転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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166.離婚の危機だったそうです

あたしがあまり不自由していないのは、ターニャがお小遣いと称して服やらお金やらを送ってくるせいである。

そのお金で食材を買っているし、住む場所も学校に通っている今は寮の部屋がある。

何ならナズナの婚約者でもあるので、城にあたしの部屋さえ用意されてあった。

 

ヴィオレッタ嬢はどうだったのだろうかと、一回ナズナに尋ねた事がある。

凄く渋い顔で、

 

「あれは妃教育からも逃げ、遊び呆けていた。たまに受けにきてはいたらしいが、シャルの足元にも及ばない程酷かったらしい。我儘ばかりで、ヒステリックに叫んでいたのを聞いた時は、こんなのが次期王妃になるのかと頭を抱えたさ。金遣いも荒い。自分を着飾り、俺の事はアクセサリーと同じようにしか思っていない。そんな奴に、城の部屋が用意されると思うか?」

 

それはされないだろうし、ナズナの嫌な記憶を呼び起こしてしまって大変申し訳なくなった。

 

と、それは置いておいて。

 

「言ってくれれば貸すよ、シンク?」

「いや、やるなら自分の資金の範囲内でやります。というか、少し見て回ったら帰ろう、ユタカ。マナやカナデが俺は心配だ」

 

えー、と少し不満気にユタカちゃんは言う。

そんな時に、ナズナが言葉を発した。

 

「子供が心配なのはわかるが、カヅキが見ているのだろう? 妻に不満を抱かせると、そのうち離婚の危機に陥ると思うぞ、シンク。妻の機嫌を取るのも、夫の務めだと言っておこう」

「…何回も母様怒らせてる父様が言うと、信憑性増すー…」

 

シンクの言葉に、ナズナが固まる。

ギギギと音がしそうな動きをしながら、彼はシンクに尋ねた。

 

「何回も、シャルを怒らせてるのか…俺は…?」

「痴話喧嘩から、大規模なものまでってグンジョウから聞いた事ありますよ。痴話喧嘩は毎度の事で、大規模なものだと、結婚記念日を忘れた時らしいですね。その日を忘れて父様、母様置いて視察に行ったらしくて。しかも帰ってきたのが翌日だって話ですよ? それが一回だけならまだしも、またやらかしたらしくて…母様、激怒したって話ですよ。一回離婚危機に陥ったとか」

 

…聞かなかった事にしたい。

凄い気まずい。

結婚記念日を忘れた程度であたしが激怒?

どれだけナズナに傾倒しているのだろうか、未来のあたしは。

…いや、彼と最低でも3人は子供を作っているのだ。

今よりも仲睦まじくなっているだろう。

なら、そうなるのも必然…か?

 

「お前の所に子供達を置いておけるか、あたしは実家に帰らせてもらう。ターニャにも話すから、絶対離婚する、って。もう大騒ぎだったみたいですよ。そう言った翌日、本当に母様は城からいなくなるし、離婚届まで送ってきたって。父様顔青ざめさせてテスタロッサの家まで来て、土下座して母様に許して欲しいって懇願しまくったって、方々から未だに語り草になってますよ、父様」

「…………」

 

ナズナはソーサーにカップを置き、自分の顔を手で覆う。

自分がそんな事をやらかすなんて、聞きたくなかったよね。

それに、あたしの一人称が私になっていないあたり、総帥モードでそれを言ったわけではなさそうだ。

本当にその当時のあたし、本気で怒ったんだろうなぁ…。

 

「…シャルは…まだ俺の妻でいてくれてるか…?」

「まぁ、一応。そん時は確か、グンジョウが6歳か7歳辺りだって話だったんで。母様に許してもらうまで、父様何回も足繁く通ったって話ですよ。許してもらうまで数ヶ月くらい掛かってたって言ってたかな。その間の王妃業務は全てストップ。父様も多忙の中、時間を作って母様に許しを乞うために通ってて、やつれてたらしいです。流石に可哀想だと思ったグンジョウと姉が、母様に許してあげて欲しいと懇願して、母様は仕方なく城に帰ったとか」

 

…それ、ナズナが足繁く通う必要性あったのかしら?

見切りを付けて、離婚してしまった方がお互いのためだったのでは?

下手したら倒れるじゃない、この人。

 

「なんで離婚しなかったのかしら、ナズナ。こんな我儘な奴、見切りをつけてしまえばいいじゃないの。それよりは自分の体調の心配したらいいのに」

「出来るわけないだろう?! あまり我儘を言わないお前が、そんなに激怒したんだぞ?! お前に心底惚れているのに、俺の落ち度でお前に離れていかれるなんて…耐えられない…っ! よく首を括らなかったものだ、俺…。今ならする自信しかない…」

 

あたしの肩を掴み、そう言ったナズナは項垂れる。

あと、そんな自信は持たなくてよろしい。

 

「シンク、グンちゃんと一緒で記憶力良いもんね。あんまり地雷落としてあげない方が、良いんじゃない?」

「父様にもだけど、俺にも戒めって事。俺もユタカに捨てられたら生きていけないから」

 

ニコリとユタカちゃんへ微笑みかけるシンクに、するわけないでしょ、とユタカちゃんも笑う。

仲が良いようで良かった。

それに比べてこの人、本当に泣きそうになってるんだけど。

未来の息子の前で泣かないでいただきたい。

 

「まだ離婚してないんでしょう? ならナズナを許したって事じゃないの?」

「父様が何かする度に、その話してますよ母様。あと、なんなら離婚しても良いって笑顔で未だに言ってるので、まだ許してないですよ、あれ」

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