転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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238.やっぱり最高神は嫌いです

まぁ、婚姻間近なのに婚約者が帰って来ないと焦るか。

もしかしたら、マリッジブルーになってしまったかもと、不安だったのかもしれない。

そんな事ないのに。

 

「……あの時のか…」

 

ナズナは少し肩を落とした後、あたしに笑いかけた。

それに対して、あたしもぎこちなく笑う。

 

ターニャが抱きしめてくれていなかったら、あたしは彼に抱きついて泣いてしまっていた事だろう。

帰りたいと言いながら。

 

「お嬢様。ちゃんとお帰りになられたので心配なさらないでください。まぁ、この方の慌てようは見るに耐えませんでしたが。カヅキの所にいないと知るや否や、スェッド国の宝剣を出して来てお嬢様の所へ行く、と言って聞かなかったのですから。そんな次元を斬る能力はない、とお二方は仰っていたようですが。カヅキも異世界からこちらに来て、この方を抑えながら呆れていましたとも」

 

それは…カヅキにも苦労をかけたというか何というか…。

 

そこまでナズナが慌ててくれていて嬉しいという気持ちと、少し落ち着いて物事を判断してほしいという気持ちが半々で、あたしは複雑な表情を浮かべていた事だろう。

ナズナが更に肩を落として、顔を俯かせた。

 

「仕方ないだろう…婚姻間近なのに、やっとシャルと結婚出来ると思っていた矢先にあれだぞ? 慌てもするし焦りもするに決まっている。これでシャルが帰って来なかったら、という不安もあった」

「だから、カヅキが来て解析していたのではないですか。あぁ、お嬢様。申し上げますが…この方、カヅキが解析したこちら側の次元に躊躇なく飛び込んだので、多分もうそろそろこちら側に現れるかと」

 

…何ですって?

ナズナがこちら側に来る?

五十年後の未来に?

それ、『あたし(シャルロット)』が知ったら大変なのでは?

 

「お祖母様、忠告遅いよ。あと最高神、あまり悪戯するのは流石にどうかと思う。若い時の父様、母様の事になると暴走するじゃん。ユタカ義姉様が今抑えてくれてるけど、こっちにまで押し入りそうだよ?」

「その方が物語的には面白いでしょ? あたしは、面白ければ人なんてどうでも良いんだよ。人間って奴は醜悪だからね。善悪の判断なんて、その場の気持ち次第でどうとでも転ぶ。善人ばかりなんて面白くはない、悪人ばかりなんて物語が破綻する。良いじゃないか、若人よ。(オツム)が足りない頭で、感情が赴くままに行動すれば。それが、君達なんだからさ」

 

ヘンリが呆れた目で見た方向、今まで誰もいなかった場所に最高神がいた。

黒い服を着た彼女は、魔女かと思われるような甲高い笑い声を上げる。

 

本当に薄気味悪いったら。

最高神ではなく、邪神と名乗った方がいいんじゃないの、こいつ。

 

「邪神、邪神か…まぁ、それでも良いかもね? あたしが作る子達はみんな変だと言われているから。あたし自身が邪神だからこそ、この世界は変で面白いって事だろう? まぁ、あたしが面白ければなんでも良いんだよ、なっちゃん。人からどう評価されようが、あたしの世界はあたしのものだ。そこで生きる君達もあたしのものだ。まぁ、こう言ってしまっては男神に怒られてしまうけれどね」

 

最高神は肩を竦め、ニヤリと笑う。

怒られてしまえ、とあたしは思った。

 

「お祖母様、母様離して。父様が慌ててるから」

「すまんなヘンリ。若い時の俺をよろしく頼む。あとシャル、これから苦労をかけるが…それは、大変申し訳ないというか…」

 

少し眉を下げて言う彼に、あたしは笑いかける。

 

「分かってる。あたしも多分、貴方に凄い迷惑をかけまくっていたのよね? なら、夫婦だもの。気にしないで。ただ、一つ聞いていいかしら…やっぱり結婚記念日忘れたの?」

「………すまない」

 

謝ったという事は、やっぱりそういう事なのだろう。

忘れてしまうとしても、これだけは逃れられないのかとあたしもナズナ同様肩を落とした。

 

「母様、ごめんね。もっとここにいさせてあげたいんだけど…」

「大丈夫よ、ヘンリ。とりあえず、最高神。お前だけは何があろうと許さないから」

 

クスクス笑いながらあたしを見る最高神…もとい、邪神はあたしに手を振りながら言う。

 

「君だけのつもりだったのに、ナズナも登場させてあげたんだから感謝してほしいくらいだね。本当に君のメンタルどうなってるのかな? 情緒ジェットコースターなの?」

「知るかばーか!!」

 

カヅキに習った、中指を立てながら相手を罵る行動をあたしは取る。

お嬢様!! とターニャから怒られたが、若い時分なので許して欲しい。

ナズナに至っては、やっぱりシャルは最高だと爆笑していたが。

 

意識が遠のき、次に目を開けたらナズナの顔がドアップであって、あたしは固まる。

まだあの場所にいるのだろうか、と錯覚してしまった。

 

「シャル! シャル!!」

「父様。そんなに揺さぶらなくても母様の意識がはっきりしたら、ちゃんと喋るって。あ、母様。気が付いた?」

 

ナズナの横にいたであろうヘンリが、あたしに声をかけてくる。

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