転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

128 / 276
128.ナズナ対アオバ君のようです

なんで恋人が不機嫌になるような事を言わねばならないのだ。

あたしに害しかないのに。

 

◆◆◆

 

第四グラウンドと呼ばれている所に着いたようで、あたしはナズナから、ゆっくり地面へ下ろされる。

 

「ごめんね、ナズナ。運ばせちゃって。重かったでしょ?」

「いや、役得だから良い。それに、お前は軽い方だと思うが。もっと重くなってもいいんだぞ?」

 

腰に手を回され、抱き寄せられた。

人前なのでそういう事はやめてほしいのだが、ナズナなりの牽制だろうから、大人しくしておく。

 

ただ、あたしの態度を拒否だと受け取ったアオバ君は、ナズナに噛みついてきた。

 

「その手を離すんだ、ナズナ君! シャルロットさんが嫌がっているだろう?」

「…お前の目は節穴か何かなのか?」

 

今までの態度からして、あたしがナズナを嫌がっているなんて、アオバ君以外は思ってはいないだろう。

むしろ、生暖かい目で見られてさえいる。

 

あぁ、アオイちゃん達もそんな目で見ているぅ…。

 

恥ずかしさで、また顔を覆った。

カヅキが手を叩いて、自分の方に注目を寄せるまで。

 

「よーし、基礎訓練を始めるぞ。だがその前に、ナズナ、アオバ。さっさとやれ。貴重な授業時間を与えてやるんだ、さっさと終わらせろ」

 

ニコリと笑む彼女から、怒っているという感情が読み取れた。

本来なら休み時間とかを使えばいいんだろうけど、それはそれで許可が入りそうだし。

 

あたしは時魔法を組み込んだ結界を張った。

これで怪我とか、見たくはないが死亡した時など、解除すればなかった事になる、便利な結界だ。

 

そこへ、ナズナとアオバ君が入っていく。

 

「この決闘は、お互いに一つ敗者に要求する事が出来る。周りの者は見届け人であり、証人でもある。この決闘に異議のある者は?」

 

カヅキが周りの生徒に尋ねるが、誰も異の声を上げない。

むしろ、授業が少し潰れてラッキーと思っている者も、ちらほらいるようだ。

 

「いないな? では、ナズナ・エキザカム・ブリリアントと沖田青葉の決闘を開始する。ルールは相手に降伏させるか、戦闘不能にすれば勝利とする。シャルロットが張った結界で、負傷しても無かった事になるしな。思い切りやれ。異存はあるか?」

 

カヅキが二人に尋ねるが、二人とも首を横に振る。

お互い目線を逸そうともしていない。

それほど、本気だという事だろうか?

 

「両者、獲物を構えろ。このコインが地面に着いたら開始だ」

 

彼女はポケットから一枚の金貨を取り出し、上空に向かって投げる。

二人が武器を取り出すのと同時に、コインが地面に落ちた甲高い音が響いた。

瞬間、二人は地面を蹴って接近し、切り結ぶ。

武器の勢いが強すぎたのか、火花が散った。

 

「ナズナは刀、アオバは黒鍵か。まぁ、今代の勇者は先代より役に立ちそうではあるな」

 

地面に落ちた金貨を拾い上げ、カヅキは呟くように言う。

アオバ君の武器を見た事がなかったあたしは、カヅキに尋ねた。

 

「ねぇ、カヅキ…先生。アオバ君が使ってる武器、見た事ないのだけれど。あれ何?」

「先生つけるな気持ち悪い。あれは悪魔祓いの護符の一種だ。魔力を流して物質化させている。切ったり投げたり多種多様に使う事も出来るが、あれちゃんとわかって使ってんのか?」

 

カヅキの呆れた視線の先、アオバ君はその武器を使ってナズナと切り結んでいるが、切るような動きしかしていない。

あたしがもしあの武器を使うとしたら、距離を取りつつ投げて、牽制しつつ一気に距離を詰めて別の武器で斬る、かな。

 

「アオバ君って、実践経験乏しい?」

「今は平和な時代だからな。戦闘訓練の戦闘以外、した事ないだろうさ」

 

なら、アオバ君に勝ち目はない。

ナズナは実践経験どころか、戦争を経験している人だ。

勝つか負けるかでの勝負ではなく、死ぬか生きるかの瀬戸際で戦ってきた人だ。

 

そんな人が、負けるとは思えない。

 

「ナズナっ!! 本気でやっちゃえーっ!!」

 

あたしの声に反応したのか、ナズナの体が帯電し始める。

あたしと戦った時に、見せたやつだ。

今まで刀だけだったのが足も使い始め、舞うようにアオバ君へ攻撃していく。

 

ナズナの蹴りへ防御しようとしたアオバ君が、ナズナに触れる。

瞬間感電したようで、パァンっという音と共に、彼は吹っ飛んだ。

受け身を取ったアオバ君はすぐに立ち上がったが、防御した右腕をダラリと下げている。

多少痙攣しているところを見るに、雷撃をまともに受けて使い物にならなくなったらしい。

 

ナズナは刀をアオバ君に向けて、可哀想なものを見る表情になった。

 

「お前…この程度で、シャルを守るとか言ったのか? 言っておくが、シャルは俺よりも強いぞ。そんな俺より弱いお前が、よく言えたものだな」

 

彼のその言葉に、アオバ君は歯を食いしばったようだ。

顔が険しくなっている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。