転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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220.ナタリア姫です

姫としてはしたない、と女王陛下は怒るが、あたしは二重の意味で驚いて固まってしまう。

 

勢いよく開けられた扉の方を見れば、カヅキがいた。

世の中には自分のそっくりさんが二、三人いるって話だけど、短期間で友達のそっくりさんに、こんなに会うとは思わなかったなぁ…。

 

あと、音に驚いた。

 

「お母様には悪いと思うけど、あんな剣なんの価値もねーぜ? ちょっと意思があるくらいのナマクラじゃん」

「ナタリアっ!! それ以上は許しませんよ!!」

 

女王陛下は激昂するが、親子間のことなのであたしとナズナは口を挟めず、傍観するしかない。

 

ナタリアかぁ…元気にしてるかなぁ。

 

同じ名前のテスタロッサ家メイドを思い浮かべ、あたしは現実逃避をする。

 

「ほい」

 

ゴトゴト、と音がして目の前に何か置かれ、そちらを見ると鞘に入ったティアリーが鎮座しており、あたしは目を丸くした。

ナズナの方にはフラムベルグが置かれている。

聖具殿で見た時は抜き身だったので、この鞘はどこから調達してきたのか。

 

というか、なんで宝剣がここにあるんですかね?

 

あたし達はナタリアさんの方を見る。

 

「差し上げるって言ってんの。つーか、宝剣なんてなくてもうちの国はやっていけるし、過去の大乱以外平和だし?」

「ナタリア、貴女って人は…っ!!」

 

女王陛下が立ち上がりかけたが、ナタリアさんの眼光が鋭くなった事により、その動作を止めた。

 

「次の女王はあたしだって、分かってるよなぁお母様? あたしが拒否ったら、すぐこの国は崩壊するの知ってて、そう言うんだよなぁ?」

 

ナタリアさんの言葉に、女王陛下が悔しそうな顔をし、そのまま座った。

 

「え、と、あの…?」

「この国では、表裏の女王がいるわけ。一般人には見えないけど、うちの国土全部に法力っていう力を使って結界ってやつを張ってるの。今は叔母様がやってるけど、いずれはナターシャがやる役目ね。法力を持って生まれた双子が裏の女王として国を結界で包んで守る役、持たなかった方が国を回して守る役ってわけ。おわかり?」

 

ナタリアさんはあたしを見つつ説明と問い掛けをしてきたので、うんうん頷いておく。

 

「だからあたしが女王やんないってなったら、ナターシャにその役目が全部回ってきて、国が崩壊するのよ」

「や、やだ…無理…っ!! 人の前に出る、の、嫌ぁ…っ!!」

 

扉の影からそんな悲痛な声が聞こえてきて、この人二振りの剣の事だけ考えてここまで来たんだな、と瞬時に理解した。

 

「宝剣共が行きたいって言ってんだから良いじゃねぇかお母様? なぁ?」

「少々、宜しいでしょうか」

 

これまで事の成り行きを見ていたナズナだったが、ここで口を挟んでくる。

 

「何でしょう、殿下」

「宝剣が我々に着いて行きたい、しかしこれはスェッド国の物です。ならば貸与という形で、わが国に貸し出した事にしてはどうでしょうか。有事の際は、そちらにお返し致します」

 

女王陛下は暫し逡巡した後、宜しいでしょう、と嘆息する。

宝剣が使い手を選んだ事、その宝剣の貸し出しに娘の暴挙と、頭が痛くなる事象が立て続けに起こった女王陛下には、心労お察し致しますと申し上げたいくらいだ。

 

あたしはそっと、ティアリーに触れる。

感触は硬く、ちゃんとした剣なのだな、との印象を持つ。

これで意思を秘めているとは、少し信じ難い。

まぁ、この人…人? に呼ばれてこんな事態になっているわけなのだが。

 

〈貴女、あの子に魂の波動が似ているのね〉

「…ん?」

 

とても可愛らしい声が聞こえて、あたしはティアリーから手を離し辺りを見回す。

 

「どうしたシャル?」

「いや、あの…どなたか、あたしに話しかけました?」

 

あたしは女王陛下、ナタリアさん、ナターシャさん、傍に控えていたメイドさんを見ながら尋ねるが、全員首を横に振った。

 

「宝剣の声も聞こえるのですか…」

「二人を、よろしくお願い…します…」

 

女王陛下は頭が痛そうに押さえ、扉の影からナターシャさんが頭を下げてきた。

 

◆◆◆

 

取り敢えず借用書を交わし、城から辞退させていただいた。

行きと同じように、紋章入りの馬車で宿泊施設に送られる。

宿泊施設を出たのは朝食後だったのに、この騒動で時間を食ってしまったようでもう夕方になりかけていた。

 

買い食いをしていたからお腹は空いてはいないが、あまり観て回れなかったなぁ、なんて思ってしまう。

 

「ナズナ、新婚旅行ここにもう一回来たい」

「…すまん、シャル。無理かもしれん」

 

ナズナの言葉に彼の方を見るが、本当に申し訳なさそうにあたしを見つめる表情を見て、そう言えば、と思い至った。

ナズナが高等部を卒業したら、すぐ戴冠式を行うって話だったな、と。

そうなると、あたしとの結婚式はどうなるのだろうか。

 

「…結婚出来ないのかもなぁ」

「いや、式はちゃんと挙げるぞ? いつが良い?」

 

うーん、とあたしは少し悩み、ナズナが結婚記念日を二回程忘れた話を思い出し、そうだと彼に提案する。

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