転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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230.転位門の説明です

「…いやぁ…あの、なんて言いますか…」

「シンク、見惚れちゃってたんでしょ? ナッちゃんが着物を着てる姿、今まで見た事なかったもんね」

 

ユタカちゃんがそう言い、あたしは更に首を傾げる羽目になる。

 

ここのあたし、なんで着物着なかっ……あー…ターニャがいなかったからか。

あたしがいた時代でテスタロッサ夫人になっているのだし、そんな彼女に着物が着たいだけで我儘言うのもな、なんて思ったのだろう。

カヅキがいたとしても、それは変わらないだろう。

 

うん、わかる。

だったら着なくていいし、娘達にあげるのもわかる気がする。

 

吾妻で買ったのも、物珍しかったからだし。

 

多分、ここに来てからも忙しなく働いてくれていたのではないだろうか、カヅキは。

彼女が車椅子に乗っていたのがその証拠とも言える。

 

無理をさせてしまったのだろうか…カヅキが記憶封鎖をすると言っていたので、覚えていられないのが大変申し訳ないと思ってしまった。

 

「んじゃ、下から行きますか。結構歩くんで、足痛くなったら言ってくださいよ」

「そこまで柔じゃないわよ。泣いたのとカヅキに会ってスッキリしたから。んー…ユタカちゃんエスコートしてもらっても? 流石にシンクと腕組んだあたしなんて、見たくないでしょ?」

 

大丈夫、とユタカちゃんはニコリと笑い、あたしにそう言ってくる。

え、自分の夫が若い女と腕組んで歩いてるって嫌じゃない?

若い女って言っても、彼の母親だけど。

ユタカちゃん度量広過ぎない?

 

「ユタカは、ちゃんとそこら辺の線引き出来てる女性なんで。それくらいで嫉妬したりしませんよ。本当、俺には勿体無いくらいで…捨てられたら俺死ねるし…」

「捨てるなんてしないってば。もう…ちょっとの事で泣きそうになるのやめてよ」

 

ここら辺、ナズナの遺伝だな…。

 

少し肩を落としたシンクに、ユタカちゃんは苦笑しながら彼の背を軽く叩いていた。

 

「ならぼくが母様をエスコートする。それなら解決するでしょ?」

「それもそうね。お願いするわ、ヘンリ」

 

任せて、とヘンリはニコニコと笑い、あたしに腕を差し出してくる。

あたしはそれへ手を添え、彼女に笑いかけた。

 

「んじゃ、転位門があるんでそっから行きますよ」

 

シンクに案内されたのは小さな個室にあるピンク色の扉の前で、扉にしては中々奇抜なデザインというか、色だなと思ってしまう。

あたしが知っている転位門は中央に魔法陣があり、横の台座にある石に魔力を流してその場所に行くというものだ。

石の方に場所の座標が刻まれているから、それを変えれば別の場所に行けるのだが…。

 

「石、無いのだけど…どうやって転位するのかしら…?」

「これ、カヅキおばさんが開発したやつでして。俺ら王族しか使えないんですよ。しかも、俺らの魔力波と言いますか。個別に鍵がありましてね。各兄弟が持ってるこの鍵使わないと、転位門が起動しないし各家に行けない仕組みなんです。紛失しても手元に戻って来る術式は組んであるわ、俺ら以外がこれ使って転位門を使おうとしようもんなら、次元の狭間に叩き落とされる仕組みだわで…いやぁ、カヅキおばさんの一番弟子ではありますが、これの仕組み全く理解出来ませんわ」

 

そう言い、シンクは扉に鍵を差して回す。

ゆっくり扉を開けると、そこも室内のようでシンクの先導であたし達は扉の内に入った。

 

「邪魔するぞ、ラゼル」

「おー、シンク兄さん。珍しいな、ここ来るなん…て…」

 

そこはリビングのようで、ソファーに座りながらコーヒーを飲もうとしていた蒼髪の男性が、あたし達…特にあたしを見て、驚いた顔をしている。

 

「兄さん、その人…」

「おーおー。グンジョウと同じ反応しやがって。流石兄弟だな、ラゼル」

 

ケラケラ笑うシンクだったが、グンジョウの兄弟というなら貴方もでしょうに。

呆れた目でシンクを見ていると、隣にいたヘンリが自慢げにあたしへ頬擦りしながらラゼルと呼ばれた男性に言う。

 

「若い時の母様。羨ましいでしょ、ラゼッタ兄様」

「いや、羨ましいとかそういうんじゃなくて、なんでそんな事態になってんだ?! え?! カヅキおばさん良いって言ったの?! ちょ…リオ!! リオーっ?!」

 

キッチンスペース辺りへ向けて、彼は誰かを呼ぶ。

はいはい、と言いながら女性が出てきた。

 

「何ですか、ラゼル。そんなに大声を出さなくても聞こえています…あら。こんにちは、シンクお義兄様。そちらは…あぁ、だから大声を出したんですねラゼル。もう…お義母様が驚いちゃうじゃないですか。駄目ですよ、ラゼル。大体貴方はですね…」

 

目の前で懇々とお説教を受けている蒼髪の男性があたしの息子なのだろうが、彼女はどちら様なのだろうか?

 

「母様。ほぼ、ぼくら兄弟姉妹はカヅキおばさんの子供と結婚してるよ。例外なのはシャナ姉様とリーゼ姉様だけ」

「え…あぁ、そうなの?」

 

なら、目の前の女性はカヅキの娘という事なのかしら。

 

だけどそれ、大丈夫なの?

あたしの子供とカヅキの子供が婚姻しまくっているって。

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