転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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17.王都に帰還します

「承知した。せいぜい我を使役して見せるが良い」

 

よ、良かった。

これで断られてたら、存在を消す羽目になっていた。

 

安堵していると、後ろから抱きしめられる。

そんな事が出来る人物は一人しかいない。

しかし、抱きしめられる謂れもなく困惑した。

 

「ナズナ? どうかした?」

「…あまり、無茶をするな」

 

そう言われても。

無茶しなきゃ、リヴァイアサンとの戦闘で生き残れなかっただろうし、下手したら死んでいた。

 

「いちゃつくのは良いのだが、命名してくれぬか?」

「命名?」

 

もうリヴァイアサン、もしくはレヴィアタンって名前があるはずだけど?

 

首を傾げると、ナズナがあたしから離れ、呆れたのかため息をついた。

 

「レイラから習わなかったか? 使い魔契約で、契約成立した際には使い魔へ名付けを行うと」

「…あぁ、そういえばそうだった」

 

対人戦闘は初めてではないけど、今回は緊張感が違ったから頭から抜けていた。

 

「じゃあ、貴女の名前は…レヴィ。レヴィアタンから取って、レヴィ」

「承知した、我が主」

 

レヴィは起き上がり、光に包まれる。

人型からさらに凝縮され、小さい蛇の姿になる。

抱き上げると、彼女はあたしの腕に軽く巻きついた。

 

◆◆◆

 

なんとか馬車が出る時間までには帰って来られ、あたし達はナズナ専用の馬車に乗る。

 

「疲れた…」

「ご苦労」

 

窓枠に頭を乗せると、反対側の席に座ったナズナが頭を撫でてきた。

ナズナには感謝しているけど、疲労の原因は彼である。

まぁ、不平不満は言わないけれど。

 

「ありがと」

「しかし驚いたな。まさか魔獣の類が召喚されるとは」

 

あたしの腕に巻きついているレヴィを見て、ナズナは苦笑した。

 

「気安いぞ、人間。妾に話しかけるでない」

 

フイッ、とレヴィはナズナから首を背ける。

尊大なのは、悪魔であり魔獣であり、年長者だからでもあるのだろう。

ナズナの顔が少し引き攣る。

 

「…だが、もっと離れた所でやるべきだった。俺の浅慮だ、すまん」

「いや、あたしもまさかレヴィが来るとは思ってなかったから、仕方ないというか…」

 

ナズナはあたしに向き直り、謝罪してきた。

あたしは首を横に張り、返答する。

 

あの後屋敷に戻ったら、とんでもない騒ぎになっており、説明に時間を要してしまったのだ。

だから馬車に乗る時間もギリギリになってしまった。

 

「これから王都に帰るわけだが…お前を籠絡しようとしてくる奴らは五万といるだろう。お前の容姿然り、力然りを目当てにな…大丈夫そうか?」

「んー…そこの判断はナズナに任せる。あたしはナズナの後ろに控えておくよ」

 

初対面で、敵かどうかなんて判断がつかない。

なら、優秀な雇い主の影に入っていた方が得策だろう。

 

「お前、腹芸出来なさそうだもんな」

「…もしかしたら、記憶を失う前のあたしは出来たかもしれないわよ?」

 

希望的観測ではあるが。

無理無理、とナズナは笑って否定してくる。

 

「シャルは素直すぎるからな」

「…記憶戻って、今のあたしと別人になったらどうするのよ。解雇でもする?」

「シャルはシャルだろう。今の人格だろうが、前の人格だろうが」

 

そんな問いかけに、彼は直ぐ様否定して来た。

あまりにも即答だから、あたしは若干驚く。

 

「…ははっ。そんな全肯定してくれるなんて、あたしの雇い主は優しいなぁ」

 

それから盗賊とかに襲われる事なく、王都に到着する。

旅程は一ヶ月程で、専属護衛だからかナズナと同室になることが多かった。

 

まぁ、仕方ないか。

 

城に着いたようで、馬車が停車する。

あたしが先に降り、ナズナが出てくるのを待った。

 

「ナズナ殿下〜? お帰りなさいませ」

 

サリナさんとはまた別の間延びした声が、ナズナの名前を呼ぶ。

甘ったるいその声の主を見ると、マゼンタ色の髪を緩く巻いた美少女がいた。

装飾は煌びやかで、陽の光を反射してチカチカと、鬱陶しいくらいに光っている。

日焼け対策なのか日傘を指しているのだが、それにも関わらずだ。

 

「ヴィオレッタ…何故ここにいる」

「あら、婚約者を出迎えただけですわ〜。そんなに邪険になさらないでくださいまし。ぅん? そちらの方は?」

 

ナズナの婚約者だという美少女は、隣に立つあたしを見て尋ねて来た。

あたしは胸に手を当て、頭を下げる。

 

「シャルロットと申します。この度、ナズナ殿下の専属護衛を賜りました。今後ともよろしくお願いいたします」

「そう。貴女、こちらにいらっしゃって?」

 

彼女に呼ばれ、ナズナの傍から離れて近寄る。

瞬間、腕を掴まれ引き寄せられた。

 

「貴女、どうせ体で殿下の事を籠絡したのでしょう? 胸元を開けていやらしいったら。卑しい平民風情が、(わたくし)に対して無礼じゃありません事? 私は次期王妃になりますの、(めかけ)程度なら許して差し上げますが、殿下の寵愛が得られるとは思わない事ね」

 

小声で一気に捲し立てられ、あたしは驚く。

 

ナズナの寵愛って…むしろ、貴女ナズナから毛嫌いされてる事ご存知ない?

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