転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

225 / 276
225.息子夫婦に会いました

「兄様に至急伝えたい事がある。取次をお願いしたい」

 

ヘンリは扉前で警護をしている親衛隊の人達に、中にいる兄へ取次してもらうようお願いしている。

少ししてから、あたしとヘンリは中に入れてもらえた。

 

落ち着いた調度品に加えて、重厚な机が二つ。

そしてその机に向かうように座っていた、あたしと同じ蒼い髪を持つ男性と黒髪の女性が、あたしを見て驚いているようだった。

 

「ヘンリ、その子…」

「過去の母様。何かあってこっちに来たみたい。前にギャースカ騒いでる四人組来た事あったじゃない? 多分あれと同じ経緯」

 

蒼髪の男性がヘンリに尋ね、彼女は肩を竦める。

四人組、と聞いたので、あたしはヘンリにこっそり尋ねた。

 

「もしかして、テスタロッサって名乗ってなかった? その人達」

「ご名答だよ、母様。あんまりにも煩かったし、凄く嫌な気配がしてたから、スイカ義兄様が尋問したんだけど、なんか精神が脆かったみたいでみんな廃人になっちゃったっぽい。ぼくも報告書見せてもらったけど、支離滅裂な事ばっかしか言わないし、尋問って言っても話してただけなんだよね」

 

…精神が脆かったくせに、それでよくあたしを襲おうとか考えたな、あいつら。

まぁ、廃人になっているのならもう無害だろうし。

あたしが元の世界に連れて帰る義理も義務もないので、ここで朽ちてもらおう。

次元断層に巻き込まれたと、見ていたナズナ達から証言してもらえるだろうし。

ちゃんと後で報告すれば…一人くらい、証拠として持って帰った方がいいのかしら。

 

ナズナがここにいれば聞けたのにな。

 

「………」

 

蒼髪の男性があたしを見つめている。

顔立ちはシンクに似てるけど左目に一本傷跡があり、その左目は金色になっていた。

右目は青色で眼鏡をかけていて、何か考えているのだろう眉が凄い寄って眉間に皺が出来ている。

 

対して、黒髪の女性は紅色の瞳で、心配そうに蒼髪の男性を見つめていた。

 

「…ヘンリ、タイムパラドックスって言葉を知っているかい?」

 

男性はヘンリを見ながら問いかける。

だが彼女は腕を組み、男性の問いに返した。

 

「知ってるけど、これは非常事態じゃないか。シンク兄様の所に連れて行っても良いけど、多分ぼくと同じ行動すると思うよ? 一回、王であるグンジョウ兄様に相談しないとって」

 

ヘンリがそう言うと、グンジョウと呼ばれた男性は深いため息をつく。

 

「えっと…何かごめんなさい…。あの、迷惑ならそう言ってくれて良いから。その…一人ででも、帰る方法探すから…ね?」

「その場合、ぼくも一緒に行くからね母様。グンジョウ兄様、そんなに薄情だったっけ?」

 

ヘンリがあたしを抱きしめて、頬擦りしてくる。

彼女の身長からいって、頭がちょうど頬辺りにくるので、くすぐったくて仕方ないのだが。

 

「…あーもー!! バタフライエフェクトだってどうなるか分かんないのに!! わかった、分かったよ!! ちゃんと帰せるように、僕からシンクに言っとくよ!!」

 

髪を掻きむしり、グンジョウと呼ばれた男性は大声を出して机に突っ伏した。

そんな彼の様子を見て、黒髪の女性は苦笑する。

 

「アオ、落ち着いて。お義母様が驚いてるから。それに、ヘンリが羨ましいならそう言えば良いのに」

「…ユエ…僕らもうすぐ還暦なんだって…羨ましいとか…」

 

ユエ、という名前にあたしは黒髪の女性を見た。

確かに、カヅキの娘であるユエちゃんの面影がある。

という事は、シンクと同じパターンなのかしら?

 

あと、二人共還暦間近に見えない。

 

見られている事に気付いた女性は立ち上がり、ヘンリと同様にあたしを抱きしめてきた。

それでも、あたしの身長より下なんだけど。

 

「アオ、羨ましいでしょ」

「君ねぇ…」

 

なんだろう、まだ三十代に見えるのだけど…二人共。

どうなってるの、あたしとカヅキの血は。

不老の呪いでもかかってるのかしら。

 

あとアオって…どういう事?

群青だから?

なんでそんな名前つけたあたし?

片目金じゃん。

 

まぁ、詳しく知ってはダメだろうとあたしは口を噤む事にした。

 

「羨ましくないといえば、嘘にはなるけど…大の男が、しかも還暦近いジジイが、若い時の母親を抱きしめるとか…なくない?」

「アオ、シスコンに加えて軽めのマザコンじゃん。忙しくてお義母様に会いに行けないって、この間嘆いていたじゃない」

 

言うな、とグンジョウはユエちゃんに慌てて言った。

成程、とあたしは納得する。

 

「だからここに連れてきたの、ヘンリ?」

「それもある。ぼくら兄弟姉妹は、母様が大好きなんだ。時に厳しく、だけど優しく僕らを慈しんで愛してくれる母様が、僕らは大好きなんだよ。グンジョウ兄様、別に母様抱きしめたって、ユエ義姉様は浮気だなんだと叫ばないよ。目の前でやるわけだし」

 

うんうん、とユエちゃんも頷く。

また深いため息をついたグンジョウは、立ち上がってあたしの前に来ると、あたしを抱きしめてきた。

すごく優しい抱擁で、しかも背格好もナズナとほぼ同じで、あたしは彼を思い出してしまう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。