転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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237.隠り世に行きました

唖然として、あたしはユタカちゃんを見てしまった。

 

まぁ、記憶封鎖されるから明け透けに話してくれるんだろうけど、結構衝撃的よそれ?

そしてさっき聞いた話から逆算したら、あたし18でグンジョウ達産んでる事になるんだけど…え?

来年にはあたし、子供産んでるんですか?

マジで?

 

「母様ー」

 

教会の前で、ヘンリが手を振っている。

あたしも彼女に手を振り返し、合流した。

 

「シンク兄様は?」

 

シンクの姿が見当たらず、ヘンリはユタカちゃんに尋ねる。

彼女は苦笑いしながら、返答した。

 

「シンクはね…ちょっとグンちゃんから仕事投げつけられて…」

「また? ヤサグレてなかった?」

 

ユタカちゃんは何も言わず、苦笑いを続ける。

 

そう。

朝食を頂いている時に、シンクの携帯にグンジョウから電話が来て…片方の話しか聞こえてはいなかったけれど、グンジョウがシンクに何か無茶振りをした事だけは分かった。

 

シンクの怒鳴り声が凄かったもの。

食堂の外に出て行ったのにも関わらず。

 

その後、一緒に行けなくなったからとユタカちゃんに彼はあたしをお願いしていたのだ。

 

あと、ユタカちゃんがグンジョウをグンちゃんと言うのは、ユエちゃんと同じ名前由来だろうか。

こっちは分かりやすくて良いけど。

 

「まぁ、いつもの事だからいいか。母様こっち」

 

ヘンリはあたしの手を取り、教会の中に(いざな)う。

教会は一回来た事はあったが中は全く変わり映えしていなくて、五十年経ったとて変わらない所もあるのだなと思った。

 

「母様、嫌だとは思うけどここで祈ってもらえる?」

「…ヘンリ、あたし貴女にそれも言っていたのかしら?」

 

あたしが、ヴェスタや最高神を嫌っている事を。

ベルゼビュートの時の彼女に零した記憶はないので、もしかしたら未来のあたしが彼女に言ったかもしれないが。

 

「態度見てればわかるよ。まぁ、未来の母様も最高神の名前聞くと眉寄ってたし」

 

表情取り繕え未来のあたし…!!

 

あぁ、ダメだ。

転生してから甘ったれになってきている気がする。

ターニャに、もう一度鍛え直してもらわねばならないかもしれない。

 

「って、記憶封鎖されるんだぁ…」

 

記憶無くなるって不便…っ!!

記憶喪失になってたくせに忘れるな、あたし…っ!!

 

顔を覆ってしまったあたしの肩に、ヘンリは手を置く。

彼女を見ると、仕方ないよと表情が物語っていた。

 

「カヅキおばさんが決めた事だからね。まぁ、頑張ってとしかぼくには言えないんだけど。母様、祈って祈って」

 

あたしはヘンリに言われるがまま、ヴェスタの御神体の前に膝をつき祈りを捧げる。

あの時感じたような、意識が遠退く感じがしてあたしは目を開けた。

 

真っ白な空間…ではなく、何処かの図書館みたいな風貌に変わっている場所に、ヴェスタがいる。

あたしは姿を視認した瞬間、奴に飛び蹴りをかました。

 

「痛いよ、ナツキちゃん」

 

頭にクリーンヒットしたのに、全くダメージを受けずヴェスタはにこやかに笑っている。

 

「喧しいわ!! なんでうちの子供達、年相応に見えなくなってるのよ?! いや、カヅキのとこもだけど!! あんたなんかやらかしたんでしょ?!」

「何もしてないし、それ君達の遺伝なだけでしょ?」

 

のほほんとあたしにそう言ってくるヴェスタ。

 

通常なら年相応に見えるだろうに、そうならないのは絶対お前らが何かしたに決まってるじゃないの。

本当に神って奴は…っ!!

 

「流石です、お嬢様。見事なドロップキックです。あれにダメージが与えられないのは口惜しい所ではありますが」

 

あたしに賞賛と拍手をしながら、ターニャが物陰から現れた。

ここにいるという事は、本当に彼女は亡くなっているのだろう。

もしかしたら生きているかも、と思っていたのだが。

 

「タ、ターニャぁ…!!」

「事情は、この阿呆を通じて見ていましたとも。あぁ、お労しやお嬢様…神共の玩具にされ…この責任はちゃんと取って頂きますよ、ヴェスタ」

 

抱きついたあたしの頭を撫で、ターニャは若干低い声になりながら、ヴェスタを脅す。

そう言えば彼女と再会した時も、ヴェスタがあたしに何かやらかしたから殴った、とか何とか言っていた気がする。

 

「ターニャ、喧しいのだが…一体どうし」

 

懐かしい、と言っても、彼と離れてまだ一日しか経っていないのだが、あたしにとっては懐かしく感じる声が聞こえ、そちらの方を見た。

 

「…シャル?」

「…うん」

 

頭ではわかっている。

彼は、未来のナズナだ。

あたし(シャルロット)』の最愛の人だ。

そして、『あたし(シャルロット)』が会いたがっている人だ。

あたしの隣にいた彼ではない。

 

実際、彼よりもっと年上の顔立ちをしている。

歳を取ったら、こんなにも格好良くなるのかナズナは。

 

「ターニャ、これは一体どういう事だ。何故シャルがここにいる? まさか亡くなったのか?」

「このお嬢様は17歳の時のお嬢様です。耄碌しましたか、ナズナ。貴方、シルフ1の月に私に連絡を取ってきたでしょう。お嬢様が次元の亀裂に飲み込まれて帰って来ない、カヅキの所に連絡出来ないか、と」

 

あたしがいなくなった後、ナズナも手を尽くそうとしてくれていたと知って驚く。

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