転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

226 / 276
226.シンクのお家に行きます

「母様、ちゃんと元の時代に帰すから安心して。王の権限を使ってでも、絶対に」

「…ありがとう、グンジョウ。あたしの子供達って、本当に優しいのね」

 

母様の教育の賜物だよ、とグンジョウはあたしから離れて微笑を浮かべる。

あたしもそれへ微笑みを返した。

 

「アオ、シンクに連絡しといたよ。多分すぐ来ると…」

 

ユエちゃんがそういうのと同時に、魔力の揺らぎを感知する。

部屋の隅に、グンジョウと同じ蒼髪の男性が現れた。

あたしはその姿に見覚えがあり、彼に微笑む。

 

「久しぶり、シンク」

「マジで母様じゃん。え、母様今何歳?」

 

17と答えると、若いと言葉が返ってくる。

まぁ、彼らの年齢を考えるとそう言われても仕方ないとは思うけど。

 

「貴方が来てから、こっちはまだ半年しか経っていないわよ」

「マジかー…こっちは約30年も経ってますよ、母様。うわー、ユタカ連れてくれば良かったー」

 

連れてくれば良いじゃん、とユエちゃんが言ったので、そうすると彼は言い、転移していく。

数分経って、彼はユタカちゃんを連れて戻ってきた。

 

「うわー! 若い時のナッちゃんだぁっ!! 久しぶりーっ!!」

 

ユタカちゃんはあたしに駆け寄り、抱きしめてくる。

そんな彼女を見て、ユエちゃんが呆れた声を上げた。

 

「ユタカ…あんた、テレジア夫人としてそれはどうなの?」

「元だもーん。今は前テレジア夫人だし。息子達に代は譲ってるから、私暇だし。ユエとは違って」

 

なんだとぉっ?!

とユエちゃんは激昂してユタカちゃんに掴み掛かろうとしたが、それをグンジョウが羽交い締めにする。

 

「ユエ、落ち着きなよ…。君王妃なんだよ、一応? で、シンク。何か案ないか?」

「案はあるにはあるんだけど…母様、この事態初めてです?」

 

ユタカちゃんとヘンリに抱きしめられてるあたしは、フルフルと首を横に振った。

 

「前に一回だけ。ユエちゃん、ユタカちゃんが5歳の時だったか…に、カヅキの所に行ったわ」

 

そういえば来てたっけね、なんてユタカちゃんは軽い調子で言う。

それに対して、ユエちゃんが再び呆れた目をユタカちゃんに向けた。

 

「じゃあ、同じ方法で戻せるか…多分ですけど、そのデータ作ったのルカさんですよね?」

 

うん、と頷くとシンクはマジかという顔をする。

何か問題でもあるのだろうか。

 

首を傾げるあたしに、彼は頭を掻きながら苦笑いをした。

 

「ルカさんの研究資料、何処にあったかな…って」

「…だから、普段から整理整頓しなよって言ってたのに…」

 

ユタカに言われたくないと思う、とユエちゃんがポツリと呟き、姉妹喧嘩が勃発してしまう。

息子達はお互いの伴侶を宥めるのに必死になっていた。

 

ふと、あたしは二人の様子を眺めながら思う。

 

彼らの言い方からして、ルカさんはもう亡くなっているのだろう。

あたしが知っている人達も、大体は亡くなっているはずだ。

…なら、ナズナは?

彼はまだ生きて、あたしの隣にいるの?

 

少し怖い想像をして、俯いてしまう。

そんなあたしを見たヘンリが、母様と言いながら見上げてくる。

 

「父様の事考えてる?」

「え、えぇ、まぁ…ナズナ、まだ生きてるのかしら、って…」

 

あたしの言葉を聞いた息子夫婦達が、ピタリとその動作を止めた。

それであたしは悟ってしまう。

 

「…亡くなってるの? ナズナ…死んじゃったの…?」

「いや! 違うんすよ母様! 父様、そのー…こいつの政務の手伝いしてるんですよ! そう! こいつ仕事出来なさすぎて、目に余るからって!」

 

シンクはグンジョウの肩に腕を乗せ、指を差す。

そう言われた彼は、少しムッとした。

 

「…仕事出来なくて悪かったな。これでも精一杯やってるんだけど」

「スケジュール管理出来てねぇんだから、そんなムッとするなよ」

 

こっちはこっちで兄弟喧嘩が始まりそうになり、あたしは苦笑する他ない。

そして、あたしはそこまで気を遣われるほど弱くなっているのかと、息子達の気遣いに感謝する。

 

誤魔化しが下手だこと。

それじゃあ、ナズナは亡くなってますよと言っているようなものだ。

 

…この時代のあたしは、ちゃんとナズナが死んだ事を受け入れて、生きているのかしら。

 

ヘンリの頭を撫でつつ、あたしはそう思った。

 

◆◆◆

 

とりあえず、あたしの身元引き受けはシンクがする事になり、あたしは彼についてテレジア家に転移する。

 

「ようこそ、ナッちゃん! 我が家だよー!」

「ユタカテンション高すぎ。まぁ、分からなくもないけどな」

 

シンクが苦笑しながら、扉を開けてくれた。

 

結構大きいお屋敷で、そういえばテレジアとか何とか言ってたな、とあたしは思い出す。

 

「テレジアって…確か、お義父様と張り合ってるっていう…」

「あー…まぁ。多分昔の俺が説明はしてると思うんで、俺からは何も」

 

苦笑するシンクを見たあたしは、自分の記憶を探った。

 

確か一族郎党斬首刑になったのだったかしら。

何やらかしたのかな、前テレジア卿。

 

まぁ、それも未来で起こる事だからあまり聞くのもな、と思ってしまう。




裏話
相方の小説の方で
75歳のなっちゃんは
ナズナが死んだ事を忘却し
長期出張に行っていると
思い込んで生活していますが
このなっちゃんが帰った直後思い出して
一回魔力暴走を起こし
強大な魔力も相まって
ケーネからまた
忘却させられていると思います
ナズナもなっちゃんも
お互いの事を深く愛し合っていたからこそ
なっちゃんはナズナが死んだ事に
耐えられなかったのでしょうね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。