転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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24.倒れちゃいました

「隊支給の服ですけど…」

 

結構ラフで気に入っている。

伸縮性も抜群で、冬暖かく夏涼しいという魔生物の毛を使った代物だ。

色もシンプルな藍色で、普段着と戦闘訓練用で数着持っている。

 

「ノンノンノン! あんなだっさいの着てちゃ、シャルロットちゃんの魅力なんて半減、いいえ! マイナスに極振りよ! こんなに素材が良いのに、殿下は何をやっているのかしら! 貴女達、殿下にうんと請求してやるから、シャルロットちゃんに似合う可愛いお洋服、格好いいお洋服、何着でも見繕ってちょうだい!!」

「「「あいさー」」」

「いや、それくらい自分で支払いますし! というかあたしの意見も聞いてもらえませんかね?!」

 

言った所であたしの意見なんて全て却下され、着せ替え人形よろしく夕方まで付き合わされたのだった。

 

◆◆◆

 

「……………」

 

ナズナがいるであろう部屋に辿り着くなり、あたしはその場に座り込んでしまう。

両手には抱え切れないほどの紙袋を携えながら。

 

「シャル、遅かったね…って、何があったのそれ」

 

ユキヤ君と一緒に待っててくれたカナリアが、あたしの惨状を見て驚く。

 

「……………」

 

答える気力もなくて、あたしは項垂れたまま頭をゆっくり横に振った。

 

「ナイジェルの着せ替え人形になったな、シャル。ご苦労だった」

 

ナズナの言葉に、あたしは頭を縦に振った。

てか知ってたなら、忠告くらいして欲しかったのだが。

 

「めっちゃ疲労困憊してるね、シャル。何か不用意なこと言ったんじゃないの?」

「そう言えば、シャルロットの私服って隊服ばかりだった気がしますね」

 

紅茶を飲みながら、ユキヤ君が思い出したように呟く。

カナリアも、そういえば、と納得がいったようだった。

 

「それ言っちゃったんでしょ、シャル」

 

コクリ、とあたしは頷く。

それにカナリアは苦笑したようだった。

 

「これは使えないな。シャル、もう休め。掃除はカナリアがしたから、後で感謝しておけ」

「いえいえ。あんまり汚れてなかったんで、殿下の使い方が良かっただけだと思いますよ」

 

休めと言われても、ナズナが休まないのならば仕事をしなければならない。

しかし、体が思うように動かないのも事実。

さて、どうしようかと思案していると体がふわりと浮いた。

 

見ると、ナズナがあたしを横抱きで抱えていた。

所謂、お姫様抱っこというやつで。

 

「……? ……!!」

「シャル役得だねー。おやすみー」

 

カナリアがニコニコと手を振りながら言う。

あたしはそれへ頭を横に振ることで返事する。

あたしが休んだら、ナズナの身の安全はどうなるんだってば。

 

「心配なら、使い魔なりを置いておけ。それに、お前に負けず劣らずだが俺の実力はわかっているだろう。安心して休め」

「…ごめん。雛桔梗、レヴィ、あとお願い」

 

ナズナの言葉に、あたしは少し安堵した。

してはいけなかったのだろうけど。

 

【了承致しました。お休みなさいませ、我が主】

『…仕方なし』

 

二人の返事が聞こえあたしは意識を手放し、気付いたら朝だったのは流石に驚いた。

 

え、そんな事ある?

 

「起きたか、我が主」

 

青髪赤目が特徴的な美女、レヴィがあたしの顔を覗き込んで聞いてくる。

 

「ごめん、寝過ごした。今何時?」

「朝の刻六と言ったところか」

 

ならば今は、朝の6時なのだろう。

 

「ナズナは?」

彼奴(あやつ)なら、主を寝室へ送り届けた後弟と食事をして寝に戻ったぞ」

 

それならば、昨日は何事もなかったという事か。

あたしは少し安堵する。

 

「ちなみに、あの女子(おなご)。朝飯の用意までして行きおったぞ。主が作れる状態ではなかろうとな」

 

カナリア…ありがとう!!

気遣いがすごい嬉しい…!

 

あたしはそろりと、部屋の扉を開けた。

昨日は疲労困憊で部屋の内装を見る余裕もなかったが、結構な広さの2LDKっぽい。

玄関の横に扉が二つあって、多分どちらかがお風呂かトイレなのだろう。

そのまま進めば右側にキッチンがあり、リビングが見渡せるような作りになっている。

リビングにはダイニングテーブルが一つ。

椅子は二つ備え付けられている。

あたしの部屋の反対側に扉がある事から、あそこがナズナの寝室なのだろう。

 

「よし、汚名返上と行こうじゃないの」

 

あたしはキッチンに向かおうとして、自分の格好を見る。

可愛いネグリジェ姿だ。

オフショルダーのところを除けばだが。

 

「これ、誰が着せたの?」

「あの女子だが」

 

カナリアならまだセーフ。

レヴィがこれをあたしに着せられるとは思わないし、ナズナなんて以ての外だ。

お付き合いしてる男性なわけでもない、むしろ上司に着替えをさせたとならば、あたしは自死を選んだ事だろう。

 

「確かに、首周りがきついのは嫌だって言ったけどもさぁ…」

 

だからって、肩が開いてるのは如何なものか。

持たせられた紙袋の中からストールを発見し、羽織る。

今度こそと扉を開けたら、ちょうどナズナも起きてきたようで、バッタリ会ってしまった。

 

「…おはよう」

「おはよう、昨日はごめんなさい」

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