転生お嬢様、2度目の人生も頑張ります!   作:桜舞

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244.アンナは甘えたかったようです

「ほら、娘が甘えて来ているわよあなた」

 

ナズナもそちらを見て、ふっと笑う。

あたしと同じく、ヘンリの頭を撫でた。

 

「ん。落ち着いて、父様。ぼくはまだ誰とも結婚してないからね。大丈夫だよ」

「何が大丈夫なのか分からんが…まぁ、お前は多分そういう子なんだろう…うん。シャル、今から楽しみだな」

 

まぁ、この記憶も全部今になるまで封鎖されるから、あたし達が生きている年代に帰っても、楽しかったという気持ちだけが残るのだろう。

 

ナズナは、どうなるんだろうか?

グンジョウが言っていた、ナズナが亡くなって6年という言葉。

なら、彼は70で亡くなったということだ。

あたしの二つ上で、生きているなら76のはずだから。

今の彼は、19歳。

やっぱり、50年しか一緒にいられないのか。

もっと、一緒にいたいのに。

 

「そう、ね…ヘンリ達に会えるの、本当に楽しみだわ」

 

あたしはぎこちなく笑う。

ヘンリがそんなあたしに気付き、ナズナから離れてあたしを抱きしめてきた。

 

「大丈夫だよ、母様。おばさんも言ってた。転生者という生き物は、死んだ所でガワだけの死亡で、魂の死亡ではないって。父様も、多分気力だけで母様とずっと添い遂げ続けようとするだろうから、そんなに悲しむ事じゃないよ」

「…まぁ、それを神が許すならだけどな」

 

ナズナが苦笑する。

しかしヘンリは、そんな彼に言った。

 

「大丈夫。父様も母様も、最高神のお気に入りだから。転生先も一緒にするだろうし、しなくてもぼくがどっちかをどっちかに引き合わせるよ。ぼくは、父様と母様が大好きだからね」

 

ニコリと笑むヘンリごと、ナズナはあたし達を抱きしめてくる。

父様? と、ヘンリがどうしてこうしてくるのかと疑問に満ちた声で彼を呼んだ。

 

「ありがとう、ヘンリエッタ。お前が、俺達の娘で良かったと思う。とても優しい子だな、お前は」

「ん。ぼくも、父様達の子に産まれて来れて良かったと思っているよ」

 

んん、と背後で咳払いが聞こえたので、あたし達はお互い離れてそちらを見る。

ちょっと拗ねた感じで、アンナがこちらを見ていた。

 

ここ、アンナ達の居住区なのをすっかり忘れてたわ。

 

「遅かったわね、ヘンリ」

「ごめんね、アンナ姉様。親子のふれあいしてた。姉様もする?」

 

しない、と少し眉を吊り上げてアンナは言うが、この子もしかして素直になれない子、なのかもしれない。

あたしはアンナの傍に寄り、彼女を抱きしめる。

 

「お、お母様?! やめて下さいませんか?!」

「うーん…本当にやめて欲しい?」

 

少し体を離して尋ねると、グッ、と言葉を詰まらせ、大人しくなった。

ナズナも苦笑しながら、アンナの頭を撫でている。

彼女の本質に、彼も気付いたようだった。

 

「…こんな事されたの…小さい時以来です…」

「あら。勿体無いわね。貴女大きくなっても可愛いのに。むしろ、貴女早くに親離れしたんじゃない? あたし寂しがっていなかった? 手が掛からないのは助かるけど、もっと甘えて欲しかったと思うわよ?」

 

そう言うと、アンナがポロポロと涙を溢し始める。

その姿に、ヘンリがとても驚いていた。

 

「アンナ姉様が、泣いてる…」

「わ、私だって、泣く時は泣きます!! 

お、お父様と、お母様に、

わ、私だって、甘えたかった…っ!! 

でっ、でも、二人とも忙しかったし…っ、

魔王関連で…お母様、あんな状態になって…っ!! 

わた、私、甘えたいって、

素直に言えなく、って…っ!!」

 

うんうん、とあたしは頷きながら、彼女の背を撫でる。

子供のように泣くアンナへ、ナズナも優しい笑みを浮かべながら、先程ヘンリにやってあげたようにあたし達を抱きしめた。

 

「アンナ、お前も優しい子だな。それに気遣いが出来るくらい頭も良いようだ。お前のような子が俺達の子で、とても良かったと思うのだが…我慢を強いてしまったようだな…すまなかった」

 

ナズナが謝ると、アンナは顔を上げて首を横に振る。

 

「いいえ…っ! いいえ、お父様…っ!! 

私は、お父様とお母様の子として産まれて、

誇りに思います!! 

私、二人の間に産まれて来れて良かった…っ!!」

 

そう言うと、アンナは声を上げて泣き始めた。

みんな、あたし達に会えて嬉しいと態度で表してくれて、こちらもとても嬉しくなる。

 

途中、スイカ君がアンナの泣き声でこちらに来たのが見えたが、親子の時間だからと何も言わず苦笑しながらその場を去った。

 

◆◆◆

 

アンナが泣き止み、スイカ君に挨拶がてら彼女を渡して、お別れの挨拶をする。

次はラゼッタの所だったが、扉を開けた瞬間ナズナに誰かが飛びついて、彼が押し倒された。

 

「?!」

 

ナズナもだが、あたしも驚いてしまう。

彼の反射神経で避けきれなかった。

その事実に驚いたが、紫髪の女性が泣きながらお祖父様とナズナを呼んだ。

 

「…すまん、シャル。誰だこの子は…? 俺をお祖父様と呼んだ辺り、孫だとは思うのだが…」

「マリアっていうの、その子。マリア? リオンさんに怒られるわよ?」

 

ナズナは筋力強化をして体を起こし、自分に抱きついているマリアの頭を、困った顔をしながら撫でる。




アンナの台詞が途切れ途切れに
なってしまったので
ぶつ切りして見やすくしています
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