「そうだよ、シャナ姉様」
「ヘンリ…グンジョウにはちゃんと連絡取った? 一応王様だからね、限られた時間しか会えないと思うんだけど」
シャナがちゃんとお姉ちゃんをやっていて、あたしは驚く。
最初にここにきた時は、旦那さんであるツルギ君もいたから、テンションが少しおかしかったのかもしれないが。
ちなみに、今日ツルギ君はいない。
彼はリューネの騎士団で、騎士団長をしているらしい。
世代交代もしているだろうから、ダーカン第一騎士団長は引退している事だろう。
もしかしたら、亡くなっているかもしれなかったが。
「俺の髪色と瞳を受け継いだのか。初めまして、シャナ」
「なんか、父様から初めましてって言われるの、違和感あるなぁ…。あたしはシャナだよ、父様。父様と母様の第一子。年齢は56になります」
歳を聞いたナズナが、あたしを持つ体勢を変えた。
肩に担ぐのから、お姫様抱っこへ。
一体なんだと彼を見たら、少し眉が寄っていた。
「どうしたの、あなた」
「シャル、ここでのお前の歳いくつだ?」
何を考えているのか分かったあたしは、ヘンリにその質問を投げる。
「ヘンリ、教えてあげて」
「こっちの母様は74歳だよ、父様」
それを聞き、ナズナはあたしを抱きしめてきた。
あたしの年齢とを鑑みて、あたしが考えついた事に彼も思い至ったようだ。
「? どうしたの?」
「姉様、今の母様17なの。多分、姉様達産むまで後一年だって分かったからじゃない?」
そう。
あたしは、シャナやグンジョウを18で産む事になるみたいなので、それに気付いたナズナが感激している、という事なのだ。
「ナズナ、苦しいわ」
「すまん。だが、こればかりは許して欲しい。シャナに会えるのが、後もう少しだと思ったらな」
抱きしめる力が強すぎて抗議したが、ナズナはあたしとの子供が出来るのも、産まれるのも、とても楽しみになったらしい。
だからって、自分の筋力を考えて頂きたいものなのだけど。
「母様って、シルフ1の月から来たんだよね? 何日?」
「え? えーっと…8日だったかしら」
それを聞いて、シャナは笑い出した。
ヘンリも、凄い偶然って言っているし。
一体何だとシャナを見つめていると、彼女は笑った時涙が出たのかそれを拭いつつ告げた。
「あたしと、もう一人双子の弟…グンジョウが産まれたのが、シルフ1の月8日なの。本当に偶然だよね」
逆算したら、5月辺りに出来るって事ね…。
結婚してすぐじゃないの、そうしたら。
あたしは恥ずかしくなって顔を覆う。
確かに凄い偶然だな、なんてナズナは言うけれど。
分かってて言ってるのかしら、この人。
「ん? 双子? シャナ、お前1人で産まれるのではないのか?」
「あれ? 言ってなかったっけ? 今は三つ子って事になってるけど、あたしとグンジョウ双子なんだよ父様」
シャナが首を傾げるが、別に彼女達が双子だろうが三つ子だろうが、そこに問題は置いていないナズナが驚いてあたしを見る。
「初産で双子だ?!」
かなり大きな声でナズナは叫ぶ。
グンジョウの名前は聞いていたが、まさか双子だとは思っていなかった感じだな、この表情から察するに。
アワアワし始めた彼に、シャナは苦笑いをした。
「うん、分かるよ父様。今は医療技術とか色々発展してるから、お腹の子が双子かそうじゃないかなんてすぐわかるけど、父様達の時代そんなものなかったもんね。初産で双子って結構怖いよね。あたしもそうだったけど、ツルギ君があたし以上に慌ててさぁ」
その口ぶりからするに、シャナも初産は双子だったらしい。
「シャ、シャルは、大丈夫だったのか…? いや、今生きているのだから、大丈夫だったのだろうが…シャル…っ!!」
「あの、あんまり慌てないでもらえないかしら。産むの貴方じゃないのよ?」
何でお前そんなに冷静なんだ、と言われてしまったが、産まれるならそれを受け入れるだけだし。
それに、子供達に会えるのなら頑張るしかないじゃないか。
「というか、シャル…双子だって知ってたのか?」
「まぁ…ヘンリから説明はされてたし」
あれは、アンナの所にお邪魔した時だったっけ。
上三人同時、とヘンリは言っていた。
シンクは別次元から来たと言っていたので、シャナとグンジョウが双子なんだろうな、とは察しがついていたのだ。
「三つ子じゃなかったっけ、シャナ姉様」
「あとで説明してあげるから」
疑問を覚えたヘンリに、シャナが彼女の肩を置いて首を横に振る。
時間がなかったので、あたし達はシャナの家から辞した。
◆◆◆
シャナの家から辞して、次に向かったのはグンジョウの所だ。
あと、流石に城の中だから降ろしてもらう。
初めて来た時と同様、執務室に来て開けてもらおうと思ったのだが、今回執務室の門番をしているのは、結構堅物の人達みたいだった。
「何か御用でしょうか、ヘンリエッタ様」
「陛下は執務中です。御用なら私共が聞きます」
二人を見た瞬間、ヘンリは困った顔をする。
一体どうしたのかと、彼女に尋ねる事にした。
お、終わらないでござる…
話が終わらないでござる…
ナズナが子供巡りしたいって
言ったからだが…