転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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206.甘いものを食べます

今度ターニャに会ったら、謝ろう。

我儘ばかりで、迷惑かけてごめんなさいって。

 

紙で巻いてあるクレープを手に取り、一口食べる。

甘い生クリームと、チョコソース、そしてバナナの味が一気に来て、その後にほんのり甘いクレープの味がした。

 

「…成程、これが甘いクレープなのね。美味しいけど、少し胸焼けしそう」

 

あたしはお皿にクレープを置き、キッチンに行く。

お湯を沸かし、棚から茶葉の缶と挽いてあるコーヒーの缶を手に取り、どちらが良いか悩んだ。

そんな時に、ナズナがお風呂から戻ってきた。

彼をチラリと見ると、上半身裸で肩にタオルをかけた状態だったので、あたしは呆れた目を向ける。

 

「ナズナ…風邪引くから、それはやめなさいって言ったじゃない。あと、その状態で出てこないで。目のやり場に困るわ」

 

引き締まった体に、所々大きな傷が付いていた。

それらはここ最近のものではなく、あたしがここに来る前。

ノースイットとの戦争で負傷した時の物だと、以前ナズナの着替えを手伝っていた時に、言われた。

 

あの時は恋人同士ではなかったから着替えも手伝ったりしていたけど、今はもう無理っていう事で一人でやってもらっている。

まぁ、あたしが嫉妬深いからっていうのもあるんだけど。

 

ルルさんがナズナの着替えを手伝っていたら、あたし毎日大木を切り刻んでいたかもしれないなぁ…。

 

それが分かっているからこそ、ナズナも一人で着替えられるってルルさんに言ったんだろうけど。

 

「それ、男が女に言うセリフだと思うのだが…わかった、悪かった。そんな目で見ないでくれ、上の服を持ってくるのを忘れたんだ。すぐ着てくるから」

 

ジト目で見ると、ナズナが少し慌てて言い訳をしながら、部屋に戻って行った。

全く、とため息を吐きつつ、再びどちらが良いか悩み始める。

 

「シャル? 何を悩んでいるんだ?」

 

服を着て戻ってきたナズナが、あたしに尋ねてきた。

あたしは彼に二つの缶を見せる。

 

「どっちで甘いものを楽しもうかと思って。どちらも捨て難いのよねぇ…」

「甘さを際立たせるならコーヒー、口をサッパリさせつつ風味を楽しむなら茶葉の方がいいんじゃないか?」

 

うーん…。

どちらもそのままは苦いから、あたしは砂糖を入れてしまうのだけど。

太りそう。

 

「ナズナはどっちが飲みたい?」

「淹れてくれるのか? 俺はコーヒーがいい」

 

ならコーヒーにしようと、あたしは茶葉の缶を棚に戻し、コーヒーメーカーに引いたコーヒー豆をセットする。

後、沸騰させたお湯も入れておく。

あとは時間が経てば、コーヒーが出来上がるのだ。

 

これもテスタロッサ製なので、あと何個うちの製品があるのだろうか。

 

「シャル」

「ん、何? というか貴方、髪ちゃんと乾かしてないわね? 髪も長くなってきたのに。なんで伸ばしてるの? 切ったら?」

 

あたしを後ろから抱きしめ、頬擦りしてきたナズナに文句を言う。

いつも肩出しの服を着ているからポタポタと雫が垂れ、あたしの肩に当たるのだ。

冷たいったらありゃしない。

 

「髪を伸ばしている理由か? うちは、成人したら髪を伸ばす風習があってな。まぁ、腰までって限度はあるし、各々どこの髪を伸ばすかは、各自の判断と言える。俺は髪を切るのが面倒だからそのまま伸ばしているだけだ」

「あたしと会った時、短かったはずなんだけど。あれは?」

 

彼の腕を外し、向かい合うと肩にかけていたタオルを奪って、髪を拭いてあげる。

問うと、ナズナは何かを思い出したのか、少し笑った。

 

「戦争の時、敵兵に捕まってな。伸ばしてた髪も切られ、少し拷問されたんだ。その後すぐに助けられたが。治療を受けている際も、伸びたら面倒だと思って、全て剃り落とした結果だな。流石に、坊主は似合わなかった。鏡を見て自分で爆笑したくらいだ」

「いや、それ笑い事なの?」

 

唖然としながら彼を見つめていると、笑い事さと返される。

 

「今は戦争が起こったとて、負けるつもりはないし、負けるイメージが持てない。な、シャル。先の時だって、お前が動いてくれたからリューネの民は誰も死ななかった。俺の女はとても強い。ちゃんと約束を守ってくれて、ありがとう。でもな、シャル。自分の身も大切にしてくれ。お前の身に何かあったら、俺は生きていけないんだぞ」

「…それについては、ごめんなさい。心配かけさせて」

 

全くだと言い、片手をあたしの腰に回した後、ナズナは頬へキスを落としてきた。

コーヒーメーカーでコーヒーが出来たようで、あたしは彼に離すよう伝える。

渋々といった感じでナズナは手を離したが、コーヒー一式をテーブルに持って行くと、彼は後ろからついてきた。

そのまま席に着いたので、あたしは自分と彼の分を入れてカップをナズナの前に置く。

 

「あぁ、そう言えばシャル。来月は修学旅行だそうだぞ」

 

クレープを食べつつ、ちょっと甘すぎると思ったら微糖にしたコーヒーを飲んでという事を繰り返していると、ナズナからそう言われた。

 

「唐突だし、そんな話いつしてた?」

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