転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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191.討伐しに来ました

「殿下、火急の件が王宮から来た。会議は終了だ。私も向かわねばならなくなった。光姫、討伐は頼む。殿下、行くぞ」

 

ぱんぱんと手を叩きながら会議の終了を告げ、アルテミシアさんはナズナの腕を掴んで部屋から出ようとする。

だが彼はアルテミシアさんの腕を振り払い、あたしへ手を差し出した。

 

「行くならシャルもだ。俺の婚約者を、不埒な奴の傍に置いておけるか」

「火急なのでしょう? あたしは大丈夫だから、行ってきてください殿下。それに、あたしには使い魔が二体います。もし、そこのご子息があたしに手を出そうとしても、あたしの使い魔達がなんとかします。それに、あたしの実力をご存知の貴方なら、その後どうなるかなどお分かりでしょう?」

 

あたしは首を横に振り、だから心配するなとナズナに微笑んだ。

彼はあたしへ歩み寄って、抱きしめてくる。

 

「シャル、城で待っているから…早く戻ってこい」

「はい、殿下。速やかに討伐して戻ります。何があったかは分かりませんが…ナズナも、気を付けてね」

 

最後の方は小声で、彼に言う。

更にあたしをキツく抱きしめた後、ナズナは踵を返しアルテミシアさんと会議室から出ていった。

 

「クロエ、討伐対象の情報と居場所を。殿下に約束しましたので、即片付けます」

「シャ、シャルロットさん、僕も…」

 

グレゴワール君があたしに近寄るが、それをエルに阻まれる。

ダメですよ、と言って牽制してくれている間に、あたしはクロエから情報を貰った。

 

「エル、ありがとう。今度お茶会でもしましょうね」

「はい、楽しみにしてます。いってらっしゃいませ、シャルさん」

 

あたしはチラリとグレゴワール君を見る。

そして総帥モードの顔で、フッと冷笑を浮かべた。

 

「着いてこられるなら着いてくるといい。尤も、貴様の実力でついてこられるとは思わんがな」

「な…」

 

あたしはそう言いながら転移する。

転移する前、グレゴワール君の顔が驚愕に変わった。

 

あたしが、ただお淑やかなだけのお嬢様だと思ったのなら、お気の毒様。

これを見ても、貴方は絶対あたしの事は愛せないでしょうね。

 

お前がどんな姿になったとしても、それこそ人でなくなったとしても。

お前を愛さないなんて事はない。

 

ナズナがそう言ってくれたから、そう態度で示してくれているから。

あたしは、ナズナを愛しているのだ。

 

だから、あたしにちょっかいかけないでね、グレゴワール君。

 

◆◆◆

 

クロエから渡された情報を元に転移した先は、テレジア領の端も端。

沼地地帯だった。

 

「沼か…」

 

山に沼地と、テレジア領は何で生計を立てているのだろうか?

 

「って、考えている場合じゃないか…」

 

他領の事など、あたしには関係ない事だ。

それに、さっさと終わらせて帰ると、ナズナに約束したのだ。

あたしはレヴィとルティを呼び出し、二人に索敵を行ってもらう。

 

「我が主、見つけたぞ」

 

レヴィが対象を見つけたようで、案内された先。

アスカリドさんと、フォルトゥナさんの二人が手に負えなかった魔物を見て、あたしは納得する。

 

「大亀ですか…」

 

しかも瘴気を振り撒いていて、普通の人間には近寄れるはずもない。

地属性と氷属性にも耐性がある、という話だったし。

瘴気で沼が汚染され、明らかに触ったりしたら体に影響があるだろうということが見てとれた。

 

だからこそ、ギルドに依頼があったのだろうが。

 

「これ、あたしにも対処できなかったらどうなるのかしら?」

「多分だが、国が動く事になるのではないかと推測する。ギルドの称号持ちというのは、ギルドでも最強の部類なのだろう? それ以上の戦力になると、やはり国ではないかと進言する、我が主」

 

ルティの言葉に、だよね、と返す。

さて、近寄らずに勝つにはどうすれば良いのか。

しばらく観察してから対処を決めるとしようと思った瞬間、背後からかかった声にゲンナリする。

 

「シャルロットさん!」

「…なんでここにいるんですかね、グレゴワール君…」

 

確かに、着いてこられるなら着いてくればいいとは言ったけど、本当に来るとは。

エルも一緒にいるから、多分お目付け役として来てくれたんだろうけど。

 

「シャルロットさんが、僕の名前を…っ!! やはり、僕達は運命に導かれて」

「はいはい、闇帝。シャルさんの邪魔をしたら、今度こそ殿下の雷が物理的に落ちると思いますよ」

 

あたしに近寄ろうとしたグレゴワール君を、エルは魔法を使って縛り上げる。

その属性を見て、あたしは首を傾げた。

 

「エル、貴女水の称号持ちじゃなかった? それ光よね?」

「私も二属性持ちなのです。それに、ヴェスタ神からお力を授かったシャルさん程ではありませんよ」

 

確かに、全属性使えますけども。

そんな事も彼女に話してるのか、あの無能。

 

「ヴェスタ神から、力を授かった…?」

 

疑問を覚えたグレゴワール君に、エルは説明する。

正直しなくていいとは思ったけど。

 

「シャルさんは、神に愛された方です。その証拠に、彼女は全属性を扱えると聞きます。親衛隊の入隊試験でも、色んな属性魔法を扱ったと、方々からお話が上がるくらいなのです。それとは関係なしに、殿下から寵愛されていらっしゃいますので、闇帝? シャルさんは諦めた方がよろしいですよ?」

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