転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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162.未来でも相変わらずのようです

「やだ、太りそう…」

 

流石に運動はしてるわよね、あたし。

まさかぷくぷくに太ってしまってる?

ナズナ、あたしが太っても好きでいてくれるかしら?

 

「今も普通に食事を取っているのに、太ってはいないじゃないか。むしろもっと取った方がいいのではないか、シャル?」

「いきなり予告もなしに、抱き上げるのやめてちょうだい。貴方の腕力があるっていうだけの話かもしれないじゃないの」

 

あたしの腰を掴み、ナズナは持ち上げてくる。

危なすぎて、あたしは彼の肩に手を置いた。

そんなあたし達を見て、シンクは変わらないなと呟く。

 

「? 変わらないの?」

「変わらないですね。母様は見た目も変わってないですよ。二人の関係も相変わらずで。あんまり仲睦まじ過ぎて、城の使用人達は目を背けてますよ」

 

…それは、改善させた方がいいと思うのだけど。

未来のあたし、ナズナに流され過ぎでは?

 

「そうか。シャル、お前の体調を慮るが…子供はたくさん作ろうな」

「貴方ね! 息子がいる前で何言ってるの?! 少しはあたしの気持ちも慮って貰ってもいいかしらね?!」

 

軽く彼の頭を叩く。

シンクがクスクス笑っている所を見るに、これも日常茶飯事なのだろう。

本当に、未来でもあたし達は変わらないらしい。

 

「ターニャに告げ口するわよ」

「…すまん、降ろす」

 

あたしが少し睨みながら言うと、ナズナは素直に降ろしてくれる。

義母になるターニャが余程怖いようだ。

何かされたわけではないだろうに、彼女の気迫に気圧されでもしたのだろうか。

 

ナズナが?

まさかそんな。

カヅキじゃあるまいし。

 

「雛桔梗、ターニャに通信繋げてくれる? シンクの事について…」

 

あたしが彼女にそう言うと、ウィンドウが自動的に開き、文字が羅列される。

そこにはこう書いてあった。

 

【過去のあたしへ。シンクがお邪魔してしまっているようで、ごめんなさい。こちらに戻せるよう今手を尽くしている最中です。シンクが貴女の所にいるのは、ナズナの腹心である方が見つけてくれたので、こうして雛桔梗を通して貴女にメッセージを送っています。戻せる手筈が整ったらシンクのお嫁さんを送るので、それまで息子をよろしくお願いします。シャルロット・マリアライト・ブリリアント】

 

あたしは驚いて固まってしまう。

まさか未来の自分から、メッセージが来るとは思っていなかった。

固まったあたしを怪訝に思ったのか、ナズナが肩越しにウィンドウを覗き込んでくる。

 

「どうした、シャル……これは」

「…シンク、戻れる手筈が整ったら貴方のお嫁さんが迎えに来るそうよ」

 

あたしの言葉にシンクは驚いたようで、ソファーから立ち上がった。

 

「は? なんで?」

「未来のあたしがそうメッセージを送ってきたからよ。なんでと聞かれても知らないわ」

 

首を横に振ると、シンクはあたしに歩み寄り、雛桔梗でメッセージを返せないかと聞いてくる。

やってはみるが向こうからの一方通行だったようで、雛桔梗自体に無理と言われてしまった。

 

「マジかー…せめて姉か、戻ってきた兄に迎えにきて欲しかった…」

「貴方のお嫁さん、破天荒な方なの? そんなに項垂れるなんて…」

 

尋ねるが、シンクは首を横に振る。

 

「まだ子供小さいんですよ。上が7歳で下が5歳。今学校に行ってる時期じゃなかったはずだから…流石に嫁を寄越すからには母様か、義理の母上が見てくれるとは思ってますけど…」

「まぁ、それくらいはするでしょうね。むしろ家族旅行と称して子供も連れてきそうじゃない?」

 

勘弁して下さいよ、と更にシンクは頭を抱えてしまう。

軽薄そうだったり、策士っぽかったりしていたシンクだが、これが彼の素なのかもしれない。

 

結構気苦労が多そうだなぁ…。

ナズナのせいで兄弟姉妹多そうだし、兄とか姉とか言ってたから、真ん中なのかしら?

少しは労ってあげて、未来のあたし…。

 

苦笑しながらシンクの頭を撫でる。

ナズナも少し彼が可哀想になったのか、シンクの背を撫でて慰めていた。

 

◆◆◆

 

ターニャに連絡を取り、あたしはテスタロッサの家へシンクを連れて行く。

あたし達の部屋には今、ルルさんとブリジットさんがナズナの護衛として、そのお役目を果たしてくれていた。

本来二人部屋なので、あたしがブリジットさんと相部屋にならなければいけないのをナズナがゴネたせいで、ブリジットさんはルルさんと相部屋になるという事態に陥っている。

 

「いや、別にルルと同室なのは良いんだけど…これ護衛の意味ある?」

 

とは、ナズナに隠れて聞いてきた彼女の言葉だ。

それは大いに同意するが、ナズナの権限にはあたしもブリジットさんも、そしてルルさんも逆らえるわけがない。

結果、あたしが何かの用事でナズナの傍を離れる時くらいしか彼女…主にルルさんだが…の出番は無い。

 

「難儀なものよね…」

「学生時代の父様の話とか聞いた事なかったんですけど…相変わらずだったみたいですね…心中お察しします、母様」

 

苦笑してあたしを労ってくれるシンクに、分かってくれる? とあたしも苦笑を返す。

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