転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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146.ナズナと将来の話をします

「殿下の御子を身籠もっている方を、処刑出来るわけないじゃないですか…。ダンスとか動く系のレッスンは無しにします。ですが、知識は詰め込んで頂きますので、そのおつもりで。御子も暫くは隠してください。世間には連れ子だとでも言ってください…。別に、私ユキヤ殿下と婚姻を交わしたかったわけではありませんが、これは大分複雑です…」

「本当に弟がすまない…」

 

ユキヤ君を掴んだまま、ナズナが頭を下げる。

お人形のようなトンプソン嬢の顔が、呆れと憔悴しきった表情で埋め尽くされていた。

 

◆◆◆

 

とりあえず、オリヴィエさんはトンプソン嬢に預けて、あたし達は一回城に帰ってくる。

お産とかも向こうが受け持ってくれるみたいで、子供が産まれる連絡だけはしてくれるらしい。

それまでは接触禁止だと、ユキヤ君は言い渡されていた。

 

「…親父に一回報告してくる。ユキヤ、お前も来い。シャル、そこで待っててくれ」

 

陛下の執務室前、ユキヤ君の襟首を掴んでナズナは部屋に入っていく。

それを見送って、あたしは壁に背を預けた。

 

子供ができるだけでも、大騒動になるのか…。

本当にあの時、ナズナが耐えてくれて良かった…。

いや、むしろ感謝するのはカヅキにか。

ダメって言ってくれてありがとう…。

 

あたしは思わずため息をついてしまう。

 

「どうかしたのですか、シャルロット。ナズナ兄様が怒っていたようですが」

「シグルド殿下。いえ…詳細はナズナ殿下に聞いていただければと。私は殿下に付き従っていただけですので」

 

シグルド・シオン・ブリリアント。

ナズナに友好的なブリュンヒルデ家の長男で、ナズナの弟である。

 

あたしは彼に対して頭を下げるが、シグルド様はあたしの頭を撫でてきた。

 

「休日なのに、兄様に付き従っていたのですか。ご苦労様です、シャルロット。いつ見ても、君の髪はとても綺麗な蒼色ですね。僕は君の一個下ですけど、ナズナ兄様が少し羨ましくなる時があります。たまに、君が僕の専属だったらいいなぁ、なんて想像する事もあるんですよ」

「はぁ…。ありがとうございます…?」

 

何だろ、これ。

いつもながらに、褒められてるのか口説かれてるのかわからない人だな。

頭撫でられてるから、顔上げられないし。

 

「…まぁ、親父がそれでいいなら良いが…。ユキヤ、お前本当に……シグルド? シャルに何をしている」

 

話し合いが終わったようで、ナズナが陛下の執務室から出てくる。

あたしの頭を撫でているシグルド様と、撫でられているあたしという構図に、ナズナは疑問を抱いたようだ。

 

「あぁ、ナズナ兄様、ユキヤ兄様。ご機嫌よう。いえ、シャルロットの蒼い髪は、いつ見ても綺麗だなと思って頭を撫でていました」

「そうか、離れろ」

 

シグルド様の手が離れた瞬間、あたしはナズナから抱き上げられる。

 

「ちょ、殿下?!」

「俺は寮に帰る。ユキヤ、自分がやった事を少しは反省しろドアホ。じゃあな」

 

少しの浮遊感と共に、景色が城から寮の部屋に変わった。

ぽすん、とソファーに降ろされ、ナズナはあたしの脚に頭を乗せる。

 

「…疲れた」

「そうだね。あたしも驚いた…。オリヴィエさん、殺さなくてよかった…」

 

流石に子供の分の責は負いたくない。

ナズナはあたしを見上げ、ポツリと呟いた。

 

「シャルは、子供は何人くらい考えている?」

「…貴方、ユキヤ君が羨ましいって思ったんじゃないでしょうね」

 

思ってない、と少し拗ねたようにナズナは言うが、立場も何もなかったら、既に子供ができる行為をあたし達はしている事だろう。

 

「うーん…そうだなぁ…。貴方との子供なら何人でも欲しいとは思う。きっと、貴方に似て男の子は格好良くなるだろうし、女の子は可愛くなるでしょうね」

「その場合、女はシャルに似てるんだろうな。子供は授かり物だと、義母上は言っていたが…いつか、俺達の所にも来てくれたらいいな」

 

ナズナの頭を撫でながら質問に答えるが、この人は何を言っているのだろうか。

 

「貴方、次期国王って自覚薄れてきてない? あたし、貴方の妻にはなるけど、王妃にもなる予定なの。世継ぎ作らなきゃいけないんだから、来てくれたらいいじゃないの。絶対作って産まなきゃいけないの。わかる? あたしが出来ない場合もあるんだからね?」

「その時は、別の奴が王になるさ。選定は見定めるつもりだが、そこまでお前が気負う必要はないんだ。シャル。二人なら二人で良いじゃないか。子供は可愛いとは思うが、お前の瞳に俺がずっと映っていればいいとさえ思っている」

 

ナズナが体を起こし、あたしの額に自分のをくっつける。

優しく微笑む彼へ、あたしも微笑んだ。

 

「もう…本当に、あたしの事を愛しているのね。あなた」

「あぁ。愛しているよ、シャルロット。この世の誰よりも」

 

本当なら唇にキスをしたい所なのだけど、ターニャに禁止されているので、お互いの頬にキスをした。

 

◆◆◆

 

「…さて、卒業式で着るドレス、どうしようかしらね?」

 

久々に夕飯を作り、食卓に並べていく。

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