転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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178.着付けてもらいました

あたしの髪を結い上げ、ルクリアさんは髪留めとして椿の髪飾りを付けた。

そして着物の着付けをしてもらうが、先ほどの髪型と相まって、今の年齢より少し上に見える。

 

更に化粧も施してもらうが、完璧大人の女性といった感じだ。

つまりは、魔性の女風に仕上げてもらったわけだ。

 

「ルクリアさん…あの…」

「これで、意中の男性もイチコロですわね?」

 

これ、他の男の人もイチコロになるのではないだろうか。

ナズナの嫉妬が凄くなりそうだな、なんて苦笑した。

 

ちょうど良いタイミングで、扉がノックされる。

はい、と返事を返すと、ナズナの声が聞こえた。

 

「おはよう、シャル。まだ着替えの途中か?」

「おはよう、ナズナ。いいえ、入っても大丈夫よ」

 

彼が扉を開けるのと同時に、そういえばまだルクリアさんがここにいたと、少し焦る。

入室の許可をする前に、彼女に礼を言って帰ってもらえば良かったと、今更ながらに後悔した。

朝からナズナと喧嘩したくない、と思ったあたしだったが、にこやかに入ってきた彼は、ルクリアさんの姿を見た瞬間凄い無表情になった。

 

「…へ?」

 

あたしより、結構良い女感があるルクリアさん相手に、この反応?

いや、無反応でいてくれて嬉しいんだけど、それはそれで少し心配になるというか。

 

「シャル、この女は?」

「え、あ、えっと。レヴィの同僚の色欲の悪魔さん。買ったこの着物を着て、貴方に見せたかったのだけど、着付けが分からなくて。レヴィにお願いしたら、色欲の悪魔さんを紹介してもらったの。あの…なんでナズナ、そんな無表情なの…?」

 

あたしに対してではない事は分かりきっているのだが、流石に怖い。

ルクリアさんは、あたしとナズナを交互に見てからクスクス笑い出した。

 

「…何がおかしい」

「いえ、別に? 嫉妬の主、彼は私のような女性はお気に召さないようですよ。外見ではなく、中身をすぐに看破なさったようですわ。彼もまた、神に愛されているのかもしれませんわね?」

 

若干声が低くなったナズナへ、ルクリアさんは軽く返事をして、あたしに笑いかけながらそう言ってくる。

 

「ではまた、嫉妬の主」

 

彼女はあたしへ一礼して、姿を消した。

多分魔界に帰ったのだろう。

お願いした以上の成果なので、彼女が魔界の現象に消される事はないな、と思った。

 

「シャル…」

 

扉を後手に閉めたナズナは、何かを耐えるかのように口を引き結び、あたしの名を呼びながらこちらを見る。

 

「…え、何? どうかした? あの、似合ってない…?」

「似合いすぎてるから困るんだ。その状態で叔父上達の所に連れて行ってみろ。二重婚を勧められてもおかしくないぞ……俺も、お前の色香に当てられて、襲いそうなのを我慢してるんだ…」

 

はい?

何言ってんのこの人?

ルクリアさんにやってもらったからこんな事になってる?

そんなまさか。

 

「ナズナ? 大丈夫そう…?」

 

あたしは恐る恐る彼に尋ねるが、ちょっと待てと言われて、口を噤む。

ナズナは目を閉じて何回か深呼吸をした後、顔を上げて微笑んだ。

 

「綺麗だ、シャル。別人のようで、驚いたぞ」

「あたしも、鏡で見る分には別人のように見えるわ。中身はこんなだけどね」

 

苦笑すると、そんな事はない、とナズナは返してくる。

 

「お前は、中身も素晴らしい女性だ。会った時からずっと、お前は変わらない。俺に対しても、周りに対しても。気取らず、驕らず、周りに気を配り、優しい。そんなお前だからこそ、俺は惹かれたのだからな」

「…そんなに褒めないでもらえないかな。そんな大層な人間じゃないわ、あたしは。口説いてもらえるのは、嬉しいけど」

 

あたしの言葉に、ナズナは本当の事しか言っていないと言ってくれた。

そして、彼はあたしに近寄り抱き上げる。

片腕で抱かれたあたしは、彼の肩に手を置きながら聞いた。

 

「…ナズナ、貴方自分の背が高い事ご存知? このままだとあたし、扉の上枠に頭ぶつける事になるんだけど」

「知っている。すまんな、シャル。今日は一日、このままでいてもらう。そうでなければ、俺が安心出来ないんだ」

 

まぁ、あたしも出来上がりを見て、ナズナの嫉妬が凄くなりそうだと思ったばかりなので、これ以上抗議するつもりはない。

ぶつけた所で、痛いだけなので構いやしないし。

 

「ナズナ。貴方、身体強化はどれくらいまで使えるの?」

「…お見通しか。まぁ、内の魔力で回しているから、一日はこのままでも大丈夫だ」

 

半日しか持たなそうだったら、リンクを繋いでナズナに魔力供給をしようと思っていたのだけど、大丈夫なら問題はないだろう。

 

扉を通る際、ナズナが身を屈めてくれたので頭をぶつける事なく、あたしは暁家の食堂へと運搬される。

あたし達の姿を見た蓮さんは、仲睦まじいなと笑っていた。

 

椅子に降ろされ、ナズナはその隣の椅子へ座る。

食卓には蓮さんの他に、奥さんや息子さんもいらっしゃった。

 

「私達の騒動のせいで、昨日はお騒がせをしてしまい、大変申し訳ありませんでした」

 

あたしは蓮さん達に頭を下げる。

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