転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

177 / 276
177.身支度します

「まぁ…。我が主は、心根は優しい。怒ると怖いが」

 

あたしが貴女に対して怒ったの、一回だけだったんだけど、あれ気にしてないと思ってたのに。

ごめん、レヴィ。

すごく怖かったんだね。

 

申し訳なくて、彼女の頭を撫でる。

 

「怒ると怖い…そうですか。私も、貴女の主は怒らせないよう気を付けましょう。では、頂きます」

 

ルクリアさんはそう言って、握る手に力を込めた。

あたしの中から何かが彼女の方に流れ込んでいく感覚がしたが、多分それが運命力というものなのだろう。

 

「はい、頂きました。お約束はちゃんとお守りいたしますわ。契約を違えるなど、悪魔の風上にも置けませんし。そんな事をしたら、魔界の現象に粛清されてしまいますもの」

 

現象に粛清されるって、どういう事なのだろうか。

意味がわからなくて、あたしはレヴィの背中を軽く叩いた。

あたしからの説明が欲しいと理解した彼女は、体を離してくれる。

 

「我々が住む魔界には、確かに頂点に座する者がいる。我ら七罪がそうよ。だが、魔界に法など存在せぬ。あそこは、力が全て故な。だから、誰かが何を犯しても我らは関与せぬ。下等な悪魔が人間との契約を反故にした所でな。だが、それを許さぬモノがいる。それが色欲のが言った、現象というものよ。契約を反故にし、魔界に帰ってきた悪魔は塵芥となって消える」

「…それ確実なの?」

 

あたしの問いに、二人とも頷く。

中々、魔界という所も厳しそうな環境のようだ。

 

明日の朝一番に来ると言うルクリアさんを見送り、ルティの所で休むとレヴィも行ってしまった。

部屋に一人になってしまったあたしは、そう言えば時を止めたままだったと思い出し、指を鳴らして魔法を解除する。

部屋に備え付けられた壁時計がチクタクと鳴り出し、虫の声が戻ってきた。

 

「あたしも、もう寝よ…」

 

寝室に行くと中華風の天蓋ベッドだったので、珍しくてすぐに寝転がる。

明日は何時くらいなら間に合うのかしら、なんて思いながら眠りに落ちた。

 

◆◆◆

 

「嫉妬の主。起きてもらえます?」

 

ルクリアさんの声がして、あたしは目を開ける。

チラリとベッドの端を見ると、妖艶な美女であるルクリアさんが立っていた。

 

「すみません、今何時でしょうか?」

「こちらの世界で言えば、午前5時ですね」

 

早い。

まぁ寝たのは23時くらいだから、睡眠時間は充分取れているとは言える。

 

「お待たせしましたか?」

「いいえ? いい女というのは、身支度に時間がかかるものですから、起こしに来ただけですわ。貴女のご要望以上のものを提供してみせますので、まずはお風呂に入ってきてくださいます? あぁ、髪は濡れたままで良いですよ」

 

いってらっしゃい、とルクリアさんから下着一式とバスタオルを渡された。

下着がすごく色っぽいもので、あたしは思わず彼女を見る。

 

「あら、表向き着飾っても中身がダサかったら、そういう事があった時殿方はガッカリしますのよ? 気を付けなさいませ?」

「肝に銘じときます…」

 

流石に、今はそんな事にはならないとは思うけど。

初夜の時は気をつけるとしよう。

…いや、ナズナはそこ気にしないとは思うんだけどね。

 

一応念入りに体の隅々まで洗い、渡された下着を着用して浴衣を着直し、脱衣所から出る。

 

「そこに座っていただけます?」

 

鏡台の前に座らされ、ルクリアさんはあたしの髪にヘアオイルを付けた後、櫛で解かし始めた。

そして、ドライヤーで乾かし始める。

 

髪が艶々になっていく様は、見てて面白いものを感じた。

ルクリアさんは収納魔法からエクステと呼ばれるものを取り出し、あたしの髪に付けていく。

髪色はあたしのと一緒だ。

 

「あの、なんで付けてるんです?」

「結い上げるには、少し足りませんの。これだと、後れ毛も出てしまいますし。だから毛量を足してるんですのよ」

 

今のあたしの髪は、伸びたとはいえ肩より少し下辺りで、確かに彼女の言う通り結い上げるには足りないのだろう。

 

…結婚式の時、もう少し伸びてればいいなぁ。

やっぱりあの先輩許さん。

 

「着物というご注文でしたけれど、どれをお召しになりますの? それによっては、髪に付けるものも変わってきますけれど」

「えーと、これにしようかなって」

 

昨日買った、桜の着物を出してみる。

ルクリアさんはそれを見て、ないないと首を横に振った。

 

「他には買ってませんの?」

「他ですか? えーと、これと、これと…」

 

着物が売っているのが嬉しすぎて、衝動買いしてしまった結果が、10着の着物達だ。

衣桁にかけられている着物達をルクリアさんは見定めているようで、その中から黒地に椿の花が咲き乱れている物を選んだようだった。

 

「貴女、まだ未婚ですものね? ならこの振袖でよろしいと思いますわ。勿論小物も買ってますわよね?」

 

ニコリと笑まれたので、あたしは収納魔法から髪飾りを数点出した。

桜から椿から、気に入ったものを買ったのだが、ルクリアさんはそこから椿の髪飾りを手に取る。

 

「やはり、椿には椿ですわね。こちらは赤ですので、髪飾りは白にしましょう?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。