転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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134.卒業式の説明をされました

「どこかの洞窟にいてね。そこを進んでいくと、金髪の女の人が…地底湖っていうのかな。大きい湖に、大きい岩の麓にいて。何か話しかけてくれてたんだけど、聞こえなかったの。その人に突き飛ばされたら、すっごい上空まで吹き飛ばされちゃって。落ちるって思った時に起こしてもらったんだ」

 

笑いながらナズナに話すと、彼は少し難しい顔をして考え込んでいるようだ。

ただの夢だと言ってくれてもいいのに、何か意味があるんじゃないかと思っているらしい。

 

「そんなに深く考えないでよ。ただの夢でしょう?」

「いや…お前だからな…」

 

あたしだからなんだと言うのだろうか、この人は。

特別な力を持ってはいるが、予知夢なんてものは持っているつもりはないし。

そんなものをアレが与えようものなら、サンテブルク教会に行ってヴェスタに会いに行く。

そして殴るわ、確実に。

 

「ナズナ?」

 

あたしの視線に、彼は首を横に振った。

夢の内容を考えた所で、結論は出なかったらしい。

 

「もうそろそろ、出る時間だろう。準備してくる」

 

そう言って、ナズナは自分の部屋へ入って行った。

一体何なのだ、様子がおかしくないか?

と疑問に思っていたが、あたしも一緒に出るので、自室に行く。

 

「寒ぅ…」

 

登校の為にナズナと共に外へ出る。

ダッフルコートにマフラーをしていたが、寒風があたし達を襲った。

シルフの名を冠しているだけあって、この三ヶ月は風が強い。

気温が低くなっている為、更に体温が奪われる結果になる。

 

「俺の後ろにいればいい」

「なんで護衛対象の後ろにいなきゃいけないのよ。はぁ…風が強くなければ、あったかいはずなのに…」

 

彼と手を繋いでいるため、そこの部分にも風があたり、手が冷たくなっていった。

あたしが少し愚痴っていると、ナズナが苦笑する。

 

「俺はこの季節、少し好きだぞ。お前と手を繋いでいても、あまり奇異の目で見られる事がないからな」

「普通の貴族は手を繋ぐんじゃなくて、腕を組むものね」

 

移動の際、男性は女性をエスコートする為自分の腕に女性の手を乗せて歩くのが、ここの移動形式らしい。

最初ナズナもそうして来たのだが、あたしが距離が近すぎると彼に言った事がきっかけで、この手を繋ぐというスタイルになったのだ。

 

「流石に、公式の場ではそうするわよ」

「そういえば、来月の卒業式のパーティーはどうする? 出るか?」

 

卒業式、という単語にあたしはナズナを見る。

こちらの世界でもそういう儀式があるのか、と少し感心してしまったからだ。

 

「下級生が出てもいいものなの?」

「むしろ、全校生徒が出る式典だぞ。まぁ、出席するか否かは、本人の判断次第だが」

 

ふーん、とあたしは彼と手を繋ぎながら景色を眺める。

出ない、という判断は出来ないだろうな、と予感めいたものを感じた。

多分、アン達が頼み込んで来るだろう事が予想出来たからだ。

 

「パーティーって、何をするの?」

「俺も一回しか見てないから、何とも言えんが。卒業証書の授与と、立食パーティー…それと、ダンスも途中で入るな。俺は女子生徒に取り囲まれてたから、あまりそこら辺の記憶がなくて…」

 

ナズナの表情が鬱屈したものに変わる。

去年の事を思い出して、辟易しているのだろう。

 

「貴方、パートナー連れていなかったからじゃない? 誰か親衛隊の人に、自分のパートナーになってもらわなかったの?」

「…なってもらったが、それでも群がってきたんだ」

 

一体誰がついて来ていたのだろうか。

カナリアかな?

 

あれかこれかと候補を考えていたら、繋いでいた手を引かれ、あたしはナズナの方へ近寄る形になった。

一体なんだと顔を上げると、彼はニッと笑って言う。

 

「今年はお前が傍にいるから、何も問題は無いな」

「…ちょっとだけ自信ないから、帰ったらダンスの練習付き合ってくれる? 足踏むかもしれないけど」

 

踏まないだろ、とナズナは言うが、あたしの事過信しすぎだと思うのは、気のせいじゃないはずだ。

信頼してくれるのはありがたい事だけれどね。

 

◆◆◆

 

「お姉様っ!」

 

学校に着いた途端、アンが駆け寄ってくる。

あたしは、先程ナズナと話していた内容だろうなと思いながら、アンを見た。

 

「おはよう、アン。どうかした?」

「お姉様! 卒業パーティーですけれど、ぜひ出席していただけませんか!?」

 

はい来たー。

やっぱり予想通りー。

 

あたしはナズナの方を見上げる。

全校生徒出席だとは聞いたが、それも強制ではないと彼は言っていた。

ならば、ナズナが出なければあたしも出なくていいという事になる。

 

「シャル、俺は王族だぞ。出ない選択肢があると思うのか?」

「わかってる、少し期待してみただけじゃない。あたしは殿下の護衛ですので? 殿下が出席すると仰るなら、あたしも出ますよ」

 

それを聞いていた、あたしのファンクラブの人達は喝采を上げた。

それを遠巻きに見ていた一部の人は、苦々しげにあたしを見ていたが。

 

「少し嫌味っぽくないか? シャル」

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