転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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217.大聖堂に侵入します

ナズナの遥か後方から、ルルさんとブリジットさんが駆けて来ているのが見えて、大変申し訳なくなった。

 

「ナズナ…貴方、待ても出来ないの?」

「人を…犬みたいに、言うんじゃ…ない…っ!! っ…はー…で、シャル。ここに何の用なんだ」

 

やっと息が整ったのか、ナズナが顔を上げあたしを見る。

 

「用っていうか…声が聞こえるの。此方にいらっしゃいって、女の人の声。まだ微かだけど、あっちの方」

 

指を差した先を見たナズナの眉が寄った。

それもそうだろう。

関係者以外立ち入り禁止の札がかけられている扉を、あたしは今指差しているのだから。

 

「シャル…流石に今回は…」

「わかってるから、あたし一人でって話だったのに。んー…時を止めて入ってから、動かして少し話をして、出てくるって戦法じゃダメかしら?」

 

ナズナに首を傾げながら問う。

彼は少し難しい顔をした後、ため息を吐いた。

 

「…わかった。俺も一緒に行く。衛兵に見つかっても、如何にかしてやる。だから、一人で行こうとするな、良いな?」

 

彼の言葉に頷き、あたしは指を鳴らして時を止める。

札がかかっている扉を開け、中に侵入した。

廊下には人が全くおらず、あたしはまた指を鳴らして時を動かす。

 

ナズナと共に歩いていると、ある一室からまた声が聞こえて、その部屋の扉を開けた。

そこは大聖堂の貴重品を納めたかのような部屋で、聖具と呼ばれていそうな物が並べられている。

その部屋の壁に二本の剣が掛けられていて、どうやら声はその剣からするようだった。

 

あたし達は部屋の中に入り扉を閉める。

そしてその剣の傍に寄り、見上げた。

 

緋色の剣と蒼色の剣。

光に当てなくても、キラキラと煌めいていて、とても綺麗だ。

 

「シャル…? お前、目が…」

「え?」

 

ナズナの方を振り向く。

あたしの目がなんだと思い彼を見るが、そう言った彼の瞳も変わっていた。

 

「ナズナ、貴方の目…紅色じゃなかったわよね?」

「そう言うお前だって、アメジストのはずなのに、あの剣と同じ青色になっているが…どういう事だ?」

 

二人して首を傾げる。

途端、耳鳴りがしてあたし達は蹲った。

 

《我等を扱うに足る人、見つけたり》

 

耳を押さえ、あたし達は剣を見上げる。

 

「な、何…?」

「今のは…」

 

呆然としていると部屋の外が騒がしくなり、次いで衛兵が部屋の中に入ってきた。

 

「貴様ら何をやっている?!」

「ここを聖具殿と知っての狼藉か、不法侵入者め!!」

 

警報装置でもあったのだろうか。

それにしては、少し来るのが遅いような気がしなくもないが。

 

あたしより早く回復したナズナが立ち上がり、身分証を見せながら衛兵の説得を始めた。

 

「侵入してしまった事は大変申し訳なく思う。俺はナズナ・エキザカム・ブリリアント、リューネ国の第一王位継承者だ。スェッド国の代表に、弁明をさせていただきたい。取次をお願い出来ないだろうか」

「何を…っ!!」

 

身分証を提示しているのに、衛兵は激昂してナズナを拘束しようと動く。

あたしはまだ耳鳴りの影響で動けず、ナズナを転移させて逃す時間がないと悟った。

 

しかし、衛兵の動きは凛とした女性の声で止まる。

 

「おやめなさい、ノクス、ネイサン。そちらの方は、ナズナ王太子殿下で間違いございません。それに、我らの宝剣が殿下方に反応したのです。無体を働いてはなりません」

「し、しかし、マーレ女王陛下…」

 

やっと耳鳴りの影響がなくなり、あたしもナズナ同様立ち上がる。

髪も着ている服も、全身真っ白な女性が衛兵を止めてくれていた。

あたしはナズナにこっそり尋ねる。

 

「あの女性の方は?」

「マーレ女王陛下だ。国を治めているマーテル女王陛下の双子の妹で、いつもは大聖堂の奥深くで祈りを捧げている方なのだが…俺もお姿は初めて見た。話は、マーテル女王陛下に初めてお会いした時に聞いてはいたんだが…」

 

大聖堂のトップという事か…そんな人がなんであたし達を擁護してくれているのだろう?

 

彼女を見つめていると、目があってフワリと微笑まれた。

瞬間、この国を覆っている結界を張っているのはこの人だと気付く。

 

あたしと同等か、それ以上の魔力の持ち主だと理解した。

 

「殿下、そちらの方は?」

「紹介が遅れ申し訳ない、マーレ女王陛下。こちらの女性は、シャルロット・マリアライト・テスタロッサ。私の婚約者です」

 

ナズナがあたしを紹介してくれ、慌てて頭を下げる。

そんなあたしを見て、マーレ女王陛下はクスクスと笑い出した。

 

「そこまで緊張する事はありません、テスタロッサ嬢。(わたくし)の地位は、お姉様に比べたら低いものですから」

「いいえ、何を仰いますかマーレ女王陛下! 陛下が結界を張ってくれているおかげで、我らは安全に暮らしていけるのです! 陛下のお力は悪しきものを退け、我らに安寧を(もたら)してくれているのです!」

 

ナズナを捕えようとしていた衛兵、ノクスと呼ばれていたか。

マーレ女王陛下は、彼の熱量へ困ったように笑った。

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