転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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13.決意表明です

食事をしながらナズナが尋ねてきた。

あたしはそれに答える。

 

「とても。貴方が隊長に進言してくれたんですってね? 親衛隊の人達の能力も把握しているみたいだし、貴方の頭の中どうなっているの?」

「一応、この国の住民全員の名と顔は覚えている」

 

何それ。

冗談にしては笑えないけれど、彼は冗談を言うタイプではない、と思う。

まだ会って一日二日しか経っていないけど、勘がそう告げている。

あたしの勘がどれくらい信じられるかわからないけど。

 

「なら、あたしがこの国の人ではない事は、わかっていたはずよね? 間者かもしれないのに、よく引き入れたこと」

「その髪の色は、とても珍しいからな。俺は生まれてこの方見たことがない。あと、記憶喪失な事は真実だろう? 本当に間者なら、今頃拷問している所だ」

 

涼しい顔して恐ろしい事を言う。

けれど、冷静に物事を見極めて信じてくれた事には感謝しかない。

 

食後のワインを傾けていたナズナに一言尋ねる。

 

「もしかして、夜伽の相手をしろとか言う?」

 

聞いた瞬間、ナズナがワインを吹き出した。

ゲホゴホと噎せているナズナの傍らに行き、背中を摩った。

 

「誰がっ…そんな事、頼むかっ!!」

「いやー、良い雰囲気なもんだからてっきり…」

 

苦笑いを浮かべるあたしへ、ナズナが若干睨みつけてくる。

 

「俺を、あの親父と一緒にするな…一応婚約者もいるんだ。なんで自分の専属護衛に手を出さなければならん」

「もう体の関係があるんだ?」

 

そんなあたしの一言に、ナズナは机へ突っ伏した。

そして机を勢いつけて叩く。

衝撃でワインボトルが宙に浮き、床に落ちそうな所をキャッチした。

 

「式を上げるまで、手を出すつもりはないし、そもそも、あの女に情欲が湧くかと言われたら湧かん!!」

 

な、なんかナズナが荒れ始めた。

いや、荒れる原因作ったのあたしだけど。

なんか、ごめん。

 

「ご、ごめんナズナ」

「大体、世の中の貴族の女なんて、地位のことしか見ないような奴らばかりだ。俺に群がってくるのも、側室になって甘い汁を吸いたい連中で、俺の事なんて…」

 

そこまで言って、彼は口を噤む。

はぁ、とため息を吐くとあたしの頭を撫で始めた。

 

「すまん、シャル。ただの愚痴だ、忘れろ」

「いや、こっちこそごめん」

 

その原因を作ったのはあたしなのだから、責めてくれてもいいだろうに、彼はそれをせず逆に謝ってくる。

とても優しい人なのだろうと思った。

優しいが故に、王族であるが故に、傷ついてきたのだろうか。

 

「ナズナ。あたし、何があってもナズナの事守るよ。ナズナの傍から離れない。四六時中、ってわけにはいかないと思うけど、ナズナの事、支えられるように頑張る」

 

撫でていた手を、頬に持ってきて微笑む。

そんなあたしを見て、ナズナは驚いた顔をしていた。

 

「…プロポーズみたいだぞ、シャル」

「…茶化さないでもらえると助かるんだけど」

 

どちらからともなく笑い出す。

うん、やっぱりこういう関係の方が好きだ。

 

◆◆◆

 

一ヶ月間みっちり、レイラさんからこの世界の常識を習い、次の一ヶ月は戦闘訓練に参加したりしていた。

走り込みもしたけど、体力のケージが全く減らないし疲れもしないので、隊の人達から化け物かと恐れられてしまった。

 

何故だ。

化け物とは失礼だなと思うんだけど、その通りなので反論出来ず。

 

夜は、あの日からナズナと2人で摂るようになった。

家族と摂らないのかと尋ねたりもしたけど、ユキヤ君も自室で摂っているそうで、朝だけしか顔を合わせていないそうだ。

 

そんな生活を続けて三ヶ月目。

もうそろそろ春の季節かなと思い始めた矢先の事だった。

 

「王都に帰る?」

「そう。陛下達と入れ違いで、側室様一行がこちらにいらっしゃるんだって」

 

木刀で撃ち合いをしながら、カナリアが教えてくれる。

この三ヶ月で隊の皆とも仲良くなれた。

取り敢えずナズナに倣って、各人の名前と好きな物嫌いな物は覚えたし、人間観察も得意になった気がする。

 

「側室様? 誰がいらっしゃるの?」

「イェルダ様とドロテア様だね。今年生まれた殿下達のお世話大変だからってさ」

 

伝え聞く所によると、新生児の世話はものすごく大変らしい。

 

「でも王家の人達なら乳母とかついてるんじゃ…?」

 

カナリアを木刀で吹っ飛ばしながら尋ねる。

彼女は空中で一回転しながら体勢を整え、地面に着地した。

 

「王家っていっても人がいっぱいだからさ。王位継承権問題とかあるんだって。そんな抗争から離れたかったんじゃない? 苦労して産んだ子供殺されたら敵わないよねー」

 

あはは、と笑う彼女だが、それ聞かれたら不敬罪で、頭と胴体がおさらばする羽目にならないだろうか心配になる。

 

「というか、王太子っているの?」

「いるよー、次期国王様。てかシャル、それも知らないで専属護衛になったの?」

 

いや、知らないでって言われてもこの国で生まれ育ったわけではないし、王族の人って言ったらナズナ達くらいしか知らないわけで。

 

ふとカナリアの言に、あたしは思い至ってしまった。

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