あぁ、ここが部屋なら、ナズナのこの状態も治められたというのに!
「彼女はモノじゃない! 人をモノ扱いするなんて…!」
「部外者はすっこんでろ。俺とシャルの問題だ」
ナズナに睨まれてもアオバ君は怯まないようで、あたしとしては火に油を注がないでもらいたいのだけど、そんな願い叶うわけもなく。
「なら、彼女を助けるのは僕の使命だ! 君みたいなのに追い回される彼女の気持ちを、考えた事があるのかい?」
「…はぁ?」
ナズナの額に青筋が浮いた。
本気で怒ったようだ。
こんな彼の顔を見た事がないので、あたしはアオイちゃんの側まで避難する。
「怖い、ナズナが怖い…」
「ナツキさん。あれ収められるのナツキさんしかいない気がするんですけど」
うん、わかってる。
あたしがアオバ君にキッパリ、あたしはナズナを愛してるからって言えればいいんだけど、あの一触即発な空気の中言えるわけなくない?
「お前ら、次は座学の授業なんだが…廊下にでも立ちたいのか?」
カヅキの方から何か飛んできて、ナズナとアオバ君の頭にクリーンヒットする。
見ればチョークだったが、物凄い勢いで飛んできたものだから、二人は床に倒れ伏した。
「ナズナっ?!」
「そこ、心配するな。こんくらいで死ぬなら、転んだだけで死ぬ。さて、静かになった所で授業を始めるぞ」
カヅキが座学を始めるが、授業半ば辺りでナズナが起き上がった所を見るに、気絶くらいはしていたのではないだろうか。
アオバ君も起き上がって、自分の席に帰っていく。
隣に座ったナズナに、念話で話しかけた。
〈大丈夫? 気絶してたの? どこか痛むところある?〉
〈平気だ。カヅキには迷惑をかけた。帰ったら謝らねば…〉
さっきの行動を反省しているようで、ナズナが若干目を伏せている。
あたしは苦笑して、机の下で彼の手に触れた。
〈さっきの貴方、少し怖かったよ。それに、何回も言ってるじゃない。あたしは、貴方を愛しているんだって。アオバ君に何言われたって、この気持ちは揺るがないの。嫉妬してくれるのは嬉しいけど、あたしをあまり怖がらせないでほしいかな〉
〈悪かった。俺も愛してる、シャルロット。ここが家ならキスをしているところだ〉
彼から指を絡めてきたので、あたしは指でナズナの手の甲を撫でる。
〈帰ったらして〉
〈わかった〉
ナズナの機嫌が治ったようで、あたしは少し安堵した。
まぁ、この平穏はカヅキの授業が終わるまでだろうけど。
授業終了の鐘が鳴り、教壇に立っていた彼女は次はグランドに集合だと告げる。
なら着替えるべきだろうけど、それ用の貰ってないなぁと頭の片隅で考えていた時だった。
「ナズナ君!」
カヅキからナズナと共にチョーク攻撃を受けたアオバ君が、彼の名前を呼びながらこちらに向かってくる。
ナズナの眉が少し吊り上がるが、何も言わずアオバ君の方を見た。
「シャルロットさんをモノ扱いはしたくないけど、彼女を賭けて僕と決闘して欲しい。それに、君僕より弱そうだから彼女を守れるか不安だと思ってね。君より僕の方が相応しいと考えたんだ」
そんな事考えてたのか。
真面目に授業受けなさいよ。
ナズナの方を見ると、あたしが怖かったと告げたおかげか、我慢してくれているようだった。
ただ、あたしと繋いでいた手は離されてしまったが。
「ほぉ…見た目だけで判断するか。世の中には、貴様より強い者など五万といるぞ。まぁ、お前がどう頑張った所で、シャルの心は俺に向けられている。だが、貴様の気が済むのならその決闘受けてやろうじゃないか」
ニヤリ、とナズナは足を組み頬杖をつきなながら笑う。
アオバ君にはその表情は挑発と映っただろうが、あたしにとってはときめく表情でしかない。
格好良い、好き。
なんて絵になる表情なの。
色んな絵画とか見てきたけど、ナズナより絵になる肖像画なんてなかったわよ。
口に手を当て、あたしは頬が赤くなる。
そんなあたしを見て、ナズナはふわりと笑う。
ヲタクという人達の気持ちがよくわかる。
これが尊いという事なんじゃないだろうか。
ミーハーだった親衛隊の人達の話を聞いて知った知識だけど、これが俗に言うサービス精神旺盛か、なのだろう。
「ぃやぁ……ナズナ好きぃ……」
「おいそこの三人、馬鹿やってないで早く移動しろ。あと、決闘と言ったか? 許可してやるから、さっさとしろ」
本格的に顔を赤らめてしまい、手で覆ったあたしを見かねて、ナズナは横抱き…いわゆるお姫様抱っこで、あたしを抱き上げて移動を始める。
アオバ君がそれについて、彼に文句と言う名のやっかみをしていたが、ナズナが一言告げた。
「お前、シャルより身長低いだろ」
顔を覆っていたせいで状況が見えなかったが、アオバ君が押し黙った事から、事実を言われてしまったみたいだ。
ナズナの身長があたしより低くても好きになった自信しかないので、人の身長は関係ないと思う。
だが、それをアオバ君の前で言うつもりは全くない。
ここら辺で、元々書いてた小説の約半分くらいなんですが
終わる気がしません
この話の章に至っては、まだ三分の一しか進んでません
書きたいものとか、次の小説の登場人物とどうやって出会ったかとか
たくさんあるのに…