転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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180.ベルゼビュートです

ナズナがあたしの声に驚いて部屋の中に入って来ようとする。

もう着替え終わっていたから入られても問題はないのだけれど、これ着替え途中だったらはっ倒していた。

 

「シャル…お前また何やったんだ?」

 

呆れたナズナの声に、あたしは周りを見る。

あたしの蒼い髪が、後頭部から半円を描くように部屋中に広がっていた。

 

「うわぁ…これカヅキが見ていたら、呆れるか笑い転げるか…どっちの反応すると思う?」

「知らん」

 

髪が部屋中に伸びてるものだから、ナズナは部屋に入れず扉の前で立ち往生している。

あたしは仕方なしに、ルティを呼び出した。

 

「…我が主…流石にこの惨状は…」

「ごめん、ルティ。踏んでもいいから適正の位置まで、髪を切ってくれないかしら…」

 

呼ばれた瞬間に足元が蒼一色だったものだから、ルティは空中に留まり、あたしに苦言を言ってくる。

わかっているので、彼に謝罪を述べつつ髪を切ってもらうよう、頼んだ。

ルティは仕方なしにあたしの伸びまくっている髪を踏み、鋏を取り出して切っていってくれる。

 

「ルティ、ありがとう。さてこの髪、どう処理したらいいのかしら」

 

あたしの腰辺りで髪を切って、整えてくれたルティに感謝を述べ立ち上がった。

ナズナもようやく部屋へ入れるようになったようで、あたしの近くにきて抱きしめてくる。

あの惨状に呆れ返ってはいたが、さっきあたしがこけたものだから、心配だったようだ。

 

「ベルゼビュートでも呼ぶか? 彼奴なら、魔力の溜まった髪など、ご馳走以外の何物でもなかろうよ」

「え…髪食べさせるの?」

 

それはちょっとホラーではないだろうか。

 

ベルゼビュートが、あたしの髪をパスタみたいに啜り食べている様を想像して、若干嫌だと思った。

ちょっと嫌そうな顔をしていたであろう、あたしを見たレヴィだったが、構わず魔法陣を展開し、ベルゼビュートを呼び出す。

 

「呼ばれて来たけど…今日は何?」

 

白いワンピース、シースルーの上着を着たアイスグリーンの髪色の女の子。

ベルゼビュートが、虚ろな目をレヴィへ向ける。

 

「我が主の毛髪を処理しろ」

 

ベルゼビュートは蒼色の髪を渡したレヴィから、あたしを見た。

髪色からしてあたしのだと理解したようだ。

良いの? とその目線は語っている。

 

「あまり、グロくない方向でやってもらえれば、まぁ…」

「わかった」

 

ベルゼビュートはあたしの髪を魔力の粒子に変えて、その身に取り込んだ。

そしてあたしに向かって頭を下げる。

 

「ありがとう、すごくお腹いっぱいになった。何か、ぼくに出来る事ある?」

「ううん、何もないわよ。ごめんね、毎度こんなので呼び出してしまって…」

 

申し訳なくて彼女の頭を撫でた。

くだらない事で、ベルゼビュートを呼び出しているような気がする。

彼女にとっては食事出来るから、どうでも良いのだろうけど。

 

「うん、とても心地いい……神託というか、神が言ってきた言葉を伝えるね。ベルゼビュートはいずれ君達の娘になるだろう、その時は慈しんで育ててあげて欲しい。この子はいずれ、君達の役に立つ。だってさ」

「うん?」

 

一体彼女は何を言い始めたのだろうか。

娘?

誰と誰の間の?

 

「ベルゼビュートは、神託の悪魔とも呼ばれておってな。たまに神の言葉を伝えてくる時があるのよ」

「ぼくだって、好きでやってるわけじゃない。あいつらが伝えろと煩いから、伝えてるだけ。じゃあ、ぼくはもう帰るよ。またね、未来の父様、母様」

 

ベルゼビュートは、あたしとナズナを交互に見て薄く笑いながら帰って行った。

 

未来、未来か…。

 

「出来れば、初子は避けていただきたいなぁ…」

「…シャル」

 

思っていた事を口に出してしまっていたようで、ナズナがあたしの頬にキスをしてくる。

あたし達がイチャつき始めたのを見て、レヴィとルティは空気を読んでいなくなった。

 

「あの、ナズナ…扉開いてるんだけど…」

「ん? あぁ、閉めてくる」

 

あたしから手を離して、ナズナは部屋の扉を閉めにいく。

その間、あたしは後ろを向き自分の顔を手で覆った。

 

何を口走ってんの、あたしは!!

惚けすぎでしょう!

気を抜き過ぎだ間抜け!!

 

軽く自己嫌悪に陥っていると、後ろから抱きしめられる。

 

「シャル? どうかしたか?」

「いや、ごめん…変な事口走った…」

 

気にしていない、とナズナはあたしの頭に頬擦りしてきた。

そして彼は苦笑しているようで、あたしがこうなるのは予想通りだった、とでも思っていそうだった。

 

「確かに、初子でベルゼビュートは少し苦労しそうだ。たくさん食べそうだから、お前ので足りるかどうかもわからんしな。俺も出来る限り、一緒に育てては行きたいが…」

「わかってる。あの量の書類を見たら、王の仕事がどれだけ大変かは理解しているつもりだから」

 

陛下がナズナに投げてくる仕事量を見て、若干引いた事もあるくらいだ。

ほぼ全量だというのだから、陛下は本当に何をしているのだろうか。

 

「理解してくれるのは、女の中でもお前だけだよシャル…」

「いや、そんな事はないでしょう?」

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