転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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229.70代のカヅキに会いました

「…とりあえず…貴女とは一回、ナズナと一緒にお邪魔した…事はある。あと、あたしがいた季節は、高等部三年生のシルフ1の月…学校卒業したら、ナズナと結婚する予定…」

 

その場にいた全員が、マジかという顔をした。

カヅキの背後にいた黒髪紫目の男性はあたしを見ていたが、その顔をシンクに向ける。

 

「これ、帰さないと歴史変わるんじゃね?」

「なら協力しろよケーネ」

 

俺医者なんですけど、とケーネと呼ばれた男性はシンクに文句を言う。

 

お医者さんなんだ。

全くそう見えないけれど。

なんかここに来て、いっぱい人に会っている気がするわね…。

 

「大丈夫なのかしら…歴史改変とかに、ならないのかしら…」

「安心しろ、ナツキ。この時代のお前になるまで記憶封鎖してやる。だから存分に孫やら子供達と会ってくるがいい。あと、お前をどうやって帰したものか…。オーシアのベルケンド領の屋敷に、あの装置がまだあれば…いや…ナツキ。雛桔梗は持ってきてるな?」

 

カヅキの問いかけに、あたしは頷く。

足のアンクレットを外し、彼女に差し出した。

カヅキはそれを受け取り、ケーネ先生に渡す。

 

「問診ついでに、ヒナと同期するようナツキに頼んでおけケーネ」

「はいはい。んじゃ、シャルさんちょっと失礼しますよ」

 

ケーネ先生はあたしの目の前に来て、診察を始めた。

軽めの検査? をして問題ない事を確認し、カヅキに向き直る。

 

「じゃあ、いってきますカヅキさん。帰りはユタカかシャナに連れてってもらってくださいね」

「あぁ」

 

雛桔梗を連れて、ケーネ先生は転移していく。

まぁ、カヅキが任せたのだから信用は出来る人なのだろうけど。

雛桔梗がいなくなって、少し心細い。

 

「シャナ、お前ナツキから着物類預かってるだろ。お前の事だから収納空間に入れっぱに決まってる。出せ」

「…おばさんよく分かったね」

 

何十年お前と付き合いがあると思ってる、とカヅキは言い、シャナが収納空間から出した着物に、あたしは驚く。

 

「これ、吾妻の…」

「シャナの結婚祝いで、譲ったそうだ。お前何着も買ったろ? 全て子供達の手に渡ってるぞ」

 

ぼくはまだ貰っていない、とヘンリが少しムッとしていた。

 

十着くらいは買ったはずだから…え、ヘンリ貰ってないって…あたし子供何人産んだんだろう…。

 

これからの事に少し末恐ろしくなる。

 

「お前はいずれ貰えるはずだろうに。大体、婚姻してないのはお前だけじゃないか」

「…ぼくと吊り合う人がいないんだから、しょうがないじゃん。ぼくは悠久の時を生きるからね。人間以外じゃないと無理だよ、おばさん」

 

はぁ、とヘンリはため息をついた。

人間以外って…まぁ、ベルゼビュートだからなのだろうけど。

 

「ほらほら、シンク。出て出て。ナッちゃん着替えするから」

「言われずとも出るよ。母様、後で兄弟姉妹と孫巡りしますんでそのつもりで。カヅキおばさんが許可したんで、大丈夫って事でしょうし」

 

ユタカちゃんに背を押され、シンクが部屋を出ていく。

出る際そう言われ、あたしは苦笑いしながら彼に手を振った。

 

「じゃあ、ユタカ。私が言う手順でナツキを着付けろ。シャナとヘンリはそこで見てろ、邪魔をするな」

 

邪魔って何、と膨れっ面になるシャナに抱きつきながら、ヘンリはうん、と頷く。

 

ユタカちゃんの手際は見事なもので、流石カヅキの娘であると感心した。

あとその着付けの技術何処から、と思ったが、多分ターニャが生前カヅキに仕込んでいたのだろう。

本当何でも出来るな、長谷川もといターニャ。

 

桜柄の着物に、髪も編み込んでもらい、姿見で確認したが完璧すぎてあたしはカヅキへ苦笑する。

 

「貴女本当に、先生が天性だったのではなくて? 人に教えるのが上手だこと」

「さぁな。生前にそれを知れたとて、私はお前の元から離れるつもりなどなかったぞ。師匠もそうだろうしな。私の唯一の主君だ、お前は」

 

なんと嬉しい事を言ってくれるのだろうか。

これも、この時代のあたしの年齢になるまで思い出せないのは、少々惜しいが。

 

「ありがとう、カヅキ。やっぱり貴女が大好きよ、ナズナの次くらいに」

「浮気者め。あいつが聞いたら嫉妬に狂うぞ」

 

クックッと笑い、彼女はニヒルに笑う。

黙っててね、と彼女に笑いながら言った。

 

娘達は、あたし達の様子に胸を撫で下ろしているようだ。

やっと母様笑ってくれた、とヘンリは言う。

 

さっきもちゃんと笑っていたはずなんだけど…笑顔に見えていなかったかしら。

 

あたしは姿見で自分の頬を指で持ち上げてみる。

シャナがあたしの肩に手を置き、フルフルと首を横に振った。

多分違う、と言いたいのだろう。

 

「さて、私は帰る。シャナ、送っていけ」

「おっけー。じゃあ、ユタカちゃん、ヘンリ。母様の事よろしく」

 

シャナはカヅキの車椅子に触り、彼女と共に転移していった。

 

◆◆◆

 

部屋から出ると、シンクが少し目を丸くしている。

何か変な格好かしら、とあたしは首を傾げた。

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