転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

201 / 276
201.二回目の文化祭です

「それに、あたしの方から婚約破棄して欲しい、なんて言えるはずないでしょう? 貴方は王家、あたしは家臣。貴方から結んだ婚約なのよ? こちらが嫌だと言っても、破棄なんて出来ないはずよ?」

「…ベルファなら、やりかねん。むしろ、お前の為にテスタロッサ領が独立する可能性もある。俺に渡すまいと、ターニャだって奮起する事だろう」

 

そんな馬鹿な。

むしろお義父様から、これくらい我慢しなさいと叱責される方が、可能性は高いだろうに。

ターニャの事は否めないが。

 

「シャルロット…まだ怖いか? 俺が触れているのは、恐ろしいか…?」

「貴方を嫌いなら、もう突き飛ばしているわよ。言ったじゃない、嫌いな奴には容赦しないって。ねぇ、ナズナ。あたしが貴方を愛している気持ちを、貴方は疑うの? 貴方ギルドの時に言ったじゃない。あまりそう思われると傷つくって。もう、こういう喧嘩やめにしない? あたしも貴方からの愛は疑わないし、貴方もあたしが他の人に言い寄られていても、嫉妬しないで。あたしが愛しているのは、貴方だけなのだから」

 

シャル、と彼はあたしの名前を呼び、少し体を離した。

そのまま頬を軽く包まれ、キスをされる。

 

いつもの、仲直りのキス。

 

暫く唇を合わせ、離した後。

彼はあたしの肩に顔を埋めた。

 

「ナズナ…?」

「…情けない俺を見ても、それでも変わらず愛してくれるお前が愛おしい。シャル、好きだ。愛してる。俺を愛してくれて、ありがとうシャルロット」

 

なんか、今から死にそうな人みたいな事言い始めたんだけど、この人。

多分、自覚は全くないんだろうけれど。

 

「ナズナ、文化祭だけど…」

「あぁ、一緒に回ろう。今度は、ちゃんとデートをしようシャルロット」

 

ナズナは体を起こし、微笑んで聞きたかった言葉をあたしへくれる。

あたしも嬉しくて、彼に微笑み返した。

 

◆◆◆

 

文化祭当日。

去年と同じく人が溢れ返り、あたしはナズナの服を軽く引っ張る。

 

「ナズナ、ナズナ」

「シャル、落ち着け。文化祭は三日開催されるから。その間に全部回ろうな。あぁ、目を輝かせるお前も愛らしい」

 

そんなにだっただろうか。

まぁ、仕方ないだろう。

去年みたいな事はもう懲り懲りだったから。

 

前日にアンに頼んで、ナズナとゆっくり回りたいから、もしあたしやナズナに近寄る人がいたなら止めて欲しい、とお願いした。

アンは二つ返事で、ファンクラブの人達に通達しておく、と言ってくれた。

だから、今年はちゃんと楽しめると思っている。

 

「ナズナ、あれは何かしら?」

「ん? 俺も知らないな。なんだ、あの食べ物は?」

 

何かの焼いた生地に、大きなお肉が回転しながら焼かれ、それを削ぎ落として生地の中に野菜と共に詰められていく。

 

「美味しそう…」

「朝食もまだだしな。シャル、あれ買うか?」

 

ナズナの言葉に、あたしは頷いた。

連れ立ってその屋台に行き、二つずつ買って近くの木の傍で食べ始める。

 

「! 美味しい…!」

 

あれの食べ物の名前はケバブというらしい。

名前だけは聞いた事があったが、実際に食すのは初めてだ。

かぶりつく系は、はしたないと前世では忌避されていたから食べた事がなかったのだが、こんなに美味しかったなんて。

 

「うん、中々だな」

「思うのだけど、王子がこういうの食べて良いものなの? 怒られない?」

 

聞いてみると、キョトンとした顔でナズナはあたしを見る。

何でだ、と思っている顔だ。

 

「いや、ごめん。あたしの前世だと、こういう系は食べちゃダメって言われてて。ほら、大きく口を開けてかぶりつくじゃない? それがはしたないって言われて」

「別に学生だし、公の場ではない。確かに、貴族が集まっている公式の場でこういう食事は出されんが、非公式やプライベートでは、普通にこうやって食べてるぞ?」

 

なんと羨ましい限りである。

ナズナはもう食べ終わったようで、包んでいた紙を丸めた後、持っていたティッシュで手を拭き始めた。

どうやらソースが手についたらしい。

 

あたしも食べ終わり、同じく紙を丸めているとナズナが顔を近づけてきた。

そのまま、口の端を舐められあたしは驚いて彼から離れる。

 

「な、何するの?!」

「口の端にソースが付いていたからな」

 

なら言いなさいよ?!

むしろ、その持ってるティッシュで拭けばいいでしょう?!

 

そう怒鳴りたかったが、ナズナが楽しそうに笑っていたので言えず、あたしはポケットから手鏡を出して他についていないか確認した。

どうやらそこだけだったようで、あたしは少し拗ねたように口を尖らせる。

 

「笑いすぎだわ、貴方」

「すまん。お前が可愛らしいと思ってな。いつも貴族令嬢然としているのに、こういう抜けたところもある。あと、シャル? あまりそうされるとキスをしたくなるぞ?」

 

ナズナはあたしの口に指を当て、ニヤリと笑った。

 

また、この人はこんな場所でそういう事を…っ!

 

眉を寄せて彼を睨むとクックッと笑い出したので、揶揄われていたらしいと気付く。

 

「ナズナっ?!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。