転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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192.余計な事をされました

釘刺すじゃん、エル。

まぁ、グレゴワール君はエルに任せて、あたしは大亀の観察を続ける。

 

「ルティ、あの瘴気可燃性だと思う?」

「つけて見なければわからんぞ、我が主。吾がブレスで焼き払っても良いが…」

 

ルティのドラゴンブレスなら、確かにさっさと片が付くだろう。

だが、その威力を知っているあたしからしたら、それは許可出来るものではない。

 

「貴方、ブレスの威力調節出来る?」

「我が主。なら聞くが、人間は呼吸をどう調節しているのだ?」

 

そう聞いてくるという事は、出来ないのよね。

ごめん、と謝り、大亀を見る。

 

大亀はその場に留まり、動かない。

今まで討伐者が来ていたはずだから、危険を感じて動くはずなのに。

 

何か理由がある?

 

「闇帝、いけません!!」

 

エルのそんな制止の声と、魔法発動は同時で。

思考に耽って、気がつくのが遅れた。

 

闇槍(ダークランス)!」

 

人のサイズぐらいの闇属性の槍が、大亀の腕を傷つける。

魔法の発動がこちら側だと理解した大亀が、咆哮をあげた。

その瞬間、瘴気が増したのを見てあたしは舌打ちをする。

 

「闇帝! シャルさんの邪魔をするなと、マスターから言われていたではないですか!! あぁ、なんて事…」

「シャルロットさん、僕の実力を見てもらえましたか!? やはり、殿下より僕の方が」

 

ルティが、グレゴワール君の口を塞いだ。

黙れ、と少し低めの声で彼は言う。

 

「我が主、如何とする?」

「…もう少し観察を続けたかったが、そこの愚か者のせいで出来なくなったな。ルティ、ブレスの使用を許可する。レヴィ、ルティのブレスの余波が他に行かぬよう、水流で止めろ。出来るな、二人共?」

 

ルティはグレゴワール君から手を離し、あたしに跪く。

レヴィもあたしの隣で大亀を観察していたが、ルティ同様跪いた。

 

「「承知」」

「では行け」

 

二人は元の姿に戻り、あたしの指示通りに動く。

大亀は二人に任せ、グレゴワール君…もう君づけはいいか。

あたしの邪魔をした彼の所に行き、腹を蹴り上げた。

 

「ぐふっ?!」

 

魔力を乗せたから、重い蹴りだった事だろう。

エルは自分が蹴られたわけではないのに、とても痛そうな顔でグレゴワールを見ていた。

 

「エル、止められなかったの?」

「申し訳ありません、シャルさん。闇帝がまさか、こんなに魔力を隠すのが上手な方だなんて。気が付いた時には、もう発動した直後でした」

 

なら、仕方ない。

そう思ったあたしは、グレゴワールの顔を踏みつける。

 

「ぐぅ…っ」

「ねぇ、お坊ちゃん。あたしはね? 穏便に片を付けようと思ってたのよ? あの大亀、今まで討伐に来た人達が沢山いたはずなのに、あの場から動こうとしてなかったみたいなの。それは何故だろうと疑問に思ってね。もしかしたら、あの瘴気が原因なのかしら、って」

 

あたしは彼を踏みつけた足に体重を乗せ、顔面を土にめり込ませた。

 

「それを貴方が台無しにした。これがナズナだったなら、貴方みたいな突飛な行動などしない。あたしの考えをちゃんと聞いてから動くわ……貴方、ナズナにとって代われると思ったら、大間違いよ。あたしはあんたみたいな奴、大嫌いだから」

 

そう言って足を退ける。

あたしに大嫌いと言われ、彼はショックを受けているようだが、そんな事知ったこっちゃない。

 

「レヴィ、ルティ。戦況はどうだ」

 

あたしは戦闘に入っている二人に問いかける。

 

〔我が主。此奴、硬すぎるぞ〕

〔ルティが全力を出しても、罅一つ入っておらぬ!! 何だこの硬さは!! 我が主の力で消し炭にした方が良いのではないか?!〕

 

二人が全力を出しても傷が付けられないって、どういう事?

 

大亀を見ても、魔法を使ってシールドを張っている気配はない。

なら自前のがあるのかと思ってサーチしても引っかからない。

 

「…もしかして、精霊の類?」

 

そんなまさか、と思いつつ、あたしの思考ではもうお手上げなので、彼女を呼んでみる事にした。

呼んで応えてくれるかは、分からなかったけれど。

 

「ミラ」

〈呼んだか、シャル?〉

 

迷いの森にある、精霊の祠にいるであろう彼女が、目の前に現れる。

まさか現れてくれるとは思ってなかったあたしは、少し驚いた。

 

〈何故そのように驚く? 呼んだのはお前だろうに〉

「いや、そうなんだけれど。貴女、精霊の祠から離れても良いの? 元素の精霊なのでしょう?」

 

うーん? と首を傾げたミラは、あたしに抱きついてくる。

 

〈私はお前と繋がっているからな。呼ばれれば、何処へでも現れる。それで、どうしたんだ? 何か聞きたい事があったんだろう?〉

 

あたしの力を調節するために同調してくれているミラは、あたしが疑問を抱いている事も理解しているようで、そう尋ねてきた。

 

「あの大亀、瘴気に侵されているけれど…元は精霊だったのではないかと思って」

〈うん? あぁ、ゲンブの奴じゃないか。誰かが、ゲンブに瘴気を埋め込んだようだな〉

 

やっぱり、精霊だった。

それに、ミラの知り合いっぽい。

どうにか助けてあげたい。

 

「ミラ、どうやったら瘴気を消せるかわかる?」

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