転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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137.エルフの隠れ里発見です

あたしもその場に居れれば良かったのだが、婚約者でもないただの護衛が、エルフの秘密を聞けるわけがない。

 

「流石にレヴィとルティを呼ぶわけにもいかないよね…あの二人、ここの出身ってわけじゃないから」

「最終的に、ここで野垂れ死ぬか、救助を待つか…」

 

悲観的にならないでほしい。

まだ早すぎる。

 

あたしは軽くため息をついて、ナズナの手を離した。

 

「シャル?」

「別に入る直前に手を離さなければ、逸れないんでしょ? ちょっと方法考えてみる」

 

あたしは目を閉じて、感覚を研ぎ澄ます。

 

魔力の流れとはまた違う、何かの流れがある。

入り口はあっちの方だったはずだから、そこから追って…。

 

しばらく何らかの流れを追っていたあたしは、目を開けた。

 

「見つけた。行こうナズナ。多分合ってるはず」

「おい、シャル!」

 

彼の手を引いて、木の間を抜ける。

蝶が舞う花畑を右に、霧がかかっている場所を左に。

陰鬱した場所をまっすぐ、そこからUターンして元来た道を戻る。

 

「シャ、シャル?」

「黙って。多分、これが一番安全なルートだと思うから」

 

先程の陰鬱した場所から魔物の気配がした。

ここにはエルフの他に、魔物も生息しているらしい。

ナズナも強い方だとは思うけど、こんな魔力が濃い場所にいる奴が、一般的な強さとは限らない。

そう思ったから、それらを避けるルートを歩いているのだ。

 

暫く歩いていると、開けた場所に出る。

綺麗な湖に橋がかけられ、そこも入り組んではいたが、あの濃い魔力が感じられなかった。

 

「出た…」

 

ナズナが唖然とし、そう呟く。

そしてあたしの方を見た。

 

「どうやってこの場所がわかったんだ?」

「どうやってって…魔力とは違う流れを追っただけなんだけど…」

 

今思えば、あれは精霊特有の魔力だったのかもしれない。

魔物とも人とも違う、何か透明な、綺麗な魔力だった。

 

あたしはナズナの手を引きながら、橋を渡る。

 

「そう言えば、精霊の祠について聞いた時、行けばわかるって言ってたけど、それは何故?」

「エルフの隠れ里の中に、精霊の祠があるそうなんだ。昔一度、生きてた頃の母上が教えてくれた。母上は吾妻ノ国の姫だったが、精霊の愛し子として精霊と話す事が出来たらしい。うちの国が豊かなのは、人の努力の結果でもあるが、半分は精霊の力なんだと言っていた」

 

なるほど。

ナズナのお母さんは、とても凄い人だったのだな。

それをあのボンクラ陛下に嫁ぐハメになるとは。

つくづく、人生とはうまくいかないものらしい。

 

まぁ、あたしはナズナに会えて感謝しかないわけだが。

 

「エルフの隠れ里って、人が入れるものなの?」

「義母上が、事前に文を送っていると仰っていた。少しぼんやりしている人だから、念の為ともう一通書いてもらって持ってはいるが」

 

陛下に対しては厳しく目を向けているけど、他に関してはすごくのんびりした方だったな、ベアトリーチェ様…。

 

王妃様の性格を思い出しながら橋を渡り切ると、向こうの方に集落のような物が見えた。

多分あれがエルフの隠れ里なのだろう。

 

「ナズナは精霊と話せる?」

「シャル、これは一般常識の分類なんだが…レイラに教わらなかったのか?」

 

うん?

いや全く。

 

あまりにも一般常識的過ぎて、レイラさんも教えるの忘れてたんじゃなかろうか。

あたしの魔法が、まさか精霊の力を介さないで使ってたものだとは、レイラさんも思わなかっただろうし。

 

あたしはナズナに、首を振る事で答える。

彼はため息をついて、歩くのを止めた。

 

「精霊にも、上位と下位の精霊がいてな? 大体は下位の精霊が、魔力を貰うついでに魔法の行使を行ってくれるんだ。詠唱や呪文っていうのが、それに当たる。彼らは意思はあれど、適性がある者にしか声が届かない。対して上位の精霊は、人と話す事が可能ではあるが、簡単に人には手を貸さない。だから強大な魔法を行使する際、その分を精霊に渡すから魔力の消費が激しいんだ」

 

ナズナ先生の講義は分かりやすいなぁ。

あたしは強大な魔法を行使したって、疲れはしないけれど。

 

「だからこの光の粒は、あたしから魔力を貰いたくて近寄ってくるわけね?」

 

先程森の外で見た光の粒が、あたしの周りを回っている。

ナズナも少し驚いて、その粒達を見ていた。

 

「光の精霊か…闇の精霊と同様、結構珍しいんだが…お目にかかれるとは…」

「珍しいんだ? 名前付けたらどうなるんだろう?」

 

やめろ、とナズナから肩を掴まれてしまう。

軽い気持ちで言っただけなのだが、危険な行為なのだろうか?

 

「お前の魔力量で名付けなど行ったら、相手はお前の従精になるぞ。魔力の消費も倍になる。死ぬ気か?」

「そんな馬鹿な。何、従精って? そんなに危ないものなの?」

 

これはおとぎ話だが、とナズナは前置きをする。

 

「昔、精霊と共に住んでいた女性がいたそうだ。精霊の声が聞こえていてな、ある日自分達に名前をつけて欲しいと女性は精霊に言われた。女性は快く精霊達に名前をつけていったが、途中で自分が何者かわからなくなったそうだ。名付ける事で自分の魔力を渡し、命を渡し、遂には精霊になってしまった。その女性は精霊と子を成し、妖精と呼ばれる種族を作り上げた、と言われている」

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