転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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188.嫌な想像をしました

ナズナの隣に座っている彼女は、初めて会った時に着ていたシスター服ではなく、フリルの付いた白いブラウスと焦茶のロングスカートを着ていて、とても品がいいと感じる。

 

「多分、殿下と同じ理由だと思いますよ。私も魔力のランクが高くて」

「そうですか…」

 

ナズナと並んで見てみると美男美女で、あたしよりエレオノールさんの方が、隣にいてとてもお似合いだなぁ、なんて思ってしまった。

 

ナズナがもし、あたしとの婚約を破棄してエレオノールさんと結び直すと言ったら…泣いて縋った所で無駄だと、あたしは諦めるのだろう。

彼の隣にいる女性なんて、彼自身が決めるのだから。

今はあたしを見てくれているけど、もしかしたら、なんて馬鹿な考えが頭をよぎる。

 

「…シャル、想像もそこまでにしておけ。頼むから、泣きそうになるな…。アルテミシア、席替えを要求する」

「良いだろう。光姫が何故そうなってるのか、私には分かりかねるが。雷皇が傍に居て落ち着くなら、そうすれば良い」

 

俯いてしまったあたしの傍に来て、ナズナは顔を覗き込みながらそう言った。

彼の提案にアルテミシアさんも了承してくれて、ナズナは闇の称号持ちの人の席に座った。

 

「…ごめん、ナズナ」

「あのな…何回でも言うが。俺の妃はお前だけだ。他の女になど現は抜かさん。俺が惚れた女はお前だけだ。大方、エレオノールと俺の姿を見て、俺がお前と婚約破棄してエレオノールと婚約する、なんて想像したんだろう?」

 

あたしの手を握り、ナズナは小声で耳打ちしてくる。

他の人もいるから、大々的に言うとあたしが恥ずかしがると思ったのだろう。

確かにその通りだし、あたしが考えている事は彼には筒抜けのようだった。

 

「想像力豊かなのは良い事だと思うが、せめて良い想像だけしろ…あまりそう思われると、俺も傷つく。お前だけしか見ていないのに、他にも見向きするような男だと思われているのか、とな」

〈…そうは思ってないわよ…吾妻でも言ったけど、あたしは自分に自信が持てないの…。本当に、あたしで良いの? 後悔しない? 能力的に欲しいなら、補佐に就く事だって出来るのよ?〉

 

あまり会話していると周りに煩いだろうと、あたしは彼との会話を念話に切り替える。

少し驚いて、あたしからほんのちょっと離れたナズナだったが、フッと笑って握っていた手を撫でた。

 

〈シャルロット。お前が望むなら、俺は何もかも捨てて、お前と何処までだって行っていいと思っている。それが天国でも地獄でも、何処へでもだ。お前と連れ添って、何を後悔する事がある。俺は容姿や、お前の能力を見て、お前に惚れたんじゃない。お前の心に惚れたんだよ、シャルロット。不安なら、何回でも俺を試すといい。俺は揺るがず、お前を愛していると言い続けよう〉

〈…ごめんね、ナズナ。こんな面倒くさい女で…〉

 

構わん、と彼は机に肘をつき、あたしを微笑みながら見ている。

愛しいと、その目は語っていた。

 

集まる予定時間少し前に、他の面々も集まってきたが闇の人だけ来ず、あたしはアルテミシアさんに聞く。

 

「あの、闇の称号の人は…」

「あいつは時間にルーズだからな。もう始めよう。諸君、休みの日なのに集まって貰ってすまない。新しく、炎と雷、そして光の称号持ちになった3人だ。宜しくしてもらいたい。親睦は後で深めてもらうとして、まず議題だが…」

 

アルテミシアさんは簡単にあたし達について説明した後、議題について話そうとする。

だがそれは、バァンっ! と大きな音を立てて開かれた扉の音で掻き消された。

 

「遅れて申し訳ない! 闇帝、グレゴワール・セレンディバイト・ベルナールただいま参上した!!」

 

あまりに大きい音だったので、あたしは肩を跳ね上げさせた後、後ろを振り返る。

グレゴワールと名乗った人は、歳の頃はあたしと同じくらいの男の子だった。

それに、今この人が闇と言ったのを聞いて、頭を一瞬よぎったのは親友であるカヅキの事である。

 

カヅキがこの場にいたら、キレるだろうなぁ…。

あっちの世界で、同じ称号だったはずだし。

 

キレている想像をして、少し微笑を浮かべてしまった。

それがいけなかった。

 

グレゴワール君は、あたしを見て自身の目を見開いた後、美しいとポツリ呟いたのだ。

彼はあたしの左隣、ナズナが座っているのとは逆方向に来て跪き、あたしの手を取ってキスを落とす。

 

「美しい人…僕の妻になってはいただけないだろうか。ベルナール家の次期当主になる僕の妻になれるなど、君はとても幸運だよ。君が妻になった暁には、ベルナール家の庭は君好みにしてくれて構わない。子供は何人欲しいだろうか? あぁ、そうだ。屋敷も君の髪の色に染め上げよう。それとも、君の好きな色の方が良いかな?」

 

ナズナに言われたらとても素敵な提案だな、なんて現実逃避をしてしまうが、流石にないかと思い直す。

むしろ彼なら、もっと情熱的に口説いてくるはずだ。

 

「あの…」

「あぁ、声も麗しいなんて! 更に素敵だ、美しい人!」

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