転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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133.変な夢を見ました

シルフ2の月。

先月とんでもない事態に巻き込まれ、お義父様とターニャに物凄く怒られた。

一応不可抗力だという説明はしたが、ターニャに身体調査をされてしまい、ナズナに改めて感謝する。

 

鋼の理性で耐えてくれてありがとう、ナズナ。

おかげで、まだあの念書有効だよ…。

 

カヅキに治療された事も話したので、キスと同衾が禁止になってしまった。

 

その後、ナズナはユキヤ君の婚約者とお話する為に辺境の地へと赴き、春休みに話し合いをするという事になったとあたしに告げ、その際一緒に来るよう言われる。

 

そんな日の夜。

あたしは不思議な夢を見た。

 

どこかの洞窟なのだが、あたしはその知らない洞窟をスイスイと進んでいく。

分かれ道も全てわかっているかのように進み、一番最奥に辿り着いた。

 

地底湖とでもいうのだろうか、大きな湖の真ん中に、大きな岩が鎮座している。

そこへ続く一本道を歩いていると、大きな岩の麓。

金色の髪に、ピンクに近い赤の目をした女性が座っているのが見えた。

オフショルダーの白い、袖なしのワンピースを着ていた女性は、私がそこにいる事に気付いたのか、話しかけてくる。

しかし、女性の言葉が聞こえない。

 

貴女は誰?

何を話しているの?

聞こえないわ…。

 

女性は腕を上げ、あたしを軽く突き飛ばす。

普通ならそれでよろめいたりしないのだが、夢の中のあたしはよろめき、そして何故か物凄い勢いで洞窟の入り口まで吹き飛ばされた。

勢いは止まる事を知らず、あたしは上空まで飛ばされる。

 

このままじゃ、落ちて死ぬ…っ!!

 

夢の中なので、雛桔梗は呼び出せない。

そもそもそんな思考が、夢の中のあたしにはなかった。

 

下方を見ると、とても大きい森が見える。

 

これは…。

 

そう思った瞬間。

 

「シャル!!」

 

ナズナの声で目が覚めた。

あたしは一瞬、夢と現実の区別がつかず、目を左右に動かしてからナズナを認識する。

 

「ナズ、ナ…? どうしたの…?」

「お前が魘されていると言って、レヴィに叩き起こされたんだ。酷い汗だな…怖い夢でも見たか?」

 

ナズナはあたしの顔に浮かぶ汗を、自分の寝巻きの袖で拭ってくれた。

まだ部屋が暗い事から、寝て少ししかたっていないのではと思う。

 

「ごめん、ナズナ…起こしちゃって…。今、何時…?」

「夜中の2時だ。まだ寝直せる時間だから良いが…シャルは寝直せそうか?」

 

あたしは起き上がり、ふるふると首を横に振った。

寝汗が気持ち悪いし、寝たらあれをもう一度見そうで、寝る気にもならない。

 

「もう一回お風呂入って、お散歩行ってくる。ナズナは寝てて。ルティを控えさせておくから、大丈夫だと思うんだけど」

「お前が起きているなら、俺も起きていよう。心配するな。一日二日寝ない事など、城にいる時はザラだったんだ」

 

あたしの頭を撫で、ナズナは部屋を出ていく。

お風呂に入る準備をして、リビングで本を読み始めたナズナの横を通り、お風呂場に向かった。

 

汗を洗い流し、新しいものを着たあたしは、ナズナの隣に座る。

湯冷めしないようにと、レヴィがショールを持ってきてくれたので羽織った。

 

「何読んでるの?」

「軍事書」

 

それ、面白いの?

 

ナズナに寄りかかり、彼の肩に頭を乗せながら目を閉じる。

人が活動していない深夜。

静かな部屋に、ページを捲る音。

彼の呼吸音と、服越しに伝わる体温。

 

とても心地いい。

 

「シャル? 寝るならベッドに戻った方がいい。湯冷めして風邪を引くぞ」

「ん…」

 

ナズナが本を閉じた音がする。

だけどあたしは、彼の傍が良くて甘えるように頭を擦り付けた。

 

「…仕方ない女だな、お前は。だがそこが愛おしい」

 

あたしの肩に手を回し、ナズナが抱き寄せてくる。

そのまま抱き上げられた。

 

「…ナズナ。このままが良い…」

「夜は冷える。お前が眠るまで傍にいるさ」

 

ベッドに横たえられ、掛け布団をかけられる。

あたしの左手を握り、彼は頭を撫でてくれた。

 

「おやすみ、シャルロット」

 

ナズナのその声を聞いた瞬間、あたしは深い眠りに落ちたのだった。

今度は夢も見ずに。

 

◆◆◆

 

「あの夢、何だったんだろう…」

 

朝食後、食器等を片付けている最中にあたしはポツリと呟くように言う。

女性と、大きな岩と、広大な森。

 

どれも見覚えがなさすぎる。

夢なのだからと片付けてしまえば、その通りなのだが。

 

「シャル? どうかしたか?」

 

ナズナが心配そうに話しかけてくれる。

あたしは笑いながら、首を横に振った。

 

「昨夜に見た夢が気になっちゃって。それのせいでナズナ起こしちゃったし。ごめんね」

「それは気にしなくていいが。どんな夢を見たんだ?」

 

作業している横で、ナズナは壁に寄りかかり腕を組んであたしを見つめている。

うーん、とあたしは思い出しながら彼に話した。

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