意だと感じた。

あれでも手加減していたのに、更にしろと言う。

 

「むぅ…難しい…」

 

更に手加減ってどうすれば?

 

◆◆◆

 

明日までにレポートを提出するように言われ、あたしとナズナは教室に連れて行くという彼女の後を追う。

ついでに、スラックスに変えていたスカートを元に戻した。

時刻は午前10時。

さっきのはニ限目の授業だと言われた。

 

「そういえば、ナズナ。ここの人達が何を話してるか、理解出来てるの? 普通に会話してるように聞こえるのだけど」

「あぁ…お前が倒れた後、カヅキに翻訳魔法というものをかけてもらった。こちらの言語は勉強中だ」

 

なんと。

あたしが倒れてる間に色々あったらしい。

 

翻訳魔法…便利だなぁ。

あっちの世界にも魔法があったなら、勉強しないで済んだかもしれないのに。

と、楽な方に考えるなあたし。

人生常に勉強だって、長谷川も言っていたじゃないか。

 

そんな事を考えていたら、教室の前に到着してしまった。

 

「着いたが、心の準備は大丈夫だな? 大丈夫じゃなくても開けるが」

 

言いながらカヅキは扉を開け中に入っていく。

この感覚は、ナズナの専属護衛として初めて学校に行った時に味わったものと同じだった。

 

「緊張してるか?」

「少しだけ。貴方は?」

 

あたしの問いかけに、ナズナは微笑みを返してくれる。

何も心配する事はないと、伝えてくれているようだった。

 

「お前ら座れ。授業の前に、今日から暫く体験留学生がここに居座る。いいか、騒ぐんじゃないぞ? 騒いだ奴は単位削るからな? …よーし、お前ら入ってこい」

 

カヅキに促され、ナズナから先に入り続いてあたしも教室の中に入る。

 

「じゃあ、お前ら。自己紹介しとけ」

 

色んな視線が、あたしとナズナに注がれていた。

少しの居心地の悪さを感じるのは、あたしだけではないと思いたい。

 

「ナズナ・エキザカム・ブリリアントだ。しばらく世話になる」

「シャルロット・マリアライト・テスタロッサです。よろしくお願いします」

 

拍手が起こる。

どうやら歓迎してくれているようだ。

 

「朝練で大変な思いをした諸君。美男美女がしばらくいてくれるから目の保養をしておけ。さて、ホームルームはこれにて終わりだ。お前らの席はアオイの後ろに用意してあるから好きな方を使え。以上」

 

言って、カヅキは授業の準備をし始める。

あたし達はアオイちゃんの方に歩いていき、席に着席した。

 

「アオイちゃん、さっきはごめんね。大丈夫?」

「いやー、負けちゃいました。ナツキさん強すぎじゃありません?」

 

アオイちゃんに謝ると、彼女は苦笑しながらも返してくれる。

良かった、怒ってなさそうで。

 

「あたしカヅキと一緒だから、彼女が出来る事は大体なんでも出来る…」

 

と話している所で、黒髪の男の子があたしの方へ近寄ってきた。

そしてあたしに頭を下げたかと思えば、手を差し出してくる。

訳がわからず固まっていると、男の子が教室中に響くような声で言ってきた。

 

「一目惚れしました! 僕とお付き合いしてください!! 僕、沖田青葉と言います! この世界に呼ばれて勇者をしている者です! 僕に君を守らせてください!!」

 

唖然と、男の子…アオバ君を見ていると、あたしの背後、隣に座ったナズナが立ち上がった音がした。

そしてアオバ君の近くに寄ると、彼の手を叩き落とす。

 

「ちょっと、ナズナ?!」

「シャル、まさかこいつの気持ちに応えるとか言わないよな?」

 

叩き落とされた手を痛そうに抱えているアオバ君は、ナズナを睨みつけている。

しかし彼はそんな事気にせず、あたしの方へニコリと微笑んでいた。

 

「いや、言わないけど。一体何をやっているの、貴方は?! いきなり暴力を振るうなんて…!」

「シャルは俺のだ。わかってるよな?」

 

ダメだ、嫉妬と怒りで我を忘れてる。

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