転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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200.泣きそうです

「えー、皆さんおはようございます。今年の文化祭ですが、明後日から開催となるようです。まぁ、各自羽目を外し過ぎないようお願いします。あぁ、今日から外部の人が出入りするので、干渉はしないように」

 

去年と同様、業者が入っての物になるのか。

今年は誰にも邪魔をされず、ナズナと周れたらいいな、なんて思いつつあたしはチラリとナズナの方を見る。

 

〈ナズナ、まだ怒ってるの?〉

〈なんで怒っていないと思っている〉

 

念話で会話してみたが、棘がついた返しをされてしまった。

嫉妬深い人だなぁ…あたしもだけれど。

 

〈ロゼを怒らないであげて。あの子、まだ自分の性別があやふやなのよ。カヅキはちゃんと確立させていたけれど〉

〈…シャル、そんなに俺を嫉妬させたいのか〉

 

頬杖をつきながら、ナズナはあたしをジロリと見る。

その視線が少し恐ろしくて、あたしは目を逸らしてしまった。

 

〈……別に、そういうつもりじゃ……ごめんなさい…〉

 

胸が痛い。

なんでそんな目であたしを見るの、ナズナ?

あたし、何か悪い事でもした?

 

あたしは先生が話している時だったが、挙手する。

 

「先生、大変申し訳ないのですが…少し体調が悪くなってしまって…早退させていただきたいのですが…」

「おい、シャル…!」

 

こんな早々帰りたくは無かったが、療養明けでナズナからのその視線は泣きたくなった。

別に浮気したわけではないし、あたしが罪悪感を覚える必要性もなかったが、ちょっと耐えられなかったのである。

 

「ナズナ君と一緒に帰りますか?」

「…いいえ、自分の専属護衛と共に帰ります…。ブリジットさん、すみません」

 

同じクラスに編入されていたブリジットさんが立ち上がり、あたしの傍まで来て鞄を持ってくれた。

 

「いいえ、テスタロッサ嬢。病み上がりですから当然です。殿下、命に変えましても無事に寮まで送り届けます」

 

そう言い、彼女はあたしの手に自分の手を添え、教室から連れ出す。

途中頭を撫でられたので、あたしがナズナの視線を怖がってしまったと、気付いたみたいだった。

 

◆◆◆

 

何事もなく寮に辿り着き、ブリジットさんはあたしを部屋まで送り届けると、

 

「ちゃんと鍵閉めておくんだよ、シャルロット。ナズナ殿下が心配するからね。あと、殿下も早退してくる可能性あるけど…大丈夫そ?」

「…はい、大丈夫です。多分…」

 

そう言った後、ルルが引き止められれば良いんだけど、とブリジットさんは苦笑しながら、部屋から出て行った。

 

いつもはいない時間帯。

時計の針だけが、鳴り響く部屋。

レヴィ達も何処かに行っているようで、物音一つしなかった。

 

「世界にあたしだけみたい…」

 

ポツリと呟く。

そんな事ある訳ないのに。

 

ブンブンと頭を振って、あたしはナズナと共用になっている寝室の扉を開ける。

ちなみに着替えは、同じ部屋ではしない。

彼が着替えとかを持ってお風呂場の方へ行くのだ。

 

まぁ、あたしの素肌なんて見ようものなら、理性がすぐ崩壊してしまうのだろうと、察しはしたが。

 

制服を脱ぎハンガーにかけ、寝巻きになっているネグリジェを着ようとした瞬間、玄関の扉が勢いよく閉まる音がした。

ブリジットさんが出て行った後ちゃんと鍵は閉めたので、入って来れるとしたら一人しかいない。

 

「シャル? 着替えているのか?」

 

扉がノックされる。

ナズナが帰ってきたのだ。

 

なんで貴方まで早退するのよ、馬鹿。

 

「そうだけど…なんで帰ってきたの?」

「……あの後、ロゼに謝り倒されてな。シャルが言ってた事が、正しいと気付いた。いや、お前はいつでも正しかったのに、狭量な俺がそれを理解していなかったんだ。すまなかった、シャルロット。怖がらせて、すまなかった…」

 

コツン、と扉がもう一度鳴る。

多分今の音は、ナズナの頭が扉に当たった音だ。

寝室の扉に鍵は付いていない。

入ろうと思えば入れるのに、彼はそうしなかった。

あたしが着替え中だと言った事もあるだろうが。

 

あたしはネグリジェを着て、寝室の扉を開ける。

少し泣きそうになりながら、ナズナがあたしを見ていた。

 

「…なんで、貴方が泣きそうになってるのよ」

「お前に申し訳なくてな…少し、嫌な想像もした。お前が俺に呆れ、別れて別の男と一緒になると。あぁ、お前の事は言えないな…」

 

あたしをキツく抱きしめ、ナズナの声が震え始める。

 

「俺の女神、俺の運命の女(ファム・ファタール)…お前に捨てられたら、俺は生きていけない…捨てないでくれ、別れないでくれ、シャルロット…お前を愛しているんだ…っ!」

「…別れたら、あたしの名前の方に傷がつくのよ。それ、貴方理解していて?」

 

王太子と別れた令嬢ではなく、王太子が婚約破棄した傷物令嬢として、あたしは扱われる事になるだろう。

社交界に行く気はないし、もう彼以上に愛せる人はいないと思うので、あたしは独り身で生きて行くしかない。

そこまで考えてから発言しているのだろうか、ナズナは。




200話いきましたー
というか、いつも喧嘩してるな
こいつら…
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