転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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204.テスタロッサの催物です

「あたしに言わないでよ。そう命令を下してきたのは、前世のお父様なのだから。それに、大変だったのはターニャだったと思うわ。メイド長の業務の傍ら、あたしに付きっきりで、色んな言語とか経営学とかを教えていたのだから。それに加えて、あたしの食生活の管理とかもしていたのよ? いつ休んでいたのかしら」

 

過労死してもおかしくなかったのに。

 

「あのカヅキの師匠だろう? それこそ、転生者だったのかもしれんがな」

「そんな馬鹿な。長谷川だって、ちゃんと人だったのよ? あたしみたいな人外ではなかったわ」

 

そう言うと、彼から軽く額を叩かれた。

 

「…痛いじゃないの」

 

叩かれた額を撫でながらナズナに文句を言うが、彼はあたし以上にムッとしている。

 

「自分を卑下するなと言ったはずだぞ、シャル。お前は人外ではない。俺の愛しい妃だ。わかったな?」

「…貴方って人は…何回あたしを泣かせるつもりよ…」

 

プイッ、とあたしは顔を横に向けた。

そんなあたしを見て、彼は苦笑する。

 

「泣かせたくはないんだがな。ほら、シャル口を開けろ」

 

ナズナが先程の料理を、マスターした箸で器用に持ち、あたしに差し出してきていた。

あたしは素直に口を開ける。

 

口の中に入った料理を咀嚼し、あたしは目を丸くした。

 

「…美味しい…!」

「だろう? 俺も結構好きなんだ、これ」

 

ナズナもあたしに差し出してきた箸で、普通に食事しているのを見て、あたしは少し恥ずかしくなり目を逸らす。

そんなあたしを見て、彼は少しだけ首を傾げた。

 

「どうした、シャル?」

「いや、あの…間接キス、だなぁ…と、思ってしまいまして…」

 

あたしの発言に、ナズナは箸とあたしを交互に見て吹き出した。

 

「おま…っ! いつも、キスしてるじゃ、ないか…っ! 何を今更……くく…っ!!」

「そんなに笑う事ないじゃない?!」

 

ツボに入ってしまったようで、ナズナはずっと笑っていた。

それに対して、あたしはジト目で彼を見てしまう。

 

「いや、悪かった、シャル…! お前、それで恥ずかしがって、いたら…くく…っ! それ以上の事をする時、愧死(きし)するんじゃないか?」

「もう…っ! 笑い過ぎよ、酷いわあなた」

 

体ごと顔を背けると、笑い過ぎて涙が出ていたナズナが立ち上がったようで、あたしが座っていた席に来て後ろから抱きしめてくる。

 

「シャル、そんなに拗ねないでくれ。俺が悪かったよ」

「別に拗ねてないわ」

 

拗ねてはいない。

あの発言であんなに笑うものだから、ちょっとだけ悔しかっただけだ。

爆笑されるとは、思っていなかったから。

 

「シャール?」

 

ナズナが顔を覗き込んできて、そのままキスをされる。

 

ここが奥まった席で良かった。

周りからは見え辛いから。

 

「ナズナ…貴方ね…!」

 

非難めいた目線を投げるが、彼は優しく微笑むだけだった。

 

「好きだ、シャルロット。愛してる。お前の意外な一面が見れて、嬉しかったんだ。もっと、俺に見せてくれないか…? もっと…お前を知りたい…」

 

そう言いつつ、彼はもう一度キスをしてくる。

あたしもそれを受け入れ、暫く唇を合わせていた。

 

「…ナズナ、も、長…っ!」

 

彼の肩を押し、離れさせる。

ナズナはちょっと名残惜しげだったが、あたしは少し息が上がってしまっていた。

 

「シャル、食事を終えたら今度は何処に行こうか? 今年もベルファが何か出しているようだぞ」

「……じゃあ、そこに行きましょうか。今年も絶叫系じゃなければ良いわね、ナズナ?」

 

ニコリと彼に笑むと、ナズナが引き攣り笑いを返してくる。

よほど去年の事が堪えたらしい。

 

その表情が見れただけで、あたしは良しとした。

 

◆◆◆

 

「…? 何かしら、ここ」

 

テスタロッサの催物会場が今回は室内だった事もあり、あたしはナズナと連れ立って来てみた、のは良いのだけれど。

 

色んな機械が、所狭しと並べられている。

多分、遊ぶものなんでしょうけど。

どうやって遊ぶのか、さっぱりわからないわ…。

音も五月蝿いし。

 

「カヅキがいたら聞けたのかしら…」

 

あたしと違って、彼女は結構外の世界の事を知っていたから。

これもどう遊ぶのか、分かったはずだ。

 

「あ、お嬢様ー!」

 

聞き慣れた声にそちらに顔を向けると、去年と同じくチェルシーがあたしに手を振ってきていた。

 

「チェルシー! ここどういう場所なの?」

 

機械の音が大きいため、結構な大声でないと自分の声も相手の声も聞こえない。

チェルシーはえーと、と少し考えて説明を始めてくれた。

 

「ここ、奥様が言うには、ゲームセンターの音ゲーコーナーと呼ばれる場所を再現したみたいです! お嬢様が来たら、パンフレットを渡して説明しろって言われました!」

「…ターニャ…」

 

貴女、何でもかんでもあたしの行動予測しすぎじゃ無いかしら。

流石、あたしの元世話係。

小さい頃から世話をしてきたから、あたしの行動予測は立てられるという事なのだろう。

 

「はい、お嬢様! パンフレットです!」

「ありがとう! えーと…?」

 

この場所の地図と、設置されている機械の種類、その説明がパンフレットには載っていた。

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