転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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205.音ゲーで遊びます

ここは入り口で、そして設置されている機械はどうやら太鼓のようだったが、あたしは首を傾げる。

 

「どうやって、太鼓で遊ぶのかしら?」

 

叩く以外何もないと思うのだけど。

 

説明文を見ると、音楽と共に流れてくるマーカー通りに太鼓を叩いて遊ぶものらしい。

ナズナも音に少し顔を顰めていたが、あたしの後ろからパンフレットを覗き込む。

 

「面白そうだな。やっていくか、シャル?」

「…でも、結構人がいるわね」

 

そちらをチラリと見ると人だかりが出来ていて、順番待ちが発生していた。

台数が多いとは言ってもだ。

 

「少し見て回ってから、面白そうと思ったもので遊びましょうか。チェルシー、ありがとう。お仕事頑張ってね」

「はい、お嬢様! また冬休みになったら、テスタロッサに帰ってきてくださいね! メイド一同、お嬢様のお帰りをお待ちしています!」

 

あたしはそれに対して、微笑むだけにしておく。

結婚したら、帰ろうと思っても帰れないだろう。

 

里帰りさせてもらえるとしたら、出産の時くらい…?

いやナズナの場合、心配だから城で産んで欲しいとか言いかねないな…。

 

チェルシーと別れ、少し歩いてから難しい顔をしていると、ナズナが苦笑いをした。

 

「シャル? 別に、お前へ二度とテスタロッサに帰るな、とは言っていないぞ。帰りたかったら、帰れば良い。その間の業務は、全て俺がしよう。だから、テスタロッサに帰りたくなったら言ってくれ。快く送り出そうじゃないか。だが、早く帰ってきてくれよ? 寂しくて俺が死んでしまうからな」

 

あたしの肩を抱き、ナズナはあたしの頭へ頬擦りをしてくる。

歩いているのに器用な事だ。

 

「…心読まないでもらっても良いかしら…でも、ありがとう。そう言ってもらえて、少し気が楽になったわ。それに、貴方が寂しがり屋だなんて初めて聞いたわ。ふふ…ちゃんと、貴方の所に帰ってくるわよ。貴方の隣は、あたしの場所なのでしょう?」

 

そう尋ねると、ナズナは頭から顔を離し、あぁ、と頷いてくれる。

暫く歩いていると、あまり並んでいない機械を見つけて、あたしは首を傾げた。

 

「なんでここ、人いないのかしら?」

「…今まで見てきた奴は、腕とかしか動かしていなかったが、これは足を使うからじゃないか? だから疲れて、皆他の所に行っているのかもな」

 

成程。

あたしはパンフレットの説明文を見る。

確かにナズナの言う通り、これは足元にある板を踏んで遊ぶものらしい。

一応一人でもプレイ出来るみたいだが、二人でも出来るみたい。

 

「ナズナ」

「あぁ、やってみようか」

 

ボタン入力だけでプレイ出来るみたいで、お金はいらないようだった。

本来ならコインを投入する口も、今はテープみたいなもので塞がれている。

 

「最初はイージーから…」

 

音楽が流れ、目の前のディスプレイに矢印が上から下へと流れていく。

それを、足元にある板に対応した矢印を踏む事でプレイするようだ。

 

イージーを選んだ事により、あんまり流れてくる矢印が多くなくて少し物足りなさを感じる。

ナズナもそう思っていたようで、今度はハードでやってみようと言われた。

 

ハードを選んでやってみたが、流れてくる矢印の数が多くなり、あたしは本当にステップを踏んでいるような感覚に陥る。

 

「これ、本当にゲームなの?!」

「ゲームだろう。ふむ、中々面白い。体を動かして遊ぶものだから、あまり皆が寄り付かなかったのか。俺は好きだぞ、こういうの」

 

タタタタン、タンタン。

そんなリズムで、あたしとナズナはステップを踏んでいく。

所々、あたしとナズナのプレイで違う所が出てくるが、それもまた面白い。

三回くらいやっていると、人だかりが出来ていてあたしはナズナに言う。

 

「人増えてきたし、ここら辺でやめにしない?」

「そうだな。汗もかいたし、やめておくか」

 

プレイが終わり、あたしとナズナが板から降りると拍手喝采に見舞われた。

驚いていると、ナズナが苦笑しながらあたしに耳打ちしてくる。

 

「多分、俺とお前のプレイが皆からは踊っているように見えたのだろう。シャルは見目も良いしな」

「それを言うなら貴方もでしょう、ナズナ。まぁ、良いわ。お夕飯のご飯買って帰りましょう?」

 

そうだな、と彼は言い、あたし達は連れ立ってその場から去った。

 

◆◆◆

 

寮に帰ってきて、ナズナは汗を流してくるとお風呂場に行ってしまった。

あたしはお夕飯の食べ物を冷蔵庫に入れた後、甘いものが食べたくなって買ってしまったものを、机の上に広げた。

 

クレープ、苺大福、あんドーナツ、ロールケーキ、苺のショートケーキ、クレームブリュレ。

 

「クレープはお皿に乗っている物は食べた事あるけど…甘くなかったのよね」

 

それもそうだろう。

材料の中に卵が入っているのだから。

そこの知識だけはある。

それに、出された物は野菜とかお肉とかと一緒に出てきた。

 

クレープが食べてみたいと言ったあたしへの、長谷川なりの苦肉の策だったのかもしれない。

 

「本当、我儘だったなぁ…長谷川にも迷惑ばっかりかけて」

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