転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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211.トラブルのようです

是非そうしてもらいたい。

 

カーン先生の授業が最後だったので、あたし達は帰り支度をして教室を後にする。

そして、その足で学校近くにあるお店に入った。

 

そのお店は生鮮食品他、雑貨も取り扱っており、この学校に通いつつ寮生活をしている学生の御用達店になっている。

 

「えーと…持っていくもの…」

 

渡されたパンフレットに書いてあった必需品を見つつ、あたしはカゴにそれらを入れていく。

カゴを持ってくれているのはナズナだが、こんな事王太子にさせるのあたしぐらいだろうなぁ、なんて頭の片隅で考えてしまった。

まぁ、持ちたいと言うので持たせているのだが。

 

後ろで空気のように控えてくれているルルさんとブリジットさんだったが、何か言葉を発しようものならナズナから睨まれるので、本当に申し訳ないと思ってしまう。

 

護衛はどうしようもないと、彼もわかってはいるのだが…それでも、あたしと二人きりでデートとか、買い物とかをしている雰囲気を感じたいのだそうだ。

それについてはあたしも否定は出来なかったので、二人に謝り倒すしかなかった。

 

「シャル、今日肉食いたい」

「一昨日食べたばかりでしょ。却下。貴方、朝起きれなくて鍛錬も怠っているのだから、そのうち太るわよ」

 

生鮮食品が売っているコーナーを見つつ、ナズナが夕飯のリクエストをしてくるが却下する。

あたしはあたしで、カゴの中身とパンフレットの必需品が間違っていないか、確認している最中だった。

 

「太…」

「嫌よ、あたし。中年太りした貴方なんて。あたしも気を付けなきゃいけないけど、貴方には格好良いままでいて欲しいもの」

 

前世のお父様は、それは恰幅の良い方だった。

陛下も服には隠れているが、多分少し太っている。

ナズナにはあぁなって欲しくないな、なんて思いながら言うと、彼からの返答がなくなりカゴからナズナへと目を向けた。

 

顔を赤くし口元を手で隠しながら、彼は目をあたしから背けていて、何か変な事を言っただろうかと首を傾げる。

 

「ナズナ? どうかした?」

「…いや、何でも」

 

何でもないなら、なんでそんなに顔を赤らめているのか、この人は。

熱でもあるのかと屈めていた身を起こし、彼の額に手を当てる。

 

「熱は…なさそうね」

「あるわけないだろう……全く、無意識にそんな事言わないでくれシャル。お前が愛おしすぎて、公衆の面前でキスをしたくなったじゃないか」

 

あたしの右手を取り、その手の甲にキスをするナズナを見て、あたしは自分で言った事を思い返し、彼同様顔を赤らめ少し慌てた。

 

「いや、あの、その…っ!!」

「お前が望むなら、格好良い俺でいようじゃないか。シャル、不格好になってきたら言ってくれ。お前からの愛を得る為に、俺は努力すると誓っているからな」

 

クスリと笑ったナズナに、あたしは恥ずかしくなって目を伏せる。

 

ナズナに何を望んでいるのだ、自分は。

自分だって、彼に愛されるための努力をしているのかと問われたら、していないと言えるのに。

彼からの愛に、あぐらをかいているくせに。

高望みをするんじゃない、あたし。

 

「…今日はお肉にしましょうか…」

「シャル?」

 

彼の手から自分の手を引き抜き、あたしは生鮮食品のコーナーに行く。

必需品はカゴに入れたし、確認も済んだ。

自分が出来ていないのに、彼に容姿について望んでしまった申し訳なさに、今日は彼のリクエスト通りに料理を作ろうと思った。

 

◆◆◆

 

修学旅行当日、昨日カーン先生が言っていた通り、校庭には魔法陣が描かれ、四方八方に転位石が置かれて、その前に先生達が立っていた。

 

魔力が込められている石もあれば、まだ込められていないものもあって、先生達が少し慌てている。

 

その様子に、一部の生徒達が騒めいていた。

 

「何かトラブルかしら?」

「かもしれんな。少し話聞いてくるか」

 

ナズナがカーン先生の所に行こうとしたので、あたしも着いていく。

話を聞く所によると、転位石に魔力を込めるのは良いのだが、今回は遠い場所に転移する為に必要な魔力量も多く、先生方が込められる魔力にも限りがある為、充填に時間がかかっているそうだ。

 

「成程…時間も押しているんだよな?」

「えぇ、まぁ…。僕も参加しますが、引率なのでそこまで出来ないんですよねぇ…」

 

カーン先生も困っているようなので、あたしは挙手する。

 

「あたしがやりましょうか? もう完了しているのはしなくても良いとして…残り8個、ですよね? 魔力の充填くらいなら…」

「シャル」

 

ナズナに肩を掴まれ、首を横に振られた。

あの戦争の時に無茶をやったので、こういう事態であたしが魔力を使うのが、彼には嫌らしい。

 

「大丈夫よ、ナズナ。たかが充填するだけじゃない。無理だと思ったら止めるから、ね? そんなに心配しないで、あなた」

「心配するに決まっているだろう。お前は俺の大事な妃なんだぞ?」

 

なら一緒に来て、とあたしはナズナに告げて、彼の手を引いて転位石の所に行く。

魔力がほぼ込められていない物へ手を置き、充填してみた。

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