転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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221.帰国します

「ノーム1の月15日はどう? 貴方の誕生日の一週間後。あたしの誕生日の十日後。覚えやすくない?」

「確かにな…シャル? また思い出したな?」

 

ジト目で見られたので、あたしは顔を背けた。

本当に、この話題を出すとすぐ嘆かれるので、ちょっと困るのだが。

 

「覚えやすい日なら、忘れないでしょって思って…」

「確かにそうだが…予防線を張らないでくれ…」

 

ナズナは腕を組み、目を閉じて窓枠に頭を乗せた。

寝てしまったのかと思ったが、寝息は聞こえてこなかったので、目を閉じているだけだろう。

 

あたしは鞘とナイフホルダーに納められているティアリーに触れる。

 

〈貴女、この世界の人間じゃないわね?〉

〈えぇ、まぁ。それが、どうかしましたか?〉

 

途端、ティアリーに話しかけられたので答えた。

確かにあたしは、この世界で生まれたわけではないが。

 

〈少し気になっただけよ。あと、別に敬語を使う必要性はないわ。あの子も、私に別に敬語なんて使ってなかったから〉

〈あの子っていうと…聖女様の事?〉

 

えぇ、そうよとティアリーは肯定した。

 

〈あの、ティアリーさん〉

〈ティアリーで良いわ。えぇと、確かシャルだったわね? 彼がそう呼んでいたから。何かしら?〉

 

少し思考してから、気になった事をあたしは彼女に尋ねてみる。

 

〈聖女のお話、少し聞いてみたいんだけど…良いかな?〉

〈馬車が貴女達の泊まってる所に着くまでね。そうね…あの子の名前はミクと言ってね。ケンドー? が出来る女の子だったの。フラムベルグがちょっと、人に悪さをしようとしてて。それを止めたくて、あの子を異世界から呼んだの。まぁ…結果的に、あの子を傷つけてしまったのは申し訳ないと思っているわ。今も、後悔はしてる〉

 

ティアリーの声のトーンが少し下がる。

 

〈やっぱり、あれは悲劇で終わったの?〉

〈ミクは、フェステルっていう…フラムベルグが操ってた男の子が好きになっててね。彼を刺しながら号泣していたわ…殺す事でしか、救えなかったからなんだけど。でも、彼はありがとうと笑っていたわ。来世では一緒になろうと、ミクに言いながら息を引き取ったの。だからなのかしら、フラムベルグが彼に着いて行こうと思ったのは。彼、口調は違うけれど、フェステルに似てるわ。貴女を大事に見ている所とかね〉

 

ナターシャさんの言葉を信じるなら、フラムベルグはティアリーと一緒なら、もう悪さはしないと言ったという。

でも、それが偽りなら?

 

あたしも、ミクさんと一緒にならないって、誰が保証してくれるの?

 

〈シャル、大丈夫よ。もしそうなら、既に事が起こっているわ。ね、フラムベルグ?〉

〈…貴様の番には、手は出さん。俺は、ティアリーと共にありたいだけだ。あそこにずっと据えられているのも、飽きてきたんでな。たまには、外の空気も吸いたくなるというものだろう〉

 

本当かよ、こいつ。

 

疑いの眼差しを向けると、ナズナがクックッと笑い出した。

 

「…ナズナ?」

「いや…こいつの記憶を見せてもらっていたんだ。確かに最初は人の心なんざ無いのだろうなという位、悪逆非道を重ねていたし、お前達の会話の中に出てきたフェステルの記憶もあった。だが、それ以降はティアリーを慈しむ事しか考えてはいなかったぞ、こいつは。フラムベルグ、お前不器用な男だな」

 

ナズナは鞘からフラムベルグを出し、掲げながら笑う。

 

〈ふん…〉

「ティアリーからの感情がわからなかったなら、彼女に聞けば良かっただろうに。お前、人間の頃からそうだったみたいだな? ティアリーも苦労するわけだ」

 

人間?

 

どういう事だ、と首を傾げるとナズナは、後でティアリーに聞けと言った。

聞いて教えてくれるんだろうかと、あたしは彼女を見つめる。

 

〈そうねぇ…なら眠っている間に見せるわ。その方が貴女には分かりやすいでしょうし、体験型になるでしょうし…〉

「…ティアリーって結構お茶目?」

 

そんなわけ無いじゃない、と返されたが、口調といい、性格性と言い、レイラさん思い出すんだよなぁ。

そういえば脱隊したからもう無関係になってしまったが、親衛隊って今どうなっているのだろうか。

オリヴィエさんも辞めてしまったようだし、次の副隊長レイラさんかもなぁ。

 

「もうそろそろ宿泊施設に着くぞ、シャル。あと、ティアリー。俺の名前はナズナだ。彼とかで呼ばないでくれ」

〈あら、失礼。ナズナね。覚えたわ。フラムベルグ共々、よろしくね。シャル、ナズナ〉

 

こちらこそ、と返して、あたしはナズナにティアリーを渡す。

なんで渡してくるんだという顔をする彼に、あたしは言った。

 

「なるべく一緒に居させてあげたいというか。宝剣って言っても、ちゃんと武器として扱えるし。結構な力秘めてるっぽいから、何かあったら助けてくれるだろうし。あたしよりナズナに預かってて貰った方がと思って」

 

仕方ないなとナズナは笑い、ティアリーを預かってくれる。

その後は案の定というか、カーン先生にお説教され、次の日にリューネへ帰国した。

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