転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

236 / 276
236.未来のあたしに起こった出来事です

シャナの方を見ると、てへ、と年相応に見えない顔で笑っていた。

笑い事ではないと思うのだけれど…。

 

少しの歓談の後、あたし達はシャナ達のお家を辞したのだった。

 

◆◆◆

 

「明日はサンテブルク教会に行きましょうか、母様」

 

シンクのお家に帰ってきて早々、彼はそう言う。

別に構わないけど、一体どうしたというのか。

 

何故と首を傾げるあたしに、シンクは苦笑いした。

 

「俺、星読みの能力あるんですよ。まぁ、母様の劣化版ではありますが。ヘンリ、明日10時に教会集合な」

「えー…待ち合わせするの? ぼくこのまま母様とお泊まりしたかったんだけどなぁ」

 

お前を賄えるほどの食料はうちにはない、とシンクは断言する。

まぁベルゼビュートの転生体だから、ヘンリ自体大食いなんだろう。

 

それについてヘンリは反論出来ず、少しムッとした後あたしに抱きついてきた。

 

「じゃあ、また明日母様。多分明後日には帰れるだろうって、最高神が言ってるよ」

「…明日ぶん殴ってやるって伝えておいて」

 

了解、と言いつつヘンリはあたしから離れる。

最高神で思い出した事があったのだ。

 

あれはシンク達が来た時の事。

なんとはなしに、未来に行ってみたい、とあたしは言ったのだ。

言ってしまったのだ。

 

多分それが、今回の出来事に繋がっている気がする。

 

やっぱり最高神に聞かれてたんじゃない…!!

迂闊だった…っ!!

ナズナ、寂しがっていないかしら…。

 

というか、戻れるのってどのくらいの時期になるの?

もしかして、あたし留年の危機ない?

三学年の二月って自由登校だったかしら?

 

それも明日問い詰めなければならない、と思いつつ、ヘンリをその場で見送ったあたしは、宛てがわれた部屋に案内される。

 

「雛桔梗。こっちの雛桔梗に渡されたデータの中で、あたしが狂ったものはある?」

 

夕飯の時間までベッドに横たわりつつ、あたしは彼女に尋ねた。

あります、と返答は返ってきたが、その映像は見せられる事はなく。

見せて、とお願いしたが、無理ですと言われてしまった。

 

その映像はあたしにとってショッキングな物なのだろう。

雛桔梗がここまで拒否を示すとは珍しい。

 

「雛桔梗、見せて」

 

それでも、あたしは見なければならないと思った。

彼女があたしの身を案じているのはわかっていたが。

 

【音声だけでしたら…】

 

渋々と言った感じで雛桔梗は部分展開し、あたしの手にイヤホンを渡してくる。

それを両耳につけると、しばらくして音声が流れ始めた。

 

静寂からの爆発音。

そして、嘆き悲しむ『あたし(シャルロット)』の声。

 

『ナズナ…っ! ナズナぁ…っ!! なんで…?! どうしてあたしを置いて逝くの…っ?! 

どうして…どうして…っ?!

なんでよ、ナズナぁっ!! 置いて逝かないで…連れて逝ってよ…っ!! 貴方と離れるなんて、あたしには耐えられない…っ!! ナズナ…っ!!』

 

シャルさん、とケーネ先生の声が聞こえたが、

あたし(シャルロット)』にはそれが聞こえていないようで、ナズナを求める声が続く。

音声はそこで途切れ、次に再生されたのは会った時の『あたし(シャルロット)』みたいだった。

 

『ねぇ、ヒナ。ナズナは何処に行ったのかしら? 姿が見えないの』

『ナズナ様は長期出張に行ってらっしゃいますよ、我が主』

 

女の子の声が聞こえる。

ヒナ、と呼ばれあたしを我が主と呼んでいる事から、雛桔梗は将来何かしらで体を手に入れるのかもしれない。

 

『そう。いつ帰ってくるのかしら?』

『伝言を受け取ったケーネ様によると、出張先で結構面倒事が多いらしく、帰ってくるのは当分先になる、と。我が主には大変申し訳ないと仰っていたそうですよ』

 

先程の爆発音は、多分『あたし(シャルロット)』が魔力暴走を起こした音だろう。

それをケーネ先生含め、周りが何かしらの方法でナズナが死んだ事を、『あたし(シャルロット)』に忘却させたのかもしれない。

 

あたしはイヤホンを耳から外し、ため息をついた。

 

「あたしは、歳を経る毎に弱くなっていったのね。体だけではなく、心も。あぁ…本当に無様だわ、シャルロット。それでよく王妃が務まったものね…」

 

自分で自分を嘲る。

これを忘れるなんて、自戒にもならないじゃないか。

更にため息をついていると、テレジアのメイドさんが夕飯だと呼びに来た。

 

食堂に行き、シンク達と他愛ない話をする。

それでも、あたしの頭の片隅には『あたし(シャルロット)』の悲痛な叫びがこびりついていた。

 

◆◆◆

 

次の日。

サンテブルク教会前に、ユタカちゃんと一緒に降りた。

カヅキが来た事で技術革新が起きているようで、あたしの時代とはまるっきり様変わりしている。

空には航空艦が飛び、地上は車やらが走り、リューネの王都の外観を残しつつビルなどが立ちまくっていた。

 

「…一体何年後にこんなのになるのかしら」

「うーん…私が12歳の時に世界がくっついたから…ナッちゃんが30過ぎくらいだと思うよ?」

 

待ってユタカちゃん。

世界がくっつく?

カヅキが家族連れてこっちに移住してきただけじゃないの?

え?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。