転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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171.ナズナは変態です

上着には銀色の布を縫い付けてアクセントを出し、ワンピースのスカートには水色のフリルが付けられていて、帯は薄紫色。

首周りを閉めるタイプだったので少し怖かったが、ナズナが事前に言ってくれていたのか、そこは閉められずに開けたままだ。

 

ただ、胸元が少し露出しているので、そこだけ少し気にはなったが。

 

着替え終わったのでナズナと別れた場所に連れて行ってもらうと、彼はもう着替えていたようであたしを待っていた。

ローリエ色の上着と、黒色のチャンパオを身に纏い、腰に巻いた布には鯉が刺繍されている。

 

鯉いるんだ…。

いなかったら多分刺繍できないよね。

想像で刺繍出来るって、その人才能あると思う。

 

マジマジとナズナの腰布を見ていたあたしに気付いた彼は、そんな姿を見て苦笑した。

 

「その服似合ってるな、シャル」

 

そう言われて、腰布からナズナの方に目線を移す。

いつもと違う格好をしたナズナに、少し鼓動が早くなってしまった。

 

「貴方もね、ナズナ」

 

あたしは平常心を顔に貼り付け、ニコリと笑う。

 

あたしをナズナの元に連れて来たので、用が済んだ使用人の人達が下がったのを見てから、ナズナが少し不満そうに身を屈め、あたしを見上げた。

その様子にあたしは首を傾げたが、

 

「シャル、俺の前でだけは取り繕うな。周りにもう人はいない。素直に表情を出してもいいんだぞ?」

 

と言われ、咄嗟に上着の袖丈で顔を隠しながら、彼に心境を告白する。

 

「だって…貴方格好良いんだもの…。ドキドキして、直視出来ないの…。取り繕ったって、別に良いじゃない…」

 

本当着てる服が違うだけなのに、別人みたいで格好良い。

王太子の服を着ている彼も格好良かったけど、多分吾妻の普段着であるこれでも、彼が格好良く見えてしまった。

これが惚れた弱みというやつなのだろうか。

 

そんな事を考えていると、腕を掴まれ下げられる。

照れた顔を晒され、少し驚いて目を丸くしていると、彼に素早くキスをされる。

 

「…ちょっと、ナズナ…」

 

非難の目を向けても、彼は楽しそうに笑うだけだった。

 

「シャル、お前は本当に可愛いな。取り繕う必要はない。ここには、お前を知る者はいないんだからな」

「だからって…」

 

ナズナを知る者はいるだろうに。

彼にべったりしている女なんて、見てて痛いだけじゃないのだろうか?

 

そう思うのと同時に、ナズナはあたしの腰を掴んで持ち上げる。

バランスを崩したあたしは、彼の頭を掴んだ。

 

「…シャル、痛いんだが?」

「だから、事前に予告しろって言ったじゃないの!! 別に持ち上げるなとは言ってないんだから!!」

 

彼に怒鳴って抗議する。

ふはっ、とナズナは吹き出して、何を思ったのかそのままの状態で回り始めた。

 

「ちょっと?! ナズ…怖い怖い怖い!!」

 

遠心力がかかり、あたしは彼の頭に抱きつく。

抱きついた事で視界不良になり、彼の動きは止まったが、いったいこいつは何をしているんだと、恐怖で心臓が張り裂けそうになりながら思った。

 

「ナズナ…? 貴方何やってんの…?」

 

問いかけても返答はなく、恐る恐る彼から離れる。

その顔は幸せそうに微笑んでおり、何かを堪能しているかのように見えた。

 

「ナズナ…?」

「シャル…お前の胸、柔らかいな…」

 

ちょうど、露出している胸部分がナズナの顔に当たっていたようで、そう言われ思わず手が出てしまった。

だが、この変態を成敗する為なのでそこは許して欲しい。

 

◆◆◆

 

顔の片方を真っ赤に染め、少しムッとしているナズナと共に、暁家の領地を見て回る。

吾妻ノ国は領地が点在しているわけではなく、それらを全て内包した巨大な国らしい。

 

少し通路を挟んで隣が別の領地とかもある、と教えられた。

ちゃんとわかるように、塀で囲われ門番が立っているらしいが。

 

遠目から日本のお城みたいな物が見えたので、あれが吾妻ノ国の王様が住んでいる所なのだろう。

江戸の町みたいな建物が並んでおり、人々が活気付いている。

 

「ナズナ、もうそろそろ機嫌直してくれない…?」

 

さっきから無言で隣を歩かれているわけなのだが、そこまであたしに叩かれた事が不満だったのだろうか。

 

いや、だって、そういう事してるならともかく、あんな事言われたら普通叩くじゃない。

 

胸元が露出してるのすごい気になってるのに。

 

「…シャル。流石に俺は傷ついたぞ」

「だから何なのよ。叩いた事なら、謝らないからね。大体貴方、失言多すぎると思うわ」

 

ナズナからの言葉にあたしは反論してしまう。

それによって、お互いにムッとなってしまった。

 

なんで異国の地に来てまで、喧嘩しなきゃいけないのよ。

いや、これ絶対ナズナが悪いんだけど。

本当に未来のあたし、よく耐えてるわ。

 

町並みを見ていると、呉服屋を発見する。

色んな生地を取り揃えているようで、それで作った着物も販売していた。

 

「………」

 

少しお互い頭を冷やした方が良いだろうと思い、あたしは念話でルティとレヴィに、彼の護衛をするようお願いする。

了承の意が返ってきたので、あたしはナズナから離れた。

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