転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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169.恥ずかしくて逃げました

それよりは、少し情緒を感じてもらいたい。

 

少し不満そうにしていると、その様子を感じ取ったのかナズナが少し体を離し、首を傾げた。

 

「どうした、シャル?」

「……貴方、この状況見て何とも思わないの?」

 

彼は周りを見渡し、やはりまた首を傾げる。

眉を寄せ少し考え込んでいるようだが、うん、ナズナにそれを想像する事を期待したあたしが馬鹿だった。

 

指を鳴らしてこの状態を解除しようとした所で、ナズナに腕を掴まれる。

 

「何?」

「シャル、解くのは少し待て。もう少し、このままでいたい」

 

彼の目が熱を帯びていて、あたしが先程考えていた事に彼も思い至ったのかと気付いた。

そしてあたしは、意地悪く笑う。

 

「どうして? 何故なのか、ちゃんと言葉にしてくれないとわからないわ」

「…最初にその考えへ至ったのは、お前だろうに。全く、俺の妃は俺に対してだけ意地が悪い」

 

本当にそう思ってはいないだろうに、ナズナはくっくっ笑いながら、あたしの頬にキスをしてくる。

そのままあたしの耳元に口を寄せ、低い声で言った。

 

「世界に二人きりだけのようじゃないか。なぁ、シャルロット? 今なら、あの念書も無効だとは思わないか?」

「な…」

 

流石に、そこまでは考えてなかった。

確かに時を止めたままなら、念書を破ろうがなんだろうが関係ないだろう。

 

ナズナの手があたしの腰を撫でる。

あたしは顔を真っ赤にし、彼の抱擁から抜け出そうともがいた。

 

途端。

 

「殿下、何やってるんですか? というか、いつの間に立ち上がって…?」

「ルル! この状態で声かけちゃダメでしょ…っ!! 私達は空気! 空気なの!!」

 

ルルさんの疑問の声と、小声でルルさんを止めているブリジットさんの声が聞こえ、あたしは思わずナズナを突き飛ばした。

 

「いっ…! は? シャル?」

「…っ! ナズナのばーかっ!!」

 

ナズナを罵倒して、あたしは踵を返して走り出す。

彼の制止の声が聞こえたが、ガン無視した。

 

あのまま、時が止まったままだったら。

ナズナに、全てを見せたのだろう。

あたしの全てを。

 

多分、時魔法が解除されたのはあたしが動揺したからだとは思う。

それで良かったと、思えば良いのに。

 

「馬鹿、あたしの馬鹿…っ! なんて破廉恥な…っ!! これじゃお嫁に行けないじゃない…っ!!」

 

残念だと、やっとナズナと繋がれると、少し考えてしまった。

何たる恥辱。

恥を知れ、自分。

 

「お前は俺の妻になるのだから、嫁に行けないと心配する必要性はない!」

 

走っていたのに、いつの間にかナズナが先回りし、あたしを正面から抱き止めていた。

驚いたのと、恥ずかしさでもがくが、ナズナは強くあたしを抱きしめて離してくれない。

 

「やっ、ナズナ…っ!」

「シャル」

 

無理矢理顔を上げさせられ、キスをされる。

段々深くなっていき、あたしは体の力が抜けた。

 

「…落ち着いたか?」

「うん…」

 

彼の服を掴み、しかしやはり恥ずかしくて肩に顔を埋める。

そんなあたしの頭を、ナズナはゆっくり撫でてくれた。

 

「ナズナ…あと何ヶ月…?」

「卒業までか? 今はイフリート1の月だから…あと8ヶ月だな」

 

指を折り曲げ数えたナズナが、あたしの(つたな)い問いに答えてくれる。

長い、長すぎる。

婚約するまでも長かったけど、今回も長過ぎやしないだろうか。

 

「って、貴方どうやって先回りしたのよ? あたし全速力で走ってたと思うんだけど?」

 

そういえばと思い顔を上げて彼に尋ねると、ナズナは少しムッとしているようで、

 

「シルフィードを纏わせて飛んできたんだ。全く…少し手加減してくれ。多分、時速はジェットコースターと同じくらい出ていたかもしれん…酔った」

 

あたしの肩に額を置いて、彼はグッタリし始める。

慌ててナズナを座らせた直後、授業開始の鐘が鳴った。

 

あちゃー、と思うと同時に、聞くなら放課後、寮に帰ってから聞けば良かったと後悔した。

 

◆◆◆

 

あの後、カーン先生にナズナ共々怒られて少しの補習を受けた後、夏休みに入った。

 

「ねぇ、ナズナ。吾妻ノ国ってどうやって行くの? まさか馬車でとか言わないわよね?」

 

寮の部屋で支度を終えたあたしは、雛桔梗に投影させた地図を見ながら彼に聞く。

王都から吾妻ノ国の国境線まで、馬車でおよそ一ヶ月かかるみたいだ。

行ってすぐ帰って来なければ、始業式に間に合わないだろう。

 

「王族専用の転位門がある。先方には半年程前に文を出しておいたから、いきなり行った所で問題はないはずだ」

 

半年前といえば、未来のカヅキの所に行った時か。

あの後出してたって事かしら?

 

「それ、あたしも使っていいのかしら? あと、そこと戦争になったらどうするの? そこから攻め込まれたりしない?」

「お前は俺の婚約者だろうに。それとな、シャル? お前忘れてるかもしれんが、転位石があるんだぞ? あれに魔力を込めなければ転位出来んし、逆に片方の石を外していたら門自体動作しない。もし吾妻ノ国と戦争状態に陥ったら、その石を取り外すに決まっているだろう」




昼休みに小説を書いていると、本当お家に帰りたくなります
横に人がいると集中して書けない…っ!
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