転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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132.帰ります

「そのディスクどうするの?」

「雛桔梗に読み込ませんだよ。次元断層を飛べるように、カヅキが雛桔梗を改良したからな。このディスクを読み込ませて、次元断層を渡って帰れるようにな」

「じゃあシャルも一緒に帰らねばならんという事だろう。なんだ、五徹でもして頭が回ってないのか?」

 

何だと、とルカさんはナズナの胸ぐらを掴む。

ルカさん、カヅキよりちょっとだけ背が高いから、ナズナの顔の近くまで手を伸ばせるんだよね。

カヅキがあれやろうとしたら、少し背伸びしないといけないっぽいし。

 

しかし、休日の昼下がり。

もうそろそろおやつの時間帯になるのだけど、今日帰った方がいいのかしら。

 

「ナツキー!」

 

ルカさんがいきなり抱きついてくる。

その後ろでナズナが怒りを露わにしていた。

 

「あの、ルカさん。抱きつくのやめてもらえませんか? ナズナが怒ってるんで」

「ナツキぃ…」

「いい加減離れろ」

 

ベリっと音が鳴りそうなくらいの勢いで、ルカさんはあたしから剥がされる。

剥がした張本人、愛しい人であるナズナにあたしは言った。

 

「もうちょっと優しく引き剥がしてあげて。あたしにもダメージ来るから」

「すまん、どこか痛めたか? シャル」

 

座っていたあたしを立たせ、彼はそのまま抱き上げる。

こちらに来てからナズナも鍛えられたのか、細マッチョな所は変わっていないものの、片腕であたしを抱き上げられるようになっていた。

 

うーん…王子様なのに体育派な気が…。

 

流石に怖いので、片腕で持ち上げるのはやめてほしいと伝えてはいたけど。

 

「大丈夫。ルカさん、それどれくらいかかります?」

「明日の朝くらいにはインストール終わるだろ。あと呼び捨てでいいって言ってるのに…」

 

カヅキよりか弱いようで、ナズナに床へ投げ捨てられたルカさんは、起き上がりもせず転がったままだ。

あたしを降ろしたナズナは、ルカさんと同じく転がったデータディスクを拾い上げ、あたしへ渡してくる。

 

「雛桔梗、読み込める?」

【こちらへどうぞ、我が主】

 

腕の部分が展開され、ディスクを入れる場所が開いた。

あたしはそこへディスクをはめる。

入れる場所が閉じて、部分展開が解除された。

 

「さて、急だけどみんなに挨拶してから帰ろうか?」

「帰るのは決定事項だが、そんなに急いで帰らなくてもいいんじゃないか?」

 

あたしの腰に手を回し、ナズナは抱き寄せてくる。

こちらに一月はいたけれど、季節は秋に差し掛かってきてて、流石にそろそろ帰らないとあちらがどういう状況になっているかわからなくて怖い。

 

それこそ、もしかしたら十年経っている可能性だって否定できないのだから。

それならそれで、ナズナとすぐ結婚できるからいいのだけど。

 

「もう…ここが居心地いいのはわかるけど、もうそろそろ夢から覚める時間が来たって事よ、あなた」

 

ここ最近、ナズナの事をあなたと呼ぶようになった。

あの時、ただのあたし達だという話をした時。

なら、擬似夫婦でいようと二人で決めた。

 

あちらに帰ったら、責任も何もかもを背負い直さなくてはならないから。

 

この癖、あっちに帰ったら直さなきゃ…。

 

ターニャの前でそんな事を言ったら、カヅキに鬼電しかねない。

 

「そうだな…。カヅキから挨拶回りしていくか」

「そうね」

 

あたし達は方々を周り、お世話になった挨拶をしていく。

ただ、アオバ君はあたしと離れがたかったようで、中々手を離してくれず、ナズナがイライラし始めたのが、少し難点だったかもしれない。

 

◆◆◆

 

「お世話になりました」

 

あたしはここの屋敷の主人、カヅキに頭を下げる。

ナズナも同様に彼女へ頭を下げた。

 

昨夜、もう大丈夫だと催眠療法が終了した旨をカヅキから告げられたので、本日帰る事が決定したのだ。

 

「次来る時は、連絡してから来い。歓迎の準備も出来んからな」

「こっちに来たのは不可抗力だったのだけど、貴女の所に来られて良かったよ」

 

あたし達は握手を交わし、ナズナが彼女と握手している間に雛桔梗を身に纏う。

 

【我が主、転移可能です】

「了解。では、皆様お元気で。ナズナ、行こう」

 

見送りに来てくれた人達に手を振り、あたしはナズナを抱き上げた。

保護フィールドを展開し、雛桔梗が開いてくれた次元断層に突入する。

 

【座標3521224.396304に到着します】

 

雛桔梗のアナウンスと共に、あたしは光に飛び込む。

そこはあたし達がいなくなった温室で、スピードを出していたあたしは、空中で一回転してからスピードを殺した。

 

「ナズナ、大丈夫? 何か違和感ある?」

「いや、平気だ。下ろしてくれ、シャル」

 

地上に彼を下ろし、あたしも雛桔梗を解除する。

 

「雛桔梗、今は王歴何年?」

【はい、我が主。王歴507年シルフ1の月13日です】

 

ナズナとお茶をしてた日から3日しか経っていない。

せめて、一月は経ってて欲しかったな。

 

「シャル、ベルファの所に行くぞ。多分、何時間かは説教されることを覚悟しておけ」

 

そのナズナの言葉通り、お義父様とプラスでターニャのお説教が物凄かったのだった。




異世界編終了。
駆け足すぎたし、何ならもっと長くなる予定ではあったけど
アレをどう処理したらいいかわからなくなり
こうなりました
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