転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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140.イフリートと戦います

ダメに決まってるでしょ、と逃げようとしていたシルフをエアリアルに再度捕まえてもらう。

 

「さて、次はイフリートと戦わなきゃいけないのか…他の大精霊は止めてくれないわけ?」

〈ノームは基本的にノンビリしてるし、ウンディーネもノンビリしてるし。そいつらは、お前と戦おうとは思わないと思うよ。あと僕らは、お互いの事は基本的にどうでも良いんだ。だから、止めようって発想にはならないかな〉

 

それは何よりだ。

四大全員と戦わなければならないなんて、面倒この上ない。

あたし達はシルフの案内で、さらに最奥に向かう事になった。

 

◆◆◆

 

〈よく来たな、人の子よ! 我はイフリート!! さぁ、我と戦え!!〉

 

シルフに案内された先、断崖絶壁の下がマグマになっているような場所に辿り着く。

その名前の通り、イフリートはどうにも暑苦しい精霊のようで、あたしは辟易した。

 

「なんで戦わなきゃいけないんですかね? 腕試しって聞いてますけど、する必要あります?」

〈怖気付いたか人の子よ! それでは元素の精霊も嘆く事だろうなぁ!!〉

 

ダメだ、この精霊。

人の話を全くもって聞いちゃいない。

自分が戦いたくて仕方ない、って思考でもしているんだろうか?

傍迷惑な。

 

「ナズナ、今回は危なそうだから後ろに隠れててもらえる? 貴方が火傷を負ったら、あたし死ねるかもしれない…」

「いや、それは俺もなんだが…」

 

なんで自分は除外されてるんだと、ナズナから非難めいた視線を感じる。

神から力をもらっているのだから、除外しても良いではないか。

 

それに、あたしは人を半分辞めている。

それでも人扱いしてくれる彼が、本当に愛おしい。

だからこそ、怪我をしてほしくはない。

 

〈では行くぞ!!〉

「レヴィ、ルティ、足止めお願い」

 

あたしはテスタロッサの屋敷に控えている二人を呼び出した。

あたしの背後に現れた二人は、イフリートに対して攻撃を始める。

 

〈ぬぅ! 多対一とは! 卑怯な!!〉

「何が卑怯か。大精霊が人に戦いを挑んでいる時点で、こちら側が不利な事、理解していて?」

 

あたしは魔法陣を展開し、今回はナイフ状にした爪で自分の手を切り裂いた。

ナズナが痛そうにこちらを見ていたが、あとで回復魔法をかけて直すので、お小言は後にして欲しい。

魔法陣を展開し、そこへ血を落とす。

 

「我、(こいねが)う。我が血と引き換えに、彼の者を止めよ。来い、スネグーラチカ!!」

 

雪の精霊、スネグーラチカを呼び出した。

しかも複数。

彼女らにやってもらう事は、この暑苦しい環境を極寒に変えてもらう事。

それだけだ。

彼女ら自体に戦ってもらうわけではない。

 

足場が不安定すぎて、イフリートの攻撃を上手く避けれる自信が、あたしにはなかったからだ。

落ちたら流石に死ぬだろうし。

マグマが冷えて凍ったら、落ちてもなんとかなると踏んだのだ。

 

レヴィとルティはお互いの事を知り尽くしているから、連携しながら攻撃が出来ている。

ルティは空も飛べるから余計に。

 

あたしが一人で行うとなると、雛桔梗を駆使しなければならない。

もし、イフリートの火炎が雛桔梗を灼いたとしたら、修復に何日かかる事やら。

それ以前に、雛桔梗にも、レヴィやルティにも前線に立って欲しくはないのだけれど。

 

辺りが氷一面になったところで、スネグーラチカ達がこちらを見る。

あたしは頷いて、彼女らを元いた場所に還した。

 

「寒っ! 寒いぞ、我が主!! 攻撃が鈍るではないか!!」

「我が妻、準備が整ったようだ。引くぞ」

 

なんで引かねばならん、とルティに怒鳴った彼女だったが、無理矢理転移で連れて行かれる。

 

〈ククク…此れ式の寒さで、我が止められると思って…〉

「火を消すなら水でしょう? でも貴方の炎は水だけじゃ消火出来ないと思って。スネグーラチカに整えてもらったのよ。というわけで、雛桔梗。フェーズ10」

【制限解除致します。ご武運を、我が主】

 

リミッターを全解除してもらう。

あたしは片手をイフリートに向けて、唱えた。

 

氷嵐(アイスストーム)

 

氷の塊を纏った暴風がイフリートを襲う。

彼は自分の顔を守るように、腕を交差させて防いでいた。

 

〈ぐぅ…! だが、此れ式…!〉

「誰がこれだけだと言った? 凍槍(フリーズランス)!!」

 

氷の槍を複数生成し、イフリートへ飛ばす。

炎を出して応戦しようとしていたが、それらも氷の塊が消していった。

槍が彼の体を傷つけ、八つ裂き寸前になった瞬間。

 

〈イフリート、もう良いでしょう。実力は充分に分かったことだと思いますが〉

 

何もない空間から、ウンディーネともう一人、老人の様な人が出てくる。

あれは誰だろうか?

 

〈良いや、まだだ! まだ我は戦える!!〉

〈頭に血が昇るのは、貴方の悪い癖ですよイフリート。元素の精霊も嘆いておいででしたので、ノーム。何とかしてもらえませんか?〉

 

自分で何とかしないの?!

 

あたしとナズナは、思わずお互いの顔を見てしまった。

そして、彼女の方を見る。

多分、同じ表情でウンディーネを見ていた事だろう。

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